東京五輪の聖火リレーがどんなところを走るのか、事前に自転車で走ってみようというこの企画。だったのだが、東京都の聖火リレーは島しょ部をのぞき、公道走行が中止となった。幻となってしまった聖火リレーだが、どんなところにコースが設定されていたのか引き続き見ていこうと思う。今回は台東区、文京区、千代田区、中央区のコースを走る。
前回は東京都11日目の荒川区まで走ったが、今回は7月20日に予定されていた東京都12日目のコースを行く。すでに日程的には追い越されてしまい、五輪も開幕しようとしているが、根気よく続けていこうと思う。もちろん、走行中は感染対策に注意を払い、他人との接触を最小限にしている。
台東区・隅田川沿いからスタート!
台東区に設定されていた第1区間のスタートは、隅田川沿いにある「台東リバーサイドスポーツセンター」。ここには五輪の関係者らしき人がたくさんいたが、オリパラのトライアスロンのスイム・ランの公式練習会場として使われているとのことだった。
予定ではここの陸上競技場から聖火はスタートし、言問通りを西へ。途中で左折してかっぱ橋道具街を走り抜け、今度は浅草通りを上野駅方面へ。ちなみに、浅草寺・雷門はコースに組み込まれていなかった。最後は上野恩賜公園内にある「国立西洋美術館・東京文化会館前」にゴールするという約4.5kmのコースだった。
国立西洋美術館は、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献-」として2016年に世界文化遺産に登録されたフランス人建築家ル・コルビュジエの7カ国にまたがる17作品のひとつ。東京本土で見られる唯一の世界遺産である。しかし、2022年春まで館内施設整備のため全館休館中で、現在は高い壁に囲まれていている。例え聖火が来ていたとしても、ル・コルビュジエの建築を見ることできなかったわけだ。
幻の「泳ぐ聖火リレー」!?
第2区間も台東区で隅田川にかかる桜橋なのだが、実は先ほどの台東リバーサイドスポーツセンターのすぐ近くで約4km戻ることに。この桜橋は、隅田川唯一の歩行者専用橋(自転車はOKのようだ)で、X字型に交差しているのが特徴的だ。
この区間は「隅田川桜橋下付近」から「隅田川桜橋桟橋付近」までとなっているが、要は隅田川の中にコースが設定されていた。何でも、日本泳法による聖火リレーが予定されていて、ランナー(スイマー?)がトーチを掲げながら泳ぐ姿が見られたかもしれなかった。
あのスポーツの〝総本山〟を走る
第3区間は文京区で、約7km南西へ移動。JR水道橋駅近くの「トヨタ自動車 東京本社」がスタート地点で、本社ビル周りの遊歩道などを走った後、外堀通りに向かって走り出すことになっていた。その後、東京ドームシティにちょっとだけ立ち寄り、順天堂医院の脇のサッカー通りへ。
再び東京ドームのそばに戻り、柔道の総本山である講道館の前を通過、さらに春日通りを西へ進み、丸ノ内線・茗荷谷駅近くの「教育の森公園自由広場」まで行く約5kmのコースだった。
文京区のHPによると、「講道館から教育の森公園自由広場までの道のりは、日本マラソンの父である金栗四三が、東京高等師範学校(現:筑波大学)まで毎日走った通学路の一部と重なって」いるとのこと。つまり、このコースは、野球、サッカー、柔道、マラソンゆかりの地を走ることになっていたというわけだ。
東京ど真ん中を巡る!
第4区間は、千代田区。南東へ約5.5km移動して、秋葉原駅近くの「万世橋北側」がスタート地点。ここから南へ向かって外堀通りに入り、NTTコミュニケーションズや日本郵政グループなどが入る大手町プレイスというビルの周りを一周。さらに南下して、東京駅前の日本生命丸の内ビル前へ。
その後、東京駅丸の内中央口から皇居前内堀通りを結ぶ「行幸通り」を何度か往復する。
今度は内堀通りを南へ進み、日比谷公園の先で右折。霞が関、国会議事堂前、半蔵門を通過して「四ツ谷駅前」の交差点でゴールする約8kmとかなり長いコースが用意されていた。
銀座から日本橋へ
千代田区はもう1区間、約2㎞南に移動して、溜池山王駅近くの「日枝神社階段下」へ。第5区間は、大鳥居と「NTTドコモ本社」が入る山王パークタワーの間にある噴水広場を数周する。
12日目最後の第6区間は、中央区。約2.5km西へ走った銀座八丁目交差点がスタート地点だった。
ここから銀座、日本橋、浅草橋方面へ向かい、最後は中央区立浜町公園でゴールする約5kmのコースが設定されていた。
都心に入ってきたことで、大会スポンサー企業に関連する場所もコースに組み込まれていたんだなと感じた12日目だった。結局、五輪開幕までに聖火リレーのコースを走り切れなかったが、めげることなく次回は東京都13日目のコースを見ていこう。
(光石達哉)