【オリンピック】アスリートたちが鍛え抜く〝五輪虎の穴〟~ドイツ、韓国編

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(写真:photoAC/mogu-ko)
東京2020オリンピックが開幕した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習拠点が閉鎖され、五輪の開催さえも危ぶまれる中で、選手たちは練習に打ち込んできた。
そんな日本代表の練習拠点となってきたのが「味の素ナショナルトレーニングセンター」だ。東京五輪期間中も日本選手団の一部は練習拠点兼宿泊施設として利用する予定だという。
日本のライバルたちはどんな環境で鍛錬してきたのだろうか、各国の”虎の穴”を見ていこう。
 
※記事再掲
 
 
 

ドイツには「ナショナルトレセン」がない

ドイツには、各国スポーツの頂点施設ともいえる、いわゆる「ナショナルトレーニングセンター」がない。だたし、その機能を各地域のスポーツフェライン(ドイツ語で協会、同好会、NPOなどの意)に分散し、競技連盟の強化拠点として発展させ、「支援拠点システム」をつくって成果をあげてきた。

当初、ドイツスポーツ連盟(DSB)と各競技連盟が協力して整備した「連邦競技センター(Bundesleistungszentrum)」は、東西分裂期にドイツ国内に 22 カ所設立されたが、現在は他の拠点と調整をはかり、6 カ所が連邦トレーニングセンターとしての機能を担っている。

連邦競技センターに加え、地域のスポーツフェラインの施設およびノウハウの積極的な活用をはかるため、コーチの雇用、用具の購入、選手用クラブハウスの建設などに対し、連邦政府がスポーツフェラインに補助金を与え、「連邦支援拠点」を各地に設置し、連邦支援拠点の全国ネットワークを確立している。現在夏季スポーツ種目は 154 フェライン、冬季種目では 34 フェラインが指定されている。

五輪支援拠点で約4000人が鍛錬

さらに、1984 年ロス五輪を機に、連邦競技センターおよび連邦支援拠点を整備拡充して「オリンピック支援拠点(Olympiastützpunkt:OSP)」を設置し、トップアスリートの養成と物心両面にわたる支援を行うようになった。

92 年には全国に 22 カ所設置され、現在は統廃合が行われて19 カ所の拠点が機能。強化指定選手の A クラス(国際級選手)、B クラス(国内トップ選手)、C クラス(ジュニア代表選手)の 3 クラスのトップアスリート約 3800 人がオリンピック支援拠点に所属してトレーニングに励んでいる。

巨大スポーツクラブにパラ専門チーム

ドイツのレバークーゼンにある「TSVバイエル04(TSV Bayer 04 Leverkusen)」は、会員数1万人を誇る国内最大級のスポーツクラブ。14施設を所有し、数多くの五輪、パラリンピック選手が所属している。

もともとは1904年に、バイエル社の本社があるレバークーゼンに社員の福利厚生を目的として設立された。現在は「バイエル04レバークーゼン」として独立しているサッカーに加え、水泳、フェンシングなどの選手強化を進めるなど、オリパラ多種目に対応している。

プロの指導者も所属し、50年にはパラ専門チームを発足。これまでオリパラ合計で100を超えるメダリストを輩出してきた。パラアスリートだけで300人は所属しており、15年に走り幅跳びで当時の五輪記録を抜いて話題になったマルクス・レームもいる。車いすラグビーの小川仁士や、「車いすの鉄人」と呼ばれる陸上の伊藤智也ら日本人選手も所属している。

韓国のトレセンは世界最大級

日本の隣国、韓国は世界最大規模のナショナルトレーニングセンターを誇る。ナショナルトレセンにあたる「選手村」は、テルン(泰陵)、テベク(太白)、チンチョン(鎮川)の3カ所にあり、特に鎮川選手村は2017年に正式オープンしたばかり。

ソウルから車で南西へ約1時間半の鎮川にあり、敷地は約85万平方メートル(東京ドーム約18個分)。宿舎は8棟823室、訓練施設は21カ所もあり、35競技、1150人の選手が同時に訓練できる世界最大級の総合スポーツ訓練施設となっている。

プールだけで4つもある

室内のトレーニング施設はスイミングセンターや室内テニスコート、漕艇・カヌー競技場、室内射撃場、多目的体育館などで、屋外施設は陸上競技場、野球・ソフトボール場、テニスコート、クレイ射撃場、クロスカントリーコースなど。 スイミングセンターは、競泳専用のプールと、ダイビング、水球、シンクロ専用の4つのプールに分かれている。

この施設拡大により、メダルが期待される特定競技に偏らず、その他の競技のトレーニングもできるようになった。それまで室内体育館は、バレーボールやバスケットボール、ハンドボールなどが中心だったが、鎮川選手村の多目的体育館ではポールとマットを設置し、室内でも棒高跳びの訓練ができるようになった。

語学実習室、映画鑑賞室、カラオケコーナーまで

トレーニング場の他にも、訪問者センターやパートナーハウス、事務棟、筋力トレーニング室、選手会館、花郎館(宿舎)などがある。選手会館には、図書室や語学実習室、マルチメディア室、映画鑑賞室、カラオケコーナー、ビリヤード場、会議室などが完備されている。規模だけでなく、最新式の施設で構成されていることも自慢。 医務センターは、専門医や医療スタッフが約30人配置され、「準総合病院並み」に充実している。  

泰陵選手村は韓国初の総合トレーニングセンターとして1966年にソウル東部の郊外に設立。太白選手村は、高地トレーニング専用施設として98年に開設された。
(mimiyori編集部) 

 

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