日本馬術連盟は10月30日、東京五輪・パラリンピックの馬術会場となる東京・世田谷区のJRA馬事公苑内で、メディア向けの馬術講座を開いた。五輪・パラリンピックに向けて改修されたメインアリーナで実技披露が行われ、苑内の施設が紹介された。また、馬術スペシャルアンバサダーを務める櫻坂46キャプテンの菅井友香さんも登場した。
五輪競技の3種目実演
人馬が息を合わせて駆ける姿は芸術的だ。実技披露では、JRA馬事公苑所属の吉澤和紘(よしざわ・かずひろ)、吉田匡慶(よしだ・まさよし)両選手が馬事公苑内のコースで演技を行った。披露された種目は五輪で行われる馬場馬術、障害馬術、クロスカントリーの3つ。改修されたメインアリーナは、オランダから輸入した競技専用の新しい砂を使用している。
リズミカルなステップに障害を飛び越える時の迫力、馬の息づかいや選手の絶妙な手綱さばき。人と動物が一緒になって挑む唯一のオリパラ競技だからこそ体感できる魅力がある。
「国際基準」対応 生まれ変わった馬事公苑
馬事公苑は1915年に開苑。1964年の東京五輪に続き、2020年大会の競技会場に選定されたことを受けて、老朽化した施設の更新と国際基準に対応するための整備が必要となり、改修された。馬場など主要な恒設の施設は19年12月に竣工。観客席の一部など仮設部分は、21年1月から工事が再開される予定。
菅井友香さんも華麗に技披露
17年から馬術スペシャルアンバサダーを務める菅井友香さんは、小5で乗馬、中1で馬場馬術を始め、高1で挑んだ全日本馬場馬術チルドレンライダー選手権で2位。16年には障害馬術にも挑戦した。
競技説明では、自身の競技経験を交えて解説。好きな技は、その場で足踏みをするようなステップをする「ピアッフェ」。「踊っているみたいで馬が可愛らしく見える。乗り手は大変さを見せない優雅さがある」と笑顔で話していた。
競技を解説した後は、実際に馬に乗って技を披露。コンビを組んだポートマジン号を華麗にエスコートした。
11月に大会開催
延期となった五輪の馬術は7月24日~8月7日、パラリンピックは8月26~30日の日程で行われる。パラリンピックは馬場馬術のみ実施。会場は馬場馬術と障害馬術が馬事公苑、五輪のクロスカントリーは海の森クロスカントリーコース(東京・江東区)となる。
馬事公苑では11月に全日本馬場馬術大会やパラの大会も開催予定。特にパラはテストイベントを行っていないため、テストイベント的な位置付けで開催し、選手のモチベーションを上げるねらいもある。
日本馬術連盟の和田雅雄理事長は「1年は人馬のレベルアップ期間と捉えて日々練習を積んでいる。また、多くの人に馬術競技を深く知ってもらう貴重な時間」と話す。選手強化、環境整備と同時に競技PRも積極的に取り組んでいく。
(岡田 剛)