【パラスポーツ】パラリンピックへ再始動 練習は新施設でスタート~ブラインドサッカー

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チームの現状や今後の活動について話した男子日本代表の高田敏志監督(提供:日本ブラインドサッカー協会)

1年後の大舞台に向けて一歩を踏み出した。日本ブラインドサッカー協会は6月19日、ブラインドサッカー男子日本代表のオンライン説明会を開いた。高田敏志監督が、3月から活動を休止していた代表チームの様子や今後の活動について説明。また、1年延期された東京パラリンピックでのメダル獲得に向けた決意を示した。

説明会では、東京・小平市に誕生した国内初のブラインドサッカー専用コート「MARUI ブラサカ!パーク」についても紹介があった。

 

 

 

 

活動休止中 普段の「言語化」「管理アプリ」生かされた

男子代表チームは3月から活動を休止。これまで通りにサッカーができなくなり、選手たちは所属先、職場などの環境に合わせて在宅でのトレーニングを余儀なくされた。

週に3回、1回の練習1時間程度、室内でできるフィジカルトレーニングやボールを使った練習を実施。体を動かす時でも、例えば「右足を動かす時は…」など部位まで詳細に言葉にして選手に伝えていたという。視覚障がいを持つ選手たちにとってオンライン練習は難しいという懸念もあったが、普段から行っていた「言語化」による指導が、ここで生かされた。

選手のコンディション管理も、通常時から行っていた取り組みが活用された。体調、トレーニング記録、食事など選手の状態にかかわる多くの情報を一括で管理するアプリ「ONE TAP SPORTS」を活用。体重、睡眠時間、トレーニング時間から食事内容、さらに新型コロナウイルスの感染対策として体温、行動履歴に関する情報も管理した。

選手のメンタル、栄養管理にも普段以上に気を配った。メンタルコーチと選手との間では、1年延期されたパラリンピックに向けての目標設定やモチベーションの維持などについて会話を重ねている。また、管理栄養士からは週2回ほどレシピが提供され、食生活への注意も促した。休止期間中の体重増は想定内で、高田監督から選手たちには「食べたいものを食べて」と伝えられたという。

理由は、体重の増減よりも新型コロナウイルスに感染しないことを優先したからだ。高田監督は選手たちにサッカーのことよりも自らの命を守ることを選手たちに伝えていた。電話などで会話をする時もサッカー以外の話でコミュニケーションをとり、サッカーの具体的な話はコーチに任せていたという。「サッカーがなくても生きていける。自分、家族、周りにいる人たちが感染しないように、安全に生きることが大事と話していた」

チームの現状 新施設で練習再開

6月10日、一部の選手が参加して練習が再開された。練習会場は、同日オープンした「MARUI ブラサカ!パーク」。国内初のブラインドサッカー専用コートとして東京・小平市に誕生した。

初めてピッチに立った高田監督は「足を踏み入れた時のことは忘れることができない。涙が出た。いつか皆さんにも見てほしい」と、芝の長さが異なる2面のコートや障がい者にも配慮した設備、環境の整った初の専用施設に感動していた。

川村怜主将は「専用グラウンドが日本で初めてできたことは、歴史的な第一歩だと感じており、競技者としてとても嬉しく思っている。周りの環境が静かなので、トレーニングやプレーに自然に集中ができ、また、2種類のピッチでトレーニングができることで、大会ごとに適応した準備が出来ることは、私たちにとってとてもプラス」とコメント。

練習は当面、週2回、1回の練習2時間程度、持久系の体力測定とボールを使った練習に取り組む。ボールを使った練習では、距離感を意識して対人練習やゲームはとり入れない。ゴールキーパーとフィールドプレーヤーは分けて練習。新型コロナウイルス感染対策としてスタッフはマスクを着用する。

練習が再開したことで、ケガへの不安はこれまでより大きくなる。高田監督は欧州サッカーで故障者が続出していることを例として、筋肉系の負傷に対する注意を徹底させる考えを示した。練習の強度、負荷の掛け方を選手ごとに考えながら進めていく。

 

今後の活動 7月に合宿開催予定

練習を再開した男子代表チーム。7月4、5日には全メンバーによる合宿が予定されている。週2回のトレーニングと同時に、月1、2回の合宿も行っていく予定。高田監督は「宿泊、ミーティングもしながら結束力を高めるためにやっていきたい」と、合宿練習の意義を説明した。

しかし、試合を行うには、まだ時間がかかりそうだ。20年は大会や遠征の予定はない。3月のワールドGPはプレパラリンピックの位置づけだったが、新型コロナウイルスの影響で中止。現状では国内でのトレーニングが中心となる。


実戦感覚を取り戻すための策としては、まずチーム内での紅白戦や晴眼者との練習、さらに新型コロナウイルスの状況が好転した際には、クラブチームなどとの対戦も検討するという。

パラリンピックに向けた選手選考については、基本的には現在の強化指定選手が軸となる。試合機会がないため、練習を中心に判断される見通し。

約3カ月の休止期間による選手たちのコンディションへの影響は避けられず、さらにパラリンピックの1年延期によって「20年夏」を目標に進んでいた代表チームのプランは修正されることになる。高田監督は、1年延期に対するメリットは「ほぼない」とし、「プランの修正はデメリット。1年練習ができることをポジティブに考えるしかない」と話した。

しかし高田監督は、これまでチームが歩んできたプロセスを大切にして、メダル獲得を目標とする方針に変わりがないことを強調。「今までやってきたプロセスを大事にしていく。培ってきたことが、難しい状況と混乱の中で生きると確信している」

高田監督は最後に、「(東京でのパラリンピックは)スポーツの競技力だけではない、日本の力が活躍する大会になると思っている。世界中のアスリート、みんなが日本に来てプレーしてほしい」とパラリンピックへの思いを話した。
(mimiyori編集部)

 

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MARUI ブラサカ!パーク



◆MARUI ブラサカ!パーク
国内初のブラインドサッカー専用コートとして6月10日にオープン。東京都小平市花小金井にある丸井グループの研修センター内にある。芝の長さが異なるコートを2面設置。併設のクラブハウスは弱視の人も移動しやすいよう、車いすも入りやすいスロープの設置や「通路の壁は床面から 1 メートルまでを青にして上部は白くする」など、コントラストのある色使いや触ってわかる表記となっている。(写真:日本ブラインドサッカー協会プレスリリースより)