日本ブラインドサッカー協会は9月3日、男子日本代表の活動説明会をオンラインで開催。高田敏志監督は8月に行われた合宿の成果を報告し、「選手のコンディションが想定以上に戻っている」と手応えをつかんでいた。
走行距離は国際大会と同レベル
選手、スタッフが1年後の本番へ入念なシミュレーションを行った。
8月8~15日に、東京・葛飾区奥戸総合スポーツセンターで行われた代表合宿は、シミュレーション合宿として実施。パラリンピックのグループリーグから決勝までの日程に準じて、1日1試合、オフの日を設定。スケジュールへの適応、暑熱対策など6つのテーマを掲げて、あらゆる課題を確認した。
試合では走行距離データを計測し、19年に行われた国際大会との走行距離と比較。選手個々の運動量を確認することで、コンディションの回復具合を分析した。9日のグループリーグ初戦と位置付けられた試合での走行距離は、19年のアジア選手権やワールドグランプリと比べて大きな差がなかったという。
・9日の試合:18.785m
・19年アジア選手権(中国戦):19.670m
・19年ワールドグランプリ(スペイン戦):18.167m
6月の練習再開後に行ったスポーツテストで持久力が2~3割落ちた選手もいた。3カ月ほどフィジカルの改善に重点を置き、実戦形式の練習を通して成果が表れた。高田監督は「試合で動けるところまで戻ってきている。けがなく夏を乗り越えることができた」と話した。
暑さ対策では、試合前後、試合中、さらにホテルでの水分補給を徹底。尿検査や選手個人のボトルの中身がどのくらい減ったかを確認するなど、脱水症状に陥らないよう万全の対策を講じた。
日本代表・森保監督が視察
11日にはサッカー日本代表の森保一監督が視察に訪れた。グループリーグの戦い方などサッカーの話に加え、選手を支えるスタッフの献身さを評価していたという。森保監督から「一緒に頑張ろう」と激励を受け、“日本代表ファミリー”として共に戦う決意を新たにした。
オフとして指定した12日は、サッカーのことを完全に忘れることを目的に、選手がリラックスできる時間を設けた。オンラインで家族と会話したほか、ヨガ指導も取り入れた。
元新体操日本代表で08年北京五輪代表の坪井保菜美さんを講師に迎え、ヨガはもちろん、オリンピアンとしての経験や団体競技の難しさなども選手に伝えたという。高田監督は「ヨガの日の夜が一番(選手らの)睡眠時間が多かった」と話し、早くも効果を実感していた。
オンライン練習も継続
現在は月1~2回の合宿と平日練習がメインの活動となっている。練習がままならない国もある中で、高田監督は「日本は他国に比べて進んでいる」と分析。自粛期間中に行っていたオンライン練習も継続し、練習に参加できない選手のサポートも徹底している。
1年後のパラリンピックへ、日本は「地の利」を生かした環境の順化に加え、運動量のアドバンテージを生かした戦術も取り入れていく考え。もともとの課題の成功率を高めると同時に、相手ゴールに近いポジションでのプレーやPKといった得点力を上げるための課題にも取り組み、さらなるレベルアップを図る。
(mimiyori編集部)