クラス分け再審査の経緯
IPCは1月、国際車いすバスケットボール連盟(IWBF)がクラス分けの国際基準を順守していないとして、東京大会から除外する可能性があると発表。規定の見直しと、比較的障がいの軽い持ち点4.0、4.5の選手のクラス分けの再審査を求めていた。
JWBFはプロジェクトチームを立ち上げ、2月末には再審査の対象となった14選手についてIWBFに検査結果などを提出。選手の健康状態、機能障がい、健康状態と機能障がいの関連性が評価対象となった。
6月の第1次発表で12人の結果を受け取り、残る2人は保留とされた。保留となった選手の結果は、7月28日、8月19日にそれぞれ1人ずつ結果を受け取った。JWBFによると、出場資格の要件を満たさない女子選手の結果は7月28日に通知されたという。女子選手はIPCのクラス分けおよび国際基準に定められている10種類の出場要件を満たす障がいのうち、車いすバスケットボールで採用されている7種類の障がいには該当しないと判定された。
国内での競技活動継続へ支援
JWBFは、女子選手と協議して判定を受け入れたとしている。女子選手の氏名など具体的な情報はプライバシーにかかわるとして公表していない。また女子選手は、現時点でパラリンピック出場の可能性は残されておらず、IPCやIWBF主催の国際大会にも出場できないという。本人の意思を確認した上で、JWBFとして国内で競技活動を続けられるよう、どのような持ち点で競技ができるのかなどサポートを検討していく。
玉川敏彦会長は「見直しを求める意向はない」と話し、再審査の結果を受け入れる考えを改めて強調。その上で「車いすバスケットボールは東京パラリンピックで除外される可能性がある。IPCやIWBFとの協議が発展的に進むように協力していきたい」と問題の解決に全力で取り組む姿勢を示した。
再審査の対象となった持ち点4.0、4.5の日本選手については審査を終えているが、海外3選手の結果が出ていない。今後は、持ち点1.0~3.5などの30選手を対象にした再審査も進められる。JWBFは東京大会での競技実施について正式な通知は受け取っていない。西川拡志クラス分け部長は「全ての結果が出てから判断されるのではないか。良い結果が出ると期待している」と話した。
IPCは21年8月31日を期限として、IWBFに基準の見直しを求めている。JWBFは国際的な基準に則った新たな基準を整備することになる。
女子代表・藤井主将「選手を思うと言葉にならない」
女子日本代表の選手らは、JWBFを通じてコメントした。女子日本代表の岩佐義明ヘッドコーチは「仲間として大変残念」と結果を受け止めた上で、「1年後のパラリンピックに向けて強化を進める」と、本番へこれまでと変わりなく目標のメダル獲得に向けて活動を続けていく。
藤井郁美主将は「世界各国で不適格の選手が出たことは、同じ選手として(判定を受けた)選手の心情を思うと言葉にならない」。女子代表は強化合宿を再開し、本格的な活動を再開したばかり。「自分たちの目標に向かって、やるべきことをやり続けるのみ」と前を向いた。(岡田 剛)