【パラスポーツ】 選手、競技を取り巻く環境は変わってきた?

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パラアスリートと競技を取り巻く環境について意見を交わした為末大氏(写真提供:日本財団パラリンピックサポートセンター)

パラアスリートを取り巻く環境やパラスポーツと企業のブランド戦略について考えるオンラインセミナー「パラスポーツのポテンシャルについて為末大氏と考える」は7月8日に行われた。

陸上400mハードルで世界陸上銅メダルを獲得した為末大氏とパワーリフティングの現役選手で日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)の職員でもある山本恵理らが、競技環境やパラスポーツの価値について意見を交わした。

 

 

 

 

練習環境とパラスポーツの価値

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パラスポーツの価値について話した山本恵理(写真提供:日本財団パラリンピックサポートセンター)

パラスポーツ、そして選手たちを取り巻く環境は、変化し続けている。為末氏にパワーリフティングの環境について問われた山本は、18年6月に完成した「日本財団パラアリーナ」での練習について話した。トップ選手だけでなく多くのアスリートが練習できる環境が整い、平日の利用者もいて稼働率はほぼ100%で「誰もいない日がなかった」という。

さらに、パワーリフティングだけでなく、車いすバスケ、車いすラグビー、ボッチャ、シッティングバレーなど、他競技の選手も練習で訪れていることから、競技間の交流を広げられるようになった。陸上や水泳の選手もトレーニングで利用している。


パラスポーツに触れたことのない人にも、存在意義が浸透してきている。パラサポの職員としてダイバーシティ研修「あすチャレ! Academy」などの講師を務める山本は、パラスポーツの価値についても言及。「スポーツだけの価値ではなかったことに気付いてもらえる。障がい者とのコミュニケーションを通して、話すことができなかった障がい者と話せるようになるなど働き方にも影響していて、パラをきっかけに他にも価値があったことを知ってもらえている」

一方で、高校生の車いすテニスプレーヤー坂口竜太郎は、ジュニアの競技環境について「大会が少ない」と現状を説明。車いすで使用できる練習場所も限られ、練習の機会も数が限られているという。トップ選手の環境改善は実感しているが、まだまだ行き届いていない部分もある。

坂口は「ジュニアの選手が挑戦していける環境を作りたい。多くの人に発信していけるようにしたい」と、競技の普及と自らを含めた次代を担う選手のために決意を示した。

 

 

五輪とパラリンピックの違い

為末氏は五輪とパラリンピックの違いについて、大会に関わる人の多さと物を使うことの2点を指摘。パラリンピックのほうが関わる人数が多く、選手の能力を最大限に引き出すためのさまざまな道具、器具が登場する。

パワーリフティングも多くの人と物が存在する競技の一つ。選手が上げるバーベルの重りは補助員によって付け外しの作業が行われている。そして、補助員の負担軽減のためにアシストスーツが導入されるなど、競技外でも多くの物が活躍している。

山本は競技を通して、人の存在、物の存在の重要性を感じている。「健常者と一緒にゴールを目指している」と話し、パラリンピックが障がい者だけでなく、健常者とともに歩んでいることを強調した。

また、コロナ禍における練習についても話が及んだ。選手それぞれの障がいによってもトレーニング方法を考えているパラの選手たち。山本はコロナの影響に対するパラ選手の対応について「選手の工夫が早かった」とし、普段から自らに合った練習を常に考えている選手たちのアイデアに感心していた。

通常の練習ができない期間が長く続いたことで、選手たちはどのようにして戻していくのか。山本は自らのメンタルに気を配っているという。「目標がなく、ぼんやりとしたものをどのようにシャープにしていくか。かつての思いを取り戻すのか、新しい気持ちになるのか。自粛が始まった時から、通常時に戻る時のメンタルは注視している」

坂口は「チェアワークの技術、障がいによる差、さらにコントロールを極めたい。タイミングがずれるだけで力が伝わらない。安定して打てるようにしたい」と、レベルアップに向けての課題を挙げた。

最後にインターブランドジャパンの矢部宏行氏が「パラスポーツとブランディング」をテーマに講演。スポーツブランディングの例を挙げながら、スポーツ支援による企業ブランドとスポーツの価値向上について説明した。


(mimiyori編集部)