3月4日に開幕する北京パラリンピックを前に、スノーボードの代表選手らが2022年2月17日、オンライン会見を行った。
初出場となる20-21年シーズンW杯総合王者(LL2クラス)の岡本圭司(牛乳石鹼共進社)は、事故で負傷する前からプロスノーボーダーとして活動。日本代表が活躍する北京五輪に刺激を受け、自身、そして代表全体としてもメダル獲得を期した。
会見には2大会連続出場の小栗大地(三進化学工業、LL1)、21年夏の東京大会にも出場した小須田潤太(オープンハウス、LL1)らが出席した。
岡本圭司 大ケガから夢の舞台へ
目標としていた舞台に立つ。岡本圭司は「6人で1つでも多くメダルを取って、日本のみなさんにスノーボードが面白いと思ってもらえるように頑張りたい」と意気込んだ。
19歳から競技を始め、「スノーボードの楽しさ、カッコよさを表現する」という自らの信念を貫き、日本トップクラスのプロスノーボーダー人生を歩んでいた。
ところが15年、撮影中の事故で脊髄を損傷し、下半身不随に。以前もケガはあったが、規模が大きすぎた。「生きる道を見失っていた」。一度は折れかけた心を立て直しながら、懸命のリハビリで競技復帰。舞台をパラ競技に移して、世界の舞台を目指すようになった。
選手は障がいの種類、程度で上肢障がいのULクラス、下肢障がいのLL1(重度)、LL2(軽度)の3クラスに分けられる。岡本はLL2で戦うことになった。
18年、平昌の代表選手も出場していた国内のパラ大会に初めて出場。「これまで培った技術があればパラ選手にも勝てる」との気持ちと臨んだが、まったく歯が立たたなかった。「同じ障がいのある人と再び競い合える、勝ちたい、負けたくない気持ちをケガをしてから初めて感じた」。
パラリンピックの種目は、バンクやウエーブ、キッカーと呼ばれるジャンプ台などが設けられたコースでタイムを競う「スノーボードクロス」、コーナーのあるコースでタイムを競う「バンクドスラローム」の2つ。岡本はいずれも出場予定だ。
本番を目前に、五輪で活躍する後輩にも刺激を受けている。「(岩渕)麗楽のトリプルコークに(平野)歩夢が2回目で得点出なくても3本目で出したとか、年下だけどカッコいい」。
次は自分の番。「つらいこと、大変だったことが、良い思い出に、明るい未来につながるように滑りたい」。1人のスノーボーダーとして、楽しく、カッコよく駆け抜ける。
小須田は夏冬連続出場
21年夏の東京大会、陸上男子走幅跳(T63)で7位入賞の小須田潤太は、冬季大会初出場した。「めちゃくちゃ楽しかった」という夏の大会からわずか半年。「東京に続いて出場は素直にうれしい。またあの経験ができると思うと楽しみ。スノーボードクロスで小栗さんと表彰台」と意気込む。
会見中も互いの発言に合いの手やツッコミが入る和気あいあいとした雰囲気の選手ら。チーム主将でまとめ役の小栗大地は「最高の舞台、最高に楽しんで、最高の結果を出したい」と話した上で、日本チーム全員での戦いを強調した。
代表はほかに、大岩根正隆(べリザーブ、UL)、田渕伸司(兵庫・和田山特別支援学校教、LL2)、市川貴仁(エレマテック、LL2)が選ばれている。
スノーボードは6日からスタート
北京パラリンピックは3月4日に開会式が行われ、競技は翌5日から。
スノーボードの日程は下記の通り。全種目、同じ日に全クラスの競技を行う。会場は五輪のスキークロス種目などが行われた雲頂スノーパーク。
(岡田剛)
◆開催日メモ
3月6日…スノーボードクロス予選(男女)
3月7日…スノーボードクロス決勝(男女)
3月12日…バンクドスラローム決勝(男女)