【パラスポーツ】パラ水泳=日本選手権・初日 世界選手権メダリストが貫禄の泳ぎ

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200m個人メドレーで力強い泳ぎを見せた木村敬一(撮影:岡田剛)

パラ水泳の日本選手権は11月23日、千葉県国際総合水泳場で開幕。9月に行われた世界選手権のメダリストが、貫禄の泳ぎを見せた。

男子200m個人メドレーでは、すでに100mバタフライで20年東京の代表に内定している木村敬一(東京ガス、SM11)が大会新記録2分26秒69をマークし、パラリンピック前に「世界記録更新」へ挑戦することを宣言。同種目のSM14クラスは、東海林大(三菱商事)が2分10秒41、100m平泳ぎ(SB14)は世界記録保持者の山口尚秀(MG瀬戸内)が1分7秒37で優勝した。富田宇宙(日体大大学院)は400m自由形、50mバタフライ(いずれもS11)で大会新。女子では、辻内彩野(三菱商事)が50mバタフライ(20年東京開催種目ではない)で30秒93のアジア新記録を樹立した。

 

 

 

 

木村 パラ前に世界新出す「自信を持って本番迎えるために」

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20年東京を前に「世界記録更新」を宣言した木村敬一(撮影:岡田剛)

20年東京の金メダル、そして世界新記録更新を目指す木村敬一にとって、今大会は通過点に過ぎない。

一昨日、練習拠点の米国から帰国して臨んだ最初の種目200m個人メドレー。「いつもよりペースが遅い」と感じながら泳ぎ続けて「出し切れなかった感もあった」と振り返ったが、結果は大会新。「記録的にはいい感じ」と笑顔を見せた。


力出し切れなかった要因はレースの開始時間にあった。200m個人メドレーは午前中になることが多く、選手によっては1番最初に泳ぐことになる。そのため、あまり力を入れずに泳ぐことになってしまうという。「朝の一発目なので、予選っぽくなってしまった」

帰国直後のレースだったが、体調も変わりなく普段通りにレースに臨んだ。泳ぎ終えると時差ボケがやってきたのか「そろそろ眠い」と笑い交じりに話していた。

世界選手権を終えてからは練習量を少し抑えていた。10月に入って普段の練習量に戻し、今大会に臨んできた。すでに代表内定を決めている立場。目標は20年であって、今回の結果に満足はしていられない。

本番になると緊張してしまうことを課題としているが、自信を持ってスタートに立つために、「20年東京の本番を迎えるまでに世界記録更新」を最大の目標に掲げた。記録の更新はライバルを脅かすための秘策ではない。自分のためだ。

代表内定を決めていることから、今後は余裕をもって調整できる。20年は3月の記録会、そしてワールドシリーズに参戦予定。パラリンピック本番までに出場できる大会が限られているため、1つ1つの大会を大切にして世界記録更新に挑む。

2日目には本命種目の100mバタフライを控える。大会終了後、12月は再び米国に戻り、年末は日本で過ごすという。「やっぱりお正月は実家に帰りたい」。英気を養いつつ、世界記録、そして20年東京金メダルへの挑戦は続いていく。


富田 さらなる進化を求めて

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400m自由形に出場した富田宇宙。本番に向けて試行錯誤を重ねる(撮影:岡田剛)

 世界選手権400m自由形、100mバタフライ銀メダリストの富田宇宙は2種目に出場。400m自由形、50mバタフライ(いずれもS11)を大会新記録で泳ぎ切り、「2本とも次につながるレースだった」と充実した表情を見せた。

2種目とも課題を持って取り組んでいる。自由形ではタッピングとターン。壁から遠いところでタッピングをしてもらい、他の選手より速くターンをする。バタフライでは、コースロープに触れる部分をなるべく狭くするため、腕を低く回してフラットな体勢で泳ぎ、腕のリーチを利用してロープに触れる部分は指の最小限にとどめる。腕がロープに引っかかるなどのロスが発生しないようにするための工夫だ。

より速いタイムで安全に泳ぎ切るために、20年東京まで時間があるこの時期に試行錯誤を重ね、完成形を求めている。「チャレンジできるのは今しかない。守りに入る時ではなく、挑戦していきたい」。20年は、さらに進化した泳ぎが見られそうだ。 

山口 記録は落ちても前向き「一歩進むことができる結果」

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100m平泳ぎ(SB14)の世界記録保持者・山口尚秀。前向きに結果を受け止めて前進する(撮影:岡田剛)

山口尚秀は、世界選手権で金メダルを獲得した100m平泳ぎ(SB14)に出場。タイムは1分7秒37と自信が持つ世界記録から2秒以上も離れる結果となった。

「いつも狙っている」という自己ベスト(=世界記録)更新を目指したが、「後半疲れてしまった」と理想の泳ぎからは遠く離れてしまった。フラットな姿勢とストロークの回数に重点を置いて泳いでいる。ストロークの目安は前半26~28回、後半28~30回としている。

前半50mを29秒台で折り返す泳ぎを目標としているが、今回は30秒を超えた。「後半をいかに泳げるかが改善点」と課題を挙げ、持久力と姿勢を保つための体幹トレーニングに取り組み、最後まで減速しない泳ぎを目指す。

「遅かったけど、今後に向けて一歩進むことができる結果」。まずは2日目の50m、100m自由形を泳ぎ切って、20年東京へ、そして自らの世界記録更新に向けて歩みを進める。

 

東海林 課題の「力み」解消へ「自分の泳ぎに集中」

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課題が明確になった東海林大。20年へ収穫のある泳ぎとなった(撮影:岡田剛)

19年世界選手権で金メダルを獲得した200m個人メドレー(SM14)に出場した東海林大は、同クラストップの2分10秒41を記録。レース後には「まだ力むところがある。課題が見つかって良かった」と振り返り、今後に向けて収穫のある泳ぎとなった。

6月から山梨学院大で定期的に練習を積んでいるという。大会直前にも山梨で練習を積み、泳ぎ込みの成果は発揮できた。それでも精神面、体力面、両方の「力み」は解消できていない。「まずは自分の泳ぎに集中できるようにしたい」と、課題解決へ決意を新たにした。

辻内 「楽しんで泳いだ」50mバタでアジア新/本命は50m自由形

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50mバタフライ(S13)でアジア新記録を出した辻内彩野。報道陣にの問いにも笑顔で答えていた(撮影:岡田剛)

世界選手権100m平泳ぎ(SB13)銅メダリストの辻内彩野は、同種目で1分20秒77の大会新を記録。20年東京で実施しない50mバタフライ(S13)では、30秒93のアジア新記録を樹立した。

「パラ以外の種目に出られる大会なので楽しんで泳いだ」と、バタフライについて振り返った一方、平泳ぎでは「珍しく足をつりそうになった」と苦笑い。メダルを獲得した世界選手権からはタイムを落としたが「悪くない」と話した。

「平泳ぎは相変わらず苦手」としながらも、同じクラスでは海外選手も少ないことから「狙えるものは狙いたい」と語気を強める。苦手種目に取り組むことでメンタル面の強化にもつながっている。それでも「狙うのは50m自由形」とキッパリ。2日目は勝負の50m自由形で好記録を狙う。

(岡田剛)