【雑学】自然観察指導員の徒然草=君たちがいて僕がいる 花と蝶の深い関係~後編

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東京・井の頭公園のシモツケの花とモンシロチョウ。2021年6月22日 (撮影:安藤伸良)

企業戦士として働き尽くした会社を定年退職後、一念発起で転身した自然観察指導員の写真コラム。

 

つれづれなるままに、最終回となる今回は「花と蝶」の後編。

 

大部分の樹木や草本は、昆虫(や鳥)に花粉を仲間の花の雌しべまで運んでもらって子孫を増やしている。春には多くの樹木や草本が花を咲かせるため、自分の花に昆虫が首尾よく来てくれるか分からない。このため、植物はそれぞれ花蜜を出したり、昆虫の好きな匂いを出したりしてアピールしている。

 

花の色がいろいろあるのは、他の花より少しでも目立つようにしているから、花の形がいろいろあるのは、来てもらいたい昆虫の口吻(口)の形に合わせているからなどと言われている。今回は、これまで撮り貯めてきた写真の中から、花に来ている蝶とその他の昆虫の写真を紹介する。

 

 

 

ヤマトシジミの相棒はカタバミ

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東京・野川公園のヤブガラシの花とヤマトシジミ。2014年8月31日 (撮影:安藤伸良)

「ヤマトシジミ」はシジミチョウ科で、紫青色〜黒色の10~15ミリの小型の蝶。東北北部と北海道を除く全国に分布し、都市部でもよく見られる。

 

幼虫の食草はカタバミの葉で、成虫もカタバミやキツネノマゴ、シロツメクサなどで吸蜜している姿を見かけることができる。

 

シロチョウの仲間はキャベツ好き

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北海道・定山渓のムラサキツメクサの花とエゾスジグロシロチョウ。2015年6月20日 (撮影:安藤伸良)

「モンシロチョウ」はシロチョウ科の中型の蝶で、表は白色で黒斑がある。日本全国の平地や山地で見られる。幼虫の食草はキャベツ等アブラナ科の葉。

 

また、同じシロチョウ科の仲間で「エゾスジグロシロチョウ」がいる。モンシロチョウに似ているが、こちらは北海道の平地から山地にだけ生息している。幼虫の食草はアブラナ科の草本。

 

あの鳥と同じ模様のクジャクチョウ

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長野・入笠すずらん山野草公園のマツムシソウの花とクジャクチョウ。2009年6月26日 (撮影:安藤伸良)

「クジャクチョウ」は、タテハチョウ科の中型の蝶。表は赤色で目玉状の斑紋があり、孔雀のようなあでやかな姿が特徴的で、筆者は長野の戸隠高原で初めて見て以来好きになった。和名と同様に、英名も「Peacock(クジャク)」。

 

幼虫は黒色の毛虫型で、クワ科やイラクサ科の葉を食べる。北海道から東日本にかけての低山地や山地で見ることができる。

 

ヒョウ柄で人気のギンボシヒョウモン

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長野・諏訪郡富士見町のアザミの花とギンボシヒョウモン。2016年9月2日 (撮影:安藤伸良)

「ギンボシヒョウモン」は、タテハチョウ科の中型の蝶。表はオレンジ色で黒斑のヒョウ柄模様がある。北海道と本州の山地の草原に生息している。

 

幼虫の食草はタデ科、スミレ科の草本。成虫はアザミ、マツムシソウなどを訪花する。

 

ホバリングで吸密するオオスカシバ

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都内の自宅付近で見たランタナの花とオオスカシバ。2008年8月20日 (撮影:安藤伸良)

「オオスカシバ」は、蝶ではなく、スズメガ科の昼行性の大型の蛾(ガ)。北海道を除く全国の平地や丘陵地に分布している。

 

さまざまな花にやって来るが、吸蜜の時は空中でホバリングして花には止まらない。

 

運び屋にも盗人にもなるクマバチ

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東京・善福寺公園のフヨウの花と花粉まみれのクマバチ。2011年9月16日 (撮影:安藤伸良)

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東京・新宿御苑のタイワンホトトギスの花を盗蜜中のクマバチ。2011年9月30日 (撮影:安藤伸良)

「クマバチ(別名キムネクマバチ)」も蝶ではないが、花に吸蜜に来る昆虫の中では目立つ存在。大型でずんぐりした体型だが、おとなしい性格で刺激しない限り人を刺すことはない。

 

大きな花では花粉の運び手として役立っているが、小さい花では花弁の外側から口吻を刺して吸蜜する(盗蜜)ことがあるため、花粉の運び手としては貢献度が低下してしまう。

 

 

「自然観察指導員の徒然草」として2019年11月より47回にわたり筆者が撮影してきた写真を小文と共に紹介してきましたが、今回をもって終了させていただきます。毎回いろいろなテーマで取り上げ、「お金のなる木」や「身近な有毒植物」に多くの方がアクセスされたことが印象に残っています。2年間お付き合いいただきありがとうございました。

(安藤 伸良)

 

 

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