ここのところ「3密」を避けるため、仕事や買い物などで電車・バスの代わりに自転車を利用する人が増えているそうだ。そうした人にも知っておいてもらいたいのは、自転車保険の加入義務化が全国で進んでいることだ。都道府県によって状況は異なるが、20年4月から東京でも義務化され、コンビニのポスターやネットなどで自転車保険の広告を目にした人もいるかもしれない。
自転車でも保険必須に
まず、加入が義務付けられているのは、先ほど話したように他人をケガさせたり、死亡させてしまった場合の損害賠償責任だ。自分がケガしたときの通院・入院や、死亡した場合に支払われる保険は義務化の対象ではない。
なぜ義務化の動きが進んでいるかというと、自転車に乗っていて他人をケガさせたり、最悪の場合は死亡事故を起こしたりして、数千万単位の賠償請求をされるケースがあるからだ。スマホを見ながらや、イヤホンで音楽を聴いたりしながら自転車を運転して事故を起こしたというニュースを目にしたことがある人もいるだろう。もちろんこの義務は、買い物や通勤・通学でママチャリを使う人、趣味でロードバイクやマウンテンバイクに乗る人すべてが対象となる。
ここで重要なのは、自転車専用の保険である必要ではなく、損害賠償責任がついている保険に加入すれば、義務をクリアしていることになることだ。
自動車保険が代わりになった!
僕の場合、数年前からとあるネットの自転車保険に加入していたが、掛け金の安いプランだったので個人賠償責任の保険金は1000万円だった。保険屋さんが言うには、この額は「十分じゃない」とのことだ。
一方、僕が加入している自動車保険には個人賠償責任保障特約として、国内の事故は無制限、国外の事故は1億円までカバーする保険をオプションでつけられる。保険屋さんによると、「この特約をつければ、自転車保険加入の義務を果たしている」とのことだ。さらにこの特約であれば、自転車以外の事故、たとえば飼い犬が他人をケガさせたときや、他人から借りたものを壊したり、盗まれた場合もカバーされるという。
ということで、僕は以前から契約していた自転車保険を解約して、自動車保険の特約をプラスした。支払う保険料自体も、数100円レベルだがお得になった。
実はもう入っている…〇〇保険が使える
このような賠償責任保障は、自動車保険だけでなく火災保険、傷害保険など他の損害保険にもオプションで追加できるか、または自動でセットされている場合もあるそうだ。
つまり、自分ですでに加入している何らかの保険がある場合、すでに賠償責任保障に加入していたり、またはオプションで追加できる場合があるというわけだ。まずは、自分で確認するか保険会社に聞いてみるのがいいだろう。
核心の自転車保険は?
そういった保険に何も加入していない場合は、自転車専用の保険に加入することになる。ネットで調べると、掛け金で年間3000円前後から相手への損害賠償と、自分のケガなどへの保険がセットになっているものがいくつか見つかるだろう。その中から、自分の求める保証のものを選択すればいい。
何よりも医療現場がひっ迫している今、自転車に乗るときは他人をケガさせたり、自分がケガしたりしないように安全運転を心がけていこう。
(光石 達哉)