【ビジネス】青学大・原晋監督から学ぶ「相手を引き出す力」後編

青学大陸上競技部・原晋監督

青学大陸上競技部・原晋監督(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

今年も駅伝の季節がやってきた。

先日の箱根駅伝予選会では1年生ルーキーの活躍、常連校の予選落ちなど涙あり、笑顔ありのドラマを経て、箱根駅伝出場校が出そろった。

本番での注目は、2020年1月に2年ぶり5度目の総合優勝を果たした青山学院大だ。原晋監督はスポーツ指導者としてだけでなく、マネジメントのスペシャリスト、理想のリーダーとして確固たる地位を築き、著書はビジネス・経済書としてランキング入りするほどだ。

そこで原監督の思考から、相手の魅力を引き出し、組織をまとめるコツは何かをひもといていく。自分の長所・短所をいまいちつかめていない就活生、後輩に手を焼く社会人、子育てに悩む方……誰にでもちょっとした気づきがあるかもしれない。

今回は後編をお届け。

 

 

 

 

目的を伝え 具体的な目標を立てさせる

具体的な取り組みとしては、まず選手に目標を自分で立てさせること。

その時にリーダーが意識すべきな点は、「目的を可能な限り伝えようとすること」

例えば、青学大陸上競技部において学生が1カ月間の練習計画書を提出してきた時、「この1週間は質より量が大事だよ」「今は量を追いかけていくんだよ」と指摘する。日ごろから目的を持って、目標を立てる訓練をすることで、本質を自ら理解する力がつく。

学生たちはやり方を一旦学ぶと、自主的にやりだし、学生同士で試行錯誤を繰り返し、徐々に方向性を固める。

するとルールとして定着し、そして指導者の出番がなくなっていく。

 

 

若者も自分なりに一生懸命頑張っている。

間違ってもいい。若いんだからいい。

卒業して社会に出て

「あの時は若気の至りでいろいろとご迷惑をお掛けしました。今ではこうして頑張っています」

「そうか、お前も成長したな」

それでいい。

 

 

 

本質に気づかない人は話をすり替える 

 

だからと言って、何をしても許されるわけではない。

原監督は人の足を引っ張ろうとする人、人の努力をむげにする人は、いくらセンスがあっても認めないという。

人としてダメなことをしていると、理屈を持って論破していく。

 

ここで大事なポイントは、話をすり替えさせないこと。

原監督によると、最近の若者はたくさんの情報をキャッチしている分、表面的な知識は豊富だが、会話も表面的だとみている。

さらに問題の本質に気づかない人は、話をすり替え、逃げようとする。

 

「周囲にそういう人がいるなあ」と思い当たった人も多いだろう。

“もしかしたら、自分も思われているかもしれない”。

そう思ったあなたはまだ大丈夫。

 

 

気づくことこそが成長につながるという。

反対に何度注意しても気づかない人が周りにいれば、線を引けばいい。

 

「もう言わんからね。あとは君自身の問題だから、そこが変わらない限りは、私は君を見るつもりもないし、君の成長もないでしょう。私は別に君の親じゃないし、この4年間だけの付き合いだから。将来苦労するのは君だからね。今、陸上を通して変わらなかったら、将来、君は何もないよね」

 

いつ気づくかは本人次第だ。

 

 

最後の仕事は「人を育てること」

組織の仕組みを作り上げたものの、次なる仕事、そして最後の仕事は、後進を育成することだと原監督は言う。

「いつまでも自分が現場で仕切ってやってるようじゃあ、ダメ」

 

自分の分身をいかに作っていくか、簡単なことではない。

しかし、自分の指導した後輩が、自分の意思を引き継いでいく喜びは、長年努力を積み重ねた人しか味わうことはできない。

 

 

後輩は、新たな環境で、一から組織を作っていくわけため、同じ悩みにぶち当たる。

「その時に悩みを聞いてあげる、親分的な立場になれるようにね」

「指導者だけじゃない。一般職の管理職として、仕事場で責任者として、悩みを抱えた人の、心のよりどころになればいい」

 

原監督の教え子が、大学を卒業して、社会人ランナーとして活躍し、また引退して、どこかで指導者になる。それは青学大かもしれないし、そのライバルかもしれない。

そして試行錯誤を繰り返して、時に原監督の元に泣きつきながらも、立派な組織を作り上げる。

 

組織は人で成る。「人」を育てることこそが、未来へのバトンだ。

 

 (mimiyori編集部・五島由紀子=おわり)

 

 

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