【連載「生きる理由」106】柔道金メダリスト・内柴正人氏 「熊本に道場をつくった話」⑦~柔道場の月謝考察

夫人が運営する会社のTシャツ購入者に直筆のお礼状を書いている(写真:本人提供)

2004年アテネ、08年北京五輪柔道男子66キロ級を連覇した内柴正人氏は現在、熊本県内の温浴施設でマネジャーを務めている。18年からキルギス共和国の柔道総監督に就任し、19年秋に帰国した後は柔術と柔道の練習をしながら働く、いち社会人となった。

これまで、彼はどんな日々を過ごしてきたのか。内柴氏本人がつづる心象風景のコラム連載、今回は「熊本に道場をつくった話」⑦。

全国各地にある「町の柔道場」。月謝はえてして安い場合が多く、ボランティア精神に支えられているという。

しかし、ある程度のレベルまで技術を身につけることができるスポーツ教室において月数千円の月謝は、いかにも安い。
近年のスポーツ界では指導に対価を支払うことが潮流となりつつある。

それについての考察とは。

 

 

 

誰かのためである道場

仕事中の内柴氏(写真:本人提供)

とにかく、
僕の道場か妻の道場か地域のみなさんの道場なのか、わからないけど
誰かのためでもある この道場を僕は安定させてあげたい。

それだけです。

柔道って、お金を払う文化がないですよね。
会費ってやつが安過ぎる。

スポーツジムなどは月会費で普通に1万円前後払うでしょう。
(今、すっごい安いところもあるけれど)

でも、柔道は数千円。

ジムは入るだけで、アドバイスとかも あまりもらえない。

柔道はある一定のレベルまではちゃんと教えてもらえるのに。

 

柔道場の月謝は安すぎる

お客さんから預かった犬とたわむれる内柴氏(写真:本人提供)

よく、風呂屋のお客さんに犬を預けられます。
(預かって1回逃がして焦りました)


今もまた預かりました。
それでも1日2000円の計算で、預かった分は謝礼金でもらえます。

犬が1日2000円。

犬より世話の掛かる人間が犬より安い。

うーん、
世の中のボランティアみたいな柔道大好きおじさんが先生してる道場はたくさんありますけど
凄いな。

いつも思います。

 

技術も魔法も 使う人間次第

2022年夏に来日して練習していたキルギス共和国の教え子が、2023年の大会で見事優勝(写真:本人提供)

僕は柔道を人に教えたくない。
死にものぐるいで身につけてきた技術を切り売りもしたくないけれど
その技術を使えもしない、
身につくまでやり続ける根気のない者。
使えないと技術のせいにするような人間に
なぜ、教えなければならない。

来れば教えて来ましたけど
本音はね、
そう思ってます。

 

教える側の技術もある。
教えて出来ないことを受け手のせいにはしない。
そこは大丈夫。

ただし、
技術も魔法も、使う人間次第ですからね。
そのすべては。


(内柴 正人=この項つづく)

 

◆内柴正人氏による柔道指導の動画配信      

内柴氏が現在、熊本・八代市で小学生から大学生を対象に開催している練習会を中心に、指導内容を盛り込んだ動画配信を22年4月から開始している。
より詳しい内容について、メンバーシップ配信も開始した。
メンバーシップ配信では、今回の道場づくりについても動画をアップ中。
詳細は下記YouTubeのコミュニティ欄へ。

 

www.youtube.com

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うちしば・まさと

1978年6月17日、熊本県合志市出身。小3から柔道を始め、熊本・一宮中3年時に全国中学大会優勝。高3でインターハイ優勝。大学2年時の99年、嘉納治五郎杯東京国際大会では準決勝で野村忠宏を破って優勝。減量にも苦しんだことから03年に階級を66キロ級へ上げて2004年アテネ五輪は5試合すべて一本勝ちで金メダル獲得。08年北京は連覇した。10年秋引退表明。11年に教え子に乱暴したとして罪に問われ、上告するも棄却。17年9月出所。得意技は巴投げ。160センチ。18年に現在の夫人と再婚し、1男がいる。20年1月から現在の職場に勤務。

 

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