【連載「生きる理由」49】柔道金メダリスト・内柴正人氏 「手先が器用な話」前編~父への思い

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21年12月、柔術の九州選手権茶帯クラスで優勝。同クラスでは初めて優勝を飾った
(写真:本人提供)

2004年アテネ、08年北京五輪柔道男子66キロ級を連覇した内柴正人氏は現在、熊本県内の温浴施設でマネジャーを務めている。18年からキルギス共和国の柔道総監督に就任し、19年秋に帰国した後は柔術と柔道の練習をしながら働く、いち社会人となった。

これまで、彼はどんな日々を過ごしてきたのか。内柴氏本人がつづる心象風景のコラム連載、今回は「手先が器用な話」前編。

家業は建築関係で、本人も生活にまつわる物は何でも自分で作ってしまう。

実家で父と一緒にWi-Fi工事をしながら、柔道時代に応援してくれた父、そして最もつらかった減量失敗による大会欠場の裏側について振り返った。

 

 

 

実家のWi-Fi設置工事

きょうは実家のリビングへWi-Fiを引く手伝いをしました。

いつもの僕は封印。

役立たず感満載の空気を一変、

〝新・内柴工業〟として実家に帰りました。

 

自宅に父の会社があり、そこを中心にWi-Fiを自宅リビングにも飛ばしているんです。

 

「Wi-Fiが繋がらんとた」

自宅リビングを改装して広くしたついでにデッカいテレビも置いて、初々しい気持ちの中でWi-Fiがつながらない。

 

そりゃいかん。

 

自分で何でも作れるタイプ

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仕事で修理の腕が上がっている。露天風呂の屋根を修理した際のビフォー・アフター
(写真:本人提供)

僕はもともと説明書を読まずに、機械をどうにかこうにか使ったり、工作することが好きでして、

昔は鉄棒も庭に作ったし(その家は売ったけれど)、

ブランコも建てました(売ったんですけどね)。

 

そして今、風呂屋でしょう。

僕が初めて臨んだ仕事の中のいくつかには、今住んでいる社宅にWi-FiのLANケーブルを引いてつなぐことも入っていました。

 

近々の課題はホテル客室のWi-Fiの電波が悪いこと。

ちょうどそんな話をしています。

 

ホテルなら、全ての部屋に届くようにするには大ごとでお金もかかり、節約の中でいかにサービスを整えるか。

ここが勝負だから、工事をやるのはむろん自分。

 

なので、自宅のWi-Fiは簡単なのです。

 

家族の会話

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勤務先のスタッフ、近隣の住民、知人に呼び掛け、みんなでバーベキューをすることも(写真:本人提供)

僕が次の休みの時にWi-Fiをつなぐ、と約束したものの。

 

待てない父。

早くWi-Fiを使いたい父は電器店に行って、店員さんに相談。

母に「正人くんがしてくれるって言ってたでしょ」と言われながら、

「正人ができるなら、俺もできる」となぜか対抗心が出たらしい。

 

電気屋から電話してくる。

「僕がやるって!大丈夫よ」

止める。

 

せっかち、でも、自分でやる体力もなくなってきたし、

Wi-Fiという現代のものと戦わないと、ゆっくりした時間に大好きな映画を見られない焦りであります。

(内柴正人=この項目つづく)

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うちしば・まさと

1978年6月17日、熊本県合志市出身。小3から柔道を始め、熊本・一宮中3年時に全国中学大会優勝。高3でインターハイ優勝。大学2年時の99年、嘉納治五郎杯東京国際大会では準決勝で野村忠宏を破って優勝。減量にも苦しんだことから03年に階級を66キロ級へ上げて2004年アテネ五輪は5試合すべて一本勝ちで金メダル獲得。08年北京は連覇した。10年秋引退表明。11年に教え子に乱暴したとして罪に問われ、上告するも棄却。17年9月出所。得意技は巴投げ。160センチ。18年に現在の夫人と再婚し、1男がいる。20年1月から現在の職場に勤務。

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