【オリパラ】世界各国の“五輪虎の穴”~ロシア、オランダ編

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(写真:photoAC)※写真はイメージ
五輪の日本代表らを鍛える「味の素ナショナルトレーニングセンター」が、2020年6月から順次、営業や業務を再開する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で練習拠点が閉鎖に追い込まれたのは日本も世界も同じ。2020年夏に開催される予定だった20年東京大会に出場していたであろう、日本のライバルたちが鍛錬してきた各国の“虎の穴”を紹介する。
 

 


小学生から英才教育を受ける「サンボ70」

ロシアの「サンボ70」は、1970年9月28日に、当時ソビエト連邦のスポーツの専門家David Lvovich Rudmanによって設立された。公立のスポーツ専門学校で、教育センターが併設された施設はモスクワにあり、ロシア最大のスポーツ強化拠点となっている。

日本でいえば小学生以上が対象。トレーニングだけでなく、勉強の教育も併行することが最大の特徴となっている。よって、コーチやトレーナーだけでなく、勉強を教える教師もいる。モスクワだけで1100人以上の子どもが教育を受けることが可能。小学校にあたる1~4学年は、ロシア発祥のサンボや柔道などの格闘技と水泳の選手が通い、中学校、高校に当たる5~11学年はフィギュアスケート、体操などの選手も加わる。

倍率5倍の狭き門

栄養士が献立を作る朝、昼食を含め、学費は無料。毎年75人の入学枠は5倍という狭き門で、縄跳びやランニング、柔軟性のテストを行い、校長やコーチらが将来性を判断して選考するという。小学校では午前中にロシア語や算数などの授業を受け、午後は希望に応じたクラブ活動になる。トレーニングのほか、視野を広げるため地理や科学を学び、愛国心を養うクラブも用意される。

すでに金メダリスト97人以上、銀メダリスト19人以上を輩出。これまでに2万5000人以上が卒業した。卒業生はロシア各地に点在する国立体育大などに入り、さらなるトレーニングを積む。

ザギトワの母校

指導対象の競技は、陸上、サッカー、体操、フィギュアスケートなど夏冬合わせた26競技。相撲や柔道、ロシアの国技ともいわれる「サンボ」やキックボクシングなど、格闘技も多い。五輪でメダル獲得した主な在校生やOB、OGには、アリーナ・ザギトワ(18年平昌フィギュアスケート金)、アレクサンドル・ミハイリン(12年ロンドン柔道100キロ超級銀)、ユリア・リプニツカヤ(14年ソチフィギュアスケート金)らがいる。

 

「パペンダル」はオリパラ共有施設

オランダのアーネムにある「パペンダル」と呼ばれるトレーニングセンターは、オリンピック、パラリンピック競技の共有施設。1971年に、ベアトリクス王女の号令のもと、当初は五輪のハイパフォーマンスセンターとして発足した。

120人収容のレストラン、合宿所を完備し、大体育館、芝生のグラウンド、陸上など必要な施設を取りそろえている。後年、ジュニア世代のための学校も併設。2009年からは国の最高峰施設として位置づけられている(13年から民間運営に移行)。連日、約400人のオリパラアスリートが利用する。

80年アーネム大会のパラ開催地

1980年にはオランダでパラリンピックのアーネム大会が行われ、一部の試合がパペンダルで行われた。そのこともあり、同施設内では、車いすバスケや、水泳、車いすテニス、ボッチャ、ローイングなどパラ競技各種の練習や試合が可能。仮に、強化対象競技でなくても利用できるという。

 



最近10年で、ハイレベルな宿泊施設や栄養学に基づいた食事に加え、リカバリー施設、医療センター、ミーティングルーム、トレーニング施設、陸上競技場、サッカー場、大人数が練習できるウエートトレーニングルームなどハード面がより充実した。ソフト面でも五輪代表を指導した経験を持つコーチが在籍している。

海外選手にも門戸開放

12年ロンドン五輪の陸上男子100メートル準決勝で、9秒91を記録したオランダの第1人者チュランディ・マルティナは、パペンダルを拠点に練習した。同施設は、オランダの選手のみならず、海外選手にも門戸を開けているところ大きな特徴。しかし、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で閉鎖していて、再開の日が待たれている。
(mimiyori編集部)

 

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