新型コロナウイルス感染拡大第3波の到来と共に、飲食店への時短営業が要請され始めた。
経営と安全のはざまで試行錯誤を続けてきた外食産業だったが、2020年の終わりを目前に、再び窮地に立たされた。
あまたの荒波を越えてきた、飲食業界大手のDDホールディングス(旧ダイヤモンドダイニング)にとってもただ事ではない。
外食産業のファンタジスタと呼ばれる松村厚久代表取締役社長グループCEOの歩みを振り返るコラム。
第1回は、店名をはじめコンセプトに遊び心があふれる、DDグループのレストランについて。
2020年2月決算は過去最高益 そこにコロナ直撃
DDホールディングスは、今年で飲食店経営20年目を迎える。飲食、アミューズメント、ブライダル分野も手掛ける東証一部上場の“エンターテインメント企業”だ。
2010年に達成した“100業態100店舗”のマルチコンセプト戦略は、飲食業界で今も奇跡とたたえられている。
成功を収めた先導者は、創業資金ゼロからここまで会社を成長させた創業者・松村厚久代表取締役社長グループCEOだ。
2020年2月決算では過去最高益を記録した。
そして、コロナ禍が襲った。
しかし、危機的な状況だからこそ、松村氏なら何か革命を起こしてくれるのではないかと期待したくなる。
コロナが収束する気配もなし、将来の希望を持つことにも腰が引ける。
そんな世の中へのエールだ。
外食業界のファンタジスタ
常にクリエイティブで、人を喜ばせることが大好き、楽しいことが大好き、女性も大好きで、何よりファッションが大好きな、おチャメな人。
以前大流行した曲「PERFECT HUMAN」のダンスを社員と一緒に踊って披露したり、1日3回お色直しをしたり、彼女にフラれると、41歳にして20キロのダイエットをしたり。
そんなおチャメな50代は、「外食業界のファンタジスタ」と呼ばれている。
飲食大手DDホールディングス代表取締役社長CEO・松村厚久だ。
店舗名は遊び心のワンダーランド
2001年に銀座に飲食1号店を出店してから、ユニークな戦略で飲食業界に革命を起こし続け、10年目の2010年には100業態100店舗を達成した。
志半ば、不眠不休で必死に働いていた2006年に、若年性パーキンソン病を患うも、それをエネルギーに変え目標を達成した強さは、言葉では語れない。
松村氏のこだわりは売上でも、利益でも、店舗数でもなく、目指すは業態開発ナンバーワン。その代名詞が、ユニークな店舗名だ。
歴代の例を挙げると、
「KAWAII MONSTER CAFE」
「21世紀によみがえったドラキュラ伯爵の館~VAMPIRECAFE」
「幻想の国のアリス」
「竹取百物語」
「黒提灯」
「三年ぶた蔵」
「ベルサイユの豚」
レストランとは思えない店舗名で、人々の好奇心を刺激してやまない。
さらに、物語性ある店内の雰囲気も、提供する厳選されたメニューも、立地や店舗ごとにすべて異なると聞くと、全ての店舗を制覇してみたくなってしまう。
この時点で、経営戦略にまんまとハマってしまったわけだ。
若者向けの飲食店かと思いきや、なんせ100業態。
カツオなどのわら焼き専門店「わらやき屋」、ワインバル「ワインホールグラマー」はオトナにも人気を博している。
取材お断り&紹介制の割烹コース料理店「焼鶏 しの田」など高級路線もあるので、マダムも必見。
野菜は嫌い モテるのは大好き
そんな料理にもコンセプトにもこだわりが強い松村氏だが、料理についてはイメージを伝えるのみで、試食はしないのだという。
それどころか好き嫌いがかなり多く、好きな食べ物はアイスリームと寿司、嫌いなものは野菜で、特にピーマンとネギは無理という、小学生のテンプレートのような回答である。
野球王国・高知県の出身で、小学校時代は野球ざんまい。中学校は野球の強豪校に進学したが、レギュラーへの道は遠く、サッカーへの転向を決意した。
勉学にも励み、高知県内有数の進学校県立高知追手前高校に進学した。
高校でもサッカー部に入部した。この頃から周辺には女子がたくさんおり、学校に行くことが楽しくて仕方なく、つらい部活の練習も女子に注目してほしいから張り切ったという。
(つづく=mimiyori編集部)
※これまで番組などで直接取材した経営者のかたの哲学についてまとめたコラムです。
新型コロナウイルス感染拡大による影響と闘う各業界の方々へエールを。