【ビジネス】経営哲学=外食産業のファンタジスタ松村厚久CEO④シェフ失踪もこだわり貫く

松村厚久氏を描いたドキュメンタリー映画「熱狂宣言」のジャケット

(写真:DDホールディングス提供)

新型コロナウイルス感染拡大第3波の到来と共に、飲食店への時短営業が要請され始めた。2020年の終わりを目前に、再び窮地に立たされた飲食店経営。しかし、「外食産業のファンタジスタ」松村厚久は止まらない。

 

若年性パーキンソン病を抱えながら、圧倒的な才気で株式会社DDホールディングスを東証一部上場企業にまで押し上げた。 その実像に迫ったドキュメンタリー映画「熱狂宣言」が2018年の公開から2年を経てDVD化。11月4日に発売され、12月2日にはレンタルもスタートしている。

 

松村厚久代表取締役社長グループCEOの歩みを振り返るコラム。このコラムを読めば映画『熱狂宣言』をさらに楽しめること間違いなし!

 

第4回は、オープン2週間前にシェフが失踪し、てんやわんやとなった事件について。

 

 

 

 

 

オープン2週間前にシェフ失踪

開店までの道のり、そして開店してからも、順風満帆どころか、苦難の連続だった。

 

グランドオープン2週間前に、シェフが突然「できない」と言い残して失踪した。 

松村氏は、ある派遣会社にシェフと数人のキッチンスタッフを頼み、不本意ながらもオープンを迎えたが、そのチームが誠実とは言えない仕事で、松村氏と対立が激化した。 

食材から調理、盛り付けまで明確な松村氏のイメージが全く再現されなかったという。

 

そこで、ディスコの黒服時代からの付き合いであった尊敬する別のシェフに「助けて欲しい」と懇願した。

当時その人物は確固たる地位を築いており、すでに大きな店を切り盛りしていたが、松村氏の頼みを承諾した。

 

数日後、当時のキッチンスタッフを全員クビにし、彼とその配下で再スタートを切った。 松村氏は、料理も食器も盛り付けも、六角形のヴァンパイアの棺桶にもこだわりが強い。 

その理想を叶えられる人材にすぐに出会えなかったことこそが、後に最強タッグを組むシェフとの出会いをもたらすとは、神のみぞ知るといったところか。 

 

“メディア戦略”花開く

 

 

 

開業後1カ月は、チーム作りに苦労し、客足も伸びず、スタッフから「社長、本当に大丈夫ですか?」と心配されるほどだった。 

それを好転させた理由の1つが、ディスコ時代に学んだメディア戦略だった。 

開業前から、媒体へのリリース営業に力を入れ、広報スタッフに主要タウン誌の編集部に直接あいさつに出向かせ、「出席の返事をもらえるまで帰ってくるな」と指令を出すほどの徹底振りだった。 

狙いの客層が一番テレビを見る時間帯である、23時過ぎの情報番組の取材も積極的に受けた。

結果、プレスパーティーには100名を超えるマスコミ関係者が来場し、メディアへの露出が始まった瞬間から、予約の電話が鳴り止まない状況に。メディア戦略も大成功を収めた。 

 

熱狂の歩みを止めずに100店舗100業態

開店当時の目標は、「5年後に3店舗くらい展開できていたらいいな」と、松村氏にしては控えめなように思えるが、それほど出店の苦労が身にしみていたのだろう。 

しかし、のちに自叙伝のタイトルにもなる「熱狂」は歩みを止めなかった。

 

赤坂のとあるフランス料理店が撤退した店舗を見た瞬間、ここで和食居酒屋をやれば絶対に流行ると踏んで「黒提灯」という店を展開し、大成功を収めたのだ。

それを機に、他店が失敗した跡地でも、自社のコンセプトならやれると、低コストな居抜きの店舗を生かした多店舗化を進めることになった。 

これが、後の100店舗100業態、1つとして同じ店をつくらないというマルチコンセプト戦略に繋がるのだ。

  (つづく=mimiyori編集部)

 

 

 

 

※これまで番組などで直接取材した経営者のかたの哲学についてまとめたコラムです。

新型コロナウイルス感染拡大による影響と闘う各業界の方々へエールを。

 

 

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<映画「熱狂宣言」DVD概要>
■タイトル:熱狂宣言
■発売日:2020年11月4日(水)※レンタル2020年12月2日(水)~
■価格:¥4,500(税別)/本編75分

<キャスト&スタッフ>
製作・監督:奥山和由/出演:松村厚久/音楽:木下航志(主題歌:LET YOUR LIGHT SHINE ON ME)/プロデューサー:江角早由里

<ストーリー>
松村厚久、 51歳。東証一部上場企業・DDホールディングス代表取締役社長。
従業員 約1万人、約500店舗を経営、年商 約500億円。
「外食界のスター」「革命児」「天才」「ビックマウス」「不思議ちゃん」…数々の異名を持つ男。
自らを“幸運な人間”だと断言する彼は、13年前から難病・若年性パーキンソン病を患っていた――
「ソナチネ」「地雷を踏んだらサヨウナラ」「ハチ公物語」「うなぎ」「GONIN」etc日本映画界のレジェンダリープロデューサー奥山和由が、苛烈な人生を全身全霊で生きる一人の男に迫った渾身のドキュメンタリー。
■発売元:よしもとミュージック ©2020吉本興業 / チームオクヤマ