「我武者羅應援團」團長武藤貴宏⑤死にゆく人を応援する難題と向き合う

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背中で語る武藤團長(提供:我武者羅應援團)

あなたをガムシャラに応援します。

そう言われて、嬉しくない人はいない。

 

「我武者羅應援團」とは、その名の通り、人々を“ガムシャラ”に応援することを生業としている團だ。

“気合と笑いと涙”が一体となったその独自の応援に触れると何か一生懸命やってみたくなる。

そんな「我武者羅應援團」を結成したのが、團長・武藤貴宏だ。

さぞ、「応援を広めたい」とか応援という言葉にこだわっていると思いきや、團の最終的な目標は『この世から応援という言葉をなくすこと』だとか。

その真意に迫るべく、團長の生き様をひもとく。

 

最終回の第5回は團長・武藤の究極の願いについて。

 

「自分を信じろ!! フレーフレーあなた!!」

  

 

 

 

初めて辞退を考えた

我武者羅應援團 武藤貴宏 辞退

心の底から応援している武藤貴宏 團長(提供:我武者羅應援團)

応援の依頼は簡単に受けられるものだけではない。

余命宣告を受けた看護師の女性への応援を頼まれた時は、初めて応援を躊躇(ちゅうちょ)した。

その女性はお腹に赤ちゃんがいる時、顎にガンが見つかったが、どうしても子供を産みたいと、産後に手術することを決断した。

しかし、手術から1年後に再発し、余命を宣告されていた。

そんな頃、「我武者羅應援團」に出動要請が来たのだ。

 

「我武者羅應援團」は応援する前に、事前打ち合わせとして、綿密なリサーチを行う。

その中で、「俺らレベルの人間が応援できるのか」「彼女に頑張れと言うのか」と思い悩み、辞退した方がいいのではとも悩んだ。

「死を目前に控え、歯を食いしばっている人をどう応援するか、大きな壁でした」

 

 

学ランをプレゼント「私も我武者羅應援團に入りたい」

 

 

 

悩んだ末に、導きだした結論は「僕たちが彼女から学んだことを伝える。本気で生きると彼女に伝えること。僕らはあなたを応援できない。でも、あなたから学んだことを正直に伝えようと思いました」

 

出動当日、女性は泣きながらエールを聞いた。

 

「私も我武者羅應援團に入りたい」

 

それから2カ月後、女性は29歳の若さで他界した。

亡くなる2週間前にお見舞いに訪れた「我武者羅應援團」の手には、入団希望のその女性のための特製学ランがあった。 

 

応援団としての信念:“応援”という言葉をなくす

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エールを送る武藤貴宏 團長(提供:我武者羅應援團)

武藤が人生を懸けて応援したいと思っている相手は、「自分の命を目いっぱい全うしようと努力している人」。

根拠がなくても何かを信じて、ガムシャラに生きようとしている人に僕らは人生を懸けて声援を送りたい。

 

しかし、最終的な目標は「この世から応援という言葉をなくすこと」。

というのも、世の中が本当に「平和」になれば、「平和」いう概念が当たり前になり、きっと「平和」という言葉がなくなる。

 

それと同じように、一人一人が自分自身と周りの人々を深く応援できるようになった時、「応援」という行為が当たり前になり、「応援」という言葉そのものがなくなると思う、と本気で考えているのだ。

 

 

五輪で「応援ムーブメント」を巻き起こせ

我武者羅應援團 武藤貴宏 五輪 スポーツ

応援することが当たり前になってほしいと願う武藤團長(右から2人目=提供:我武者羅應援團)

 

 

 

2020年に向けて、團員たちは「応援ムーブメント」を巻き起こしたいと意気込んでいた。

五輪の応援をきっかけに、祖国の選手のみならず、他国の選手であっても、その選手の生きざまを知り、自分の言葉で声援を送ることが当たり前になるような応援の雰囲気をつくりたい。それがスポーツにおけるレガシーになってほしいと願っている。

 

史上初めて延期して迎える2021年の東京五輪。

無事開催されたとしても、大声で応援を送ることは難しいかもしれない。

それでも、選手たちに拍手でも何でも“ガムシャラに”応援が送りたくなってきた。

 

 

自分の一番の応援団は自分

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武藤團長は「自分を信じろ」とメッセージを送り続ける(提供:我武者羅應援團)

応援する言葉を相手にかけてみる。

その言葉は、実は自分に対する応援の言葉とも共通する。

今の時代、自分自身を好きになって応援すること自体を疎ましく感じる人が多いように思う。

応援という行為が当たり前になった世界では、人々は自分自身をも簡単に応援できるようになる。

そんな世の中が見てみたい。

それまで、「我武者羅應援團」団長・武藤の人生の登山は終わらない。

声が出る限り、応援を続けてほしい。そう願う。

(おわり=五島由紀子 mimiyori編集部)

 

 

 

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