宿泊業界のトップランナー・星野リゾートがまた、新機軸を打ち出している。
来たる年末年始に向け、全国各地の宿泊施設で展開するプランは「開運」「厄払い」。
新型コロナウイルス感染拡大がやまない今、まさに内心みんなが最も必要としている要素を詰め込んだ。
京都では和尚さんとのトークつきで「今年のわたしの漢字」1文字を書き初め。栃木・日光では祈とう済みの部屋に泊まり、お清め風呂にジャポン。青森・奥入瀬渓流では雪の中でかんじきを履き、二大霊場の1つまで自力でたどり着くというハードコアなツアーが予定されている。
前編は「星のや京都」「界日光」のユニークプランについてご紹介。
どうでしょう。2021年こそ、いいことがありそうな気がしませんか?
- 星のや京都:恒例「今年の漢字」の舞台・清水寺で「私の漢字」を書き初め
- 星のや京都:まずは15分墨をする 自分と向き合う旅
- 界日光:開運だらけの厄払い旅 部屋は永代祈祷済
- 界日光:本気のお清め旅 とどめは祈祷はしご
星のや京都:恒例「今年の漢字」の舞台・清水寺で「私の漢字」を書き初め
「星のや京都」では2021年1月15日~2月28日、アクティビティとして「今年のわたしの漢字」を開催する。
京都・清水寺では毎年12月、その年の世相を1文字で示す「今年の漢字」の発表が恒例となっている。
それにあやかり、「星のや京都」では“一年の計は元旦にあり”とばかりに、宿泊客が漢字1字に思いを込めて、新年の抱負として書き初めを行う。
「星のや京都」は嵐山に位置し、全室リバービュー。川のせせらぎに耳を傾け、コロナも、仕事のことも頭から追い出す。
ゆったりとした心持ちとなり、ホケ~ッと過ごす時間も一興だが、これだけはやっておいた方がいい。
普段、筆を使ったことがない大半のかたに必要なこと。
書道の練習だ。
おごそかな準備は、書き初め前日から始まる。
まずは「星のや京都」で練習を行う。ただの事前確認ではない。
NHK大河ドラマ「八重の桜」オープニング映像を描いた書道家・川尾朋子氏のプライベートレッスンを受けることができるのだ。
星のや京都:まずは15分墨をする 自分と向き合う旅
最初に墨を15分すり続ける。本格的だ。
筆の持ち方、姿勢などの基本動作、そして基本となる「とめ」「はらい」の筆遣いを習得する。
その上で、本番を翌日に控え、自分が思う「1文字」を練習しておく。
そして迎えた当日は、世界遺産「清水寺」をまず参拝。これだけでもご利益がありそうだが、さらに国の名勝であるその庭園「成就(じょうじゅ)院」を眺めながら、心を落ち着ける。
そして、新年の抱負を漢字1字に込めて書き初め。
このアクティビティ参加者は、一般非公開の清水寺の重要文化財を和尚さんと一緒に観て回ることもできる。
旅が終わった後はきっと、2021年を前向きな気持ちで過ごしていけるだろう。
界日光:開運だらけの厄払い旅 部屋は永代祈祷済
今度は開運だ。
「界日光」は徳川家康がまつられた栃木・日光東照宮よりも奥、中禅寺湖のほとりにたたずむ。
行くだけで既に厄払いになりそうだが、おひざ元にある「界日光」では2020年12月1日~2021年9月30日、厄除けを倍増させる本気のお清めプラン「日光やくばらい湯治プラン」を販売する。
1泊2日の旅行期間は、厄払いに満ちあふれている。
宿泊する部屋は、永代祈祷を行った客室。風呂は、厄除け祈祷した日本酒を入れた“お清め風呂”を貸し切り。
客室では、石を使った念珠アクセサリー作り体験(ブレスレットもしくはネックレス)もできる。
身も心も清められた状態で、不安なく眠りにつける。
界日光:本気のお清め旅 とどめは祈祷はしご
とどめは翌日、祈祷に参加する。しかも2カ所。
場所はいずれも中禅寺湖畔、まずは世界文化遺産のひとつ「日光山輪王寺」の別院「日光山中禅寺立木観音」で護摩祈祷に出席する。
プロ野球選手がオフになると、やけどをしながら炎の前に座っていたが、あれは修業の一環の「護摩行」。こちらは祈祷を行っていただくため、参加者が熱さに耐える必要はない。
前夜につくっておいた念珠アクセサリーも、ここで一緒に清めてもらえる。
はしご2件目は、霊峰「男体山」をご神体とする「二荒山神社中宮祠」で厄払いの祈とうを受け、玉串拝礼を行う。
こちらはいわゆる、神主さんが白いヒラヒラを振ってくださる例のアレだ。
さらに、「厄切り」まで行ってくれる。二荒山神社の御神刀の1つ、日本一の大太刀「厄切り祢々切(ねねきり)丸」を見学。この大太刀は、日光山中の「ねゝが沢」に棲んでいた化け物「祢々(ねね)」を退治するため、自然にさやから抜けて「祢々」を斬ったという伝説を持つという。
ご朱印帳を持つ人なら垂涎の、「界 日光オリジナル御朱印」ももらえる。
1泊2日の旅を終えた後は、すべての厄が取り除かれていることだろう。
すっきりしないこのご時勢、せめて爽快感を味わいたいものだ。
(つづく=丸井 乙生)