【行ったつもりシリーズ】古都・鎌倉でアジサイめぐりサイクリング<後編>

鎌倉でアジサイをめぐるサイクリング。「御霊神社」のそば、江ノ電の踏切にもアジサイが咲いていた(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は古都・鎌倉に出かけ、梅雨の風物詩アジサイの名所をめぐるサイクリング。アジサイで有名な寺院は拝観料が高かったりして、個人的に敬遠していたがついに実行。走っているうちに鎌倉が自転車観光に向くのかも、ついでに探ることに。

後半は、JR鎌倉駅周辺から長谷方面へ向かっていく。

 

 

 鎌倉中心部でアジサイを探す

鶴岡八幡宮の三の鳥居。専用の駐輪場はないので、近くの商業施設や郵便局の駐輪場を利用する(撮影:光石 達哉)

「亀ヶ谷坂」の切通しの坂を越え、鎌倉の中心部へ。飲食店やお土産物街が並び、観光客でごった返している小町通りの混雑を避けて、鶴岡八幡宮の前へ。今回は立ち寄る予定はないが、ここも多くの人で賑わっている。その参道の若宮大路を南に下る。

 

「本覚寺」は、1436年開創の日蓮宗の寺院。山梨の身延山から日蓮の骨も分骨されている。拝観料は無料(撮影:光石 達哉)

JR鎌倉駅のそば、鎌倉郵便局の交差点で左折すると次に目指す「本覚寺」がある。ここも駐輪場は見当たらなかったので、ちょっと離れた郵便局かその隣の銀行の駐輪場にとめる。

 

本覚寺の本堂の周りには、ガクアジサイなどが咲いていた(撮影:光石 達哉)

機械式で利用客以外でも駐輪でき、無料時間も設定されている。この本覚寺は、本堂の周りにアジサイが咲いていた。

 

「妙本寺」も駐輪場は見当たらなかったが、ネットで調べたところ参道の脇が駐輪場になっているようで、人力車もとまっていた。(撮影:光石 達哉)

続いては、「妙本寺」へ。本覚寺から東へ少し走ったところで、距離的にはお隣ぐらいの近さ。少しだけ鎌倉の賑わいから離れていて静かなお寺だが、境内ではウェディングフォトを撮っているカップルも多かった。

 

妙本寺の石段を上った先にある二天門。この周りにアジサイがたくさん咲いていた
(撮影:光石 達哉)

1260年創建で日蓮宗最古の寺院と言われており、境内に立つ日蓮像の足元にもアジサイが咲いている。

 

 源氏山公園への激坂に撃沈

銭洗弁財天の入り口。15~20%前後の激坂の途中にあり、目指す源氏山公園はさらに100mほど上った先にある(撮影:光石 達哉)

今度は鎌倉駅の西側にある「源氏山公園」へ。この公園は以前も行ったことがあるのだが、丘の上にあり、北側から向かおうとすると住宅街の狭間にある急な階段を上っていかなきゃいけない。

それを避けるために、今度は南側の銭洗弁財天の方から上ってみることに。ちょっと手前の駐車場から銭洗弁財天の入り口まで距離は100mほどだが、とんでもない激坂でいったん休憩。ここから源氏山公園までもさらに100m、20%前後の坂が続く。先ほど上った亀ヶ谷坂とは比べ物にならないほどの急勾配で、こんなところ自転車で上るの? と観光客に珍しそうに見られながら、さらに片足着きながらも、なんとか上っていく。最近は体重が増えすぎて、激坂でへこたれることが多い。

 

「源氏山公園」のシンボルである源頼朝の銅像。その周りにガクアジサイが咲く。
(撮影:光石 達哉)

苦労した割には標高80mほどの小さな丘だが、なんとか公園の入り口らしきところにたどり着き、自転車をとめて歩いて園内へ。この源氏山は源頼朝の4代前の源義家が戦勝祈願したことから、そのように呼ばれるようになったそうだ。

シンボルとして頼朝の銅像があり、その周りにアジサイが咲いている。公園のはずれにある葛原岡神社もアジサイの名所だそうだが、歩くとちょっと遠そうなのでスルー。

 

 アジサイの名所・長谷寺

長谷の「光則寺」は1274創建の日蓮宗の寺院。拝観料は100円(大人料金、以下同)
(撮影:光石 達哉)

観光客に気をつけながらブレーキを握りつつ坂を下り、次は南西の長谷方面へ。鎌倉の大仏がある高徳院の脇を通り過ぎ、まずは「光則寺」へ。お寺の入り口付近には、駐車・駐輪禁止の貼り紙があるので、山門付近のアジサイをチラ見しただけで引き返す。

 

736年開創と鎌倉の中でも古い歴史を持つ「長谷寺」。この日は午後3時ですでにあじさい当日鑑賞券の受付は終わっていた(撮影:光石 達哉)

その光則寺の1本南の道が、人気のアジサイの名所「長谷寺」へと続いている。日本人、外国人問わず多くの観光客でひしめいている。山門の前はちょっとした広場になって、左には拝観料の券売所みたいな建物もあり、ちょっとしたテーマパークの入口のような雰囲気だ。

 

長谷寺の駐輪場。狭いけれど、あるだけでありがたい(撮影:光石 達哉)

広場の公衆トイレの横に駐輪場があったのはありがたかったが、まだ午後3時なのに「あじさい鑑賞当日券受付は終了しました」の看板が出ているので、中に入るのは諦める。

 

せっかく長谷寺に来たので、山門の右の寺務所付近に咲くアジサイを眺める
(撮影:光石 達哉)

なお、長谷寺のアジサイを鑑賞するには拝観料400円(中学生以上)とあじさい鑑賞券500円(小学生以上、今年は6月1~26日の見ごろ期間のみ)の両方が必要。ネットでのセット予約もできるそうだ。

 

平安時代の武士・鎌倉景正を祀る「御霊神社」。石段を上って踏切を渡った先が境内だが、神域のため撮影禁止。拝観料100円。周囲に駐輪場はなさそうだった
(撮影:光石 達哉)

続いては、長谷寺の南にある「御霊神社」へ。

すぐそばに江ノ電の踏切があり、線路沿いにアジサイが咲いている。多くの人がカメラやスマホを構えているなと思ったら、ちょうど緑色の車両の江ノ電がやってきて、スペクタクルだった。

 

御霊神社のそばを通る江ノ電。線路沿いにアジサイが咲く(撮影:光石 達哉)

「成就院」は1219年に創建された真言宗のお寺。境内に続く石段に沿ってアジサイが咲く。拝観料は無料(撮影:光石 達哉)

さらに南へ進み、極楽寺切通の坂へ。ここは車が通れるぐらいの広い道で、坂の左手に「成就院」というお寺がある。境内に向かう石段にアジサイが咲いていてここも人気のスポットだが、駐輪場はなさそうだ。

 

 果たして鎌倉は自転車観光に向いているのか?

「極楽寺」の門前のアジサイ。拝観料は無料。このときは気づかなかったけど、江ノ電の駅前には無料の駐輪場があったようだ(撮影:光石 達哉)

坂を越えて西側に下ると、「極楽寺」があり、門前にアジサイが咲いている。目の前には、江ノ電の極楽寺駅もある。

そのまま極楽寺駅前の道を進み、国道134号に出て、「鎌倉海浜公園稲村ヶ崎地区」に到着。せっかく鎌倉まで来たので海も見たいと思っていたが、この日は風が強くてそこそこ荒れている。公園の入り口に自転車をとめ、少し歩く。小さな岬が丘のようになっていて、ところどころにアジサイが咲いている。

「稲村ケ崎」のアジサイ。奥に江の島、実は雲の向こうにうっすらと富士山も見えている
(撮影:光石 達哉)

というわけで、今回は計16カ所のあじさいスポットを回った。予算1,000円の設定だったが、結局、ほとんどの寺社で入り口付近のアジサイで満足してしまって中に入らなかったので、最初の北鎌倉の駐輪場150円と多少のお賽銭(さいせん)ぐらいしか使わなかった。

自転車を使って鎌倉で寺社めぐりをしようと思っても、駐輪場がほとんどないのでなかなか厳しかった。建物が密集しているので、スペース的に難しい部分もあるのだろう。レンタサイクルの業者もいくつかあるようだが、市や観光協会のHPを見ても自転車での観光を強く推奨している感じではなさそうだ。

とはいえ、車が動かないほど渋滞するところもあるし、観光名所がコンパクトにまとまっているので、もっと自転車で観光しやすい街になったらいいなと思いつつ、今回のサイクリングはおしまい。

 

(光石 達哉)

 

今回のルート:①本覚寺-②妙本寺-③源氏山公園-④光則寺-⑤長谷寺-⑥御霊神社-⑦成就院-⑧極楽寺-⑨鎌倉海浜公園 稲村ヶ崎地区

 

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