読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
今回は古都・鎌倉に出かけ、梅雨の風物詩アジサイの名所をめぐるサイクリング。アジサイで有名な寺院は拝観料が高かったりして、個人的に敬遠していたがついに実行。走っているうちに鎌倉が自転車観光に向くのかも、ついでに探ることに。前半は、北鎌倉周辺をブラブラしてみる。
北鎌倉駅前の駐輪場から散策開始
前回は東京都内のアジサイの咲くスポットをいくつか巡ったが、今回はアジサイの名所として知られる寺院が多い鎌倉へ。拝観料が必要な寺院が多いことが個人的にネックだったが、トータル1000円ぐらいまでなら払おうかなとぼんやり予算を決めて出発。
数年前、神奈川県を南北に貫く環状4号線(横浜市)が自転車で走りやすいことを見つけて、ちょくちょく鎌倉方面にはサイクリングに来ている。今回も鎌倉女子大前で右折して感情4号線を離れて、県道21号に入る。
県道沿いにあるJR北鎌倉駅に近づくと、車が動かないほどの渋滞になっている。路肩もそれほど広くないので、歩行者やレンタサイクルが行きかう中、ゆっくりと進む。梅雨の晴れ間のこの日、日差しはほとんどないものの、ムシムシした暑さがまとわりつく。
午前11時ごろ、JR北鎌倉駅に到着。日本人、外国人問わず多くの観光客でにぎわっている。この北鎌倉駅の裏にある「円覚寺」がアジサイ名所のひとつだが、お寺の前には自転車をとめられないようなので、駅前にある駐輪場「北鎌倉サイクルパーク」を利用。自転車の駐輪料金は1日150円だが最近よく見る機械式の駐輪場ではなく、管理人さんがいない土日などは料金箱にお金を入れるシステムになっている。
円覚寺の前、JRの線路沿いに「白鷺池(びゃくろち)」という池があり、その周りにきれいなアジサイが咲いている。境内にもアジサイの見どころがいくつかあるようだが、拝観料500円(大人料金、以下同)とちょっと高いのでいったんスルー。
明月院「あじさい寺」は大行列
自転車をとめたまま歩いて、近くの「東慶寺」へ。ここは拝観料無料だが、境内は撮影禁止。ただ山門前の石段の左右にはアジサイが花を開いている。
さらに少し南東に歩いて「浄智寺」へ。このお寺には駐輪スペースがあり、自転車でも来られそうだった。山門の周りやその先の石段沿いにアジサイが植えられているのが見られた。
鐘楼門から先は拝観料200円が必要だが、ここまで歩いて上ってきてちょっと満足したので、引き返すことに。
徒歩で近くの踏切を渡り、「明月院」を目指す。「あじさい寺」とも呼ばれる北鎌倉周辺でも人気のお寺で、なんと数100m手前から長い行列ができている。中に入るのには、1時間そこらはかかりそうなのであきらめた。
谷戸をつなぐ切通しを越える
北鎌倉サイクルパークに戻って再び自転車に乗り、相変わらず渋滞している県道を少し南東へ進んでいく。「建長寺」という大きなお寺が左に見えてきた。道路沿いに立つ巨大な天下門の左側が駐輪場になっているので、そこの壁にロードバイクを立てかける。
門をくぐって駐車場を横切ると今度は総門があって、その手前にはサイクルラックも設置されていた。ここも拝観料は500円。予算1000円と考えていたけれど、結局ここでも使う気になれず引き返す。
県道をちょっと戻って「長寿寺」へ。石段の右側の県道沿いにはアジサイがたくさん咲いていて、道行く人も写真を撮っている。
しかし、このお寺の周りは駐輪スペースがなさそうなので、中に入るのは断念。もっと人の少ない観光地なら道端に停めたりすることもあるけれど、人通りの多い鎌倉ではマナー的にも防犯的にもやめておいた方がよさそうだ。何気に今回のサイクリングは、駐輪場を探すのが裏テーマになりつつある。
続いて長寿寺の左側にある「亀ヶ谷坂」に入る。三方を山に囲まれている鎌倉だが、その山には細かい谷がいっぱい刻まれていて、谷戸(やと、やつ)と呼ばれている。その谷戸と谷戸をつなぐのに、切通しと呼ばれる山を削った道がいくつも作られていて、この亀ヶ谷坂の切通しもそのひとつだ。
狭い道なのでクルマは通れず、歩行者、自転車、バイクは通行可。坂が急すぎて亀が引き返したという伝説から亀ヶ谷坂と名付けられたそうだが、北側からだと勾配10%ぐらいの坂でロードバイクなら越えられないことはない。頂上付近は木々が生い茂って、昼間なのに街灯がついているほど薄暗い。古都・鎌倉の風情を感じられる坂道で、ここもアジサイの名所のひとつだ。
今回はここまで。次回は鎌倉の中心部と長谷方面を巡っていく。
(光石 達哉)