【連載「生きる理由」120】柔道金メダリスト・内柴正人氏 「道場名の由来の話」~なぜEDGE&AXISなのか?

道場「EDGE&AXIS」に通う子どもたちと内柴氏、夫人(提供:合同会社EDGE&AXIS)
2004年アテネ、08年北京五輪柔道男子66キロ級を連覇した内柴正人氏は現在、熊本県内の温浴施設でマネジャーを務めている。18年からキルギス共和国の柔道総監督に就任し、19年秋に帰国した後は柔術と柔道の練習をしながら働く、いち社会人となった。
これまで、彼はどんな日々を過ごしてきたのか。内柴氏本人がつづる心象風景のコラム連載、今回は、「道場EDGE&AXISの命名理由」について。
なぜ横文字なのか、そして柔道とは無関係に見えるEDGE(角)、AXIS(軸)を選んだ理由とは。
連載116回で夫人もつづっているが、今回は内柴氏の言葉で説明する。
 

 

道場名の由来はスキー実習

打ち込みの元立ちに立つ内柴氏(右=提供:合同会社EDGE&AXIS)
「EDGE」という概念は、学生時代にスキー実習を受けていた時に感じたものでした。

――いわく、エッジとは、スキー板の左右両端にあるシルバーの金属部分。スキー板の裏側、つまり滑走面にある金属部分をベースエッジ、スキー板の側面にあるほうをサイドエッジと呼んでいます。ベースエッジに角度をつけると、スキー板を山側、または谷側に倒した時に雪面に引っかかりやすくなるため、スキー板の操作がしやすくなります――

これがなかなかうまくいかない。
柔道以外では基本、やる気のない人生を送ったとしても、何のプライドもない僕。

それでも、スキーは自分のレベルでのんびり楽しんだ実習でした。
 

投げる感覚が「エッジ」 必要なものが「軸」

人をスパンと投げきる感覚を”エッジが効いている”と表現(提供:合同会社EDGE&AXIS)
スパンと人を投げる時に感じるあの感覚。
“エッジが効いている”んですね。
この時に、軸がブレていてはバランスが崩れる。
 
軸、つまり「AXIS」です。
 

道場方針「角を合わせ 軸をとらえる」

 

子どもたちとのスクワットは楽しんで行う(提供:合同会社EDGE&AXIS)
きのうの練習で子どもたちに話しました。

「エッジと軸」が何となくしか分からない小学生に対しての説明。
「チームをEDGE&AXISなんていう名前にするのは、本当は恥ずかしいんだから!」
から始まって
英語が話せない僕がなぜ、「EDGE&AXIS」なんて付けるのか。
「『角と軸』道場なんて名前にしたら、君たちが恥ずかしいだろ」
笑笑
 
でも、
うちの方針は“角”を合わせ、“軸”をとらえる。
自分の軸のコントロールをする。これなんだから仕方がない。
名前ばっかりじゃ恥ずかしいよ。
あはははは。

以上

そんなふうに話しました。
 

道場名の由来

柔術茶帯として指導しながら自らも学ぶ(提供:合同会社EDGE&AXIS)
僕、(EDGE&AXIS道場で)柔術クラスもつくるんです。茶帯のくせに。
あんまり知らないくせに。
 
このクラスの参加者は、僕も勉強しつつ、一緒に学べることを許してくれる方にお願いしたいです。
なぜなら、僕は柔術において軸もエッジも感じることができないのです。
全然、わかんない。
 
でも、柔道であれば感じることができるのです。
(内柴 正人)

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◆内柴道場「EDGE&AXIS」公式HP

uchishiba-dojo.com

 

◆内柴正人氏による柔道指導の動画配信      

内柴氏が現在、熊本・八代市で小学生から大学生を対象に開催している練習会を中心に、指導内容を盛り込んだ動画配信を22年4月から開始している。
より詳しい内容について、メンバーシップ配信も開始した。
メンバーシップ配信では、今回の道場づくりについても動画をアップ中。
詳細は下記YouTubeのコミュニティ欄へ。

 

www.youtube.com

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うちしば・まさと

1978年6月17日、熊本県合志市出身。小3から柔道を始め、熊本・一宮中3年時に全国中学大会優勝。高3でインターハイ優勝。大学2年時の99年、嘉納治五郎杯東京国際大会では準決勝で野村忠宏を破って優勝。減量にも苦しんだことから03年に階級を66キロ級へ上げて2004年アテネ五輪は5試合すべて一本勝ちで金メダル獲得。08年北京は連覇した。10年秋引退表明。11年に教え子に乱暴したとして罪に問われ、上告するも棄却。17年9月出所。得意技は巴投げ。160センチ。18年に現在の夫人と再婚し、1男がいる。20年1月から現在の職場に勤務。

 

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