読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
梅雨の風物詩と言えば、色とりどりの花を咲かせるアジサイ。今回は東京多摩地区を中心に4カ所のアジサイの名所をサイクリングで回ってみた。
あじさいの名所を目指して造られたあじさい公園
アジサイの名所といえば、長谷寺や明月院など鎌倉のお寺が有名だが、拝観料がそれなりにするので何カ所も回るのはお財布的にちょっと厳しい。
というわけで、今回は東京都西部の多摩地区を中心にアジサイが楽しめるスポットをサイクリングで回ってみた。
梅雨入り直前のちょっと晴れ間も見えるこの日は、ムシムシした暑さもまだなく、風も爽やかでサイクリングに最適なコンディションだ。
最初に向かったのは、小平市にあるその名も「あじさい公園」。昭和48年にあじさいの名所を目指して造られ、約1,500株のあじさいが美しく咲き誇る。多摩湖自転車歩行者道(保谷狭山自然公園自転車道線)沿いにあるので自転車でも立ち寄りやすく、西武線・小平駅からも徒歩5分と交通の便もいい。
園内は自転車の乗り入れはできないが、歩いても2、3分で一周できるほどの広さ。他の花と同じく2023年はアジサイの開花も早いようだが、この日は満開まであと一息といったところ。それでも青、紫、ピンク、白のアジサイがきれいに花を咲かせていた。2023年は6月14日(水)~25日(日)に毎年恒例の「こだいらあじさいまつり」が開催され、ライトアップも行われるという。
ツツジの後にアジサイが花開くお寺
多摩湖自転車歩行者道はロードバイクで走るにはちょっと狭いので、東京街道や青梅街道をつないで西へ。20kmちょっと走って次の目的地、青梅市の「塩船観音寺」に到着。ここは、大化年間(645~650年)に開山した真言宗のお寺で、周囲を丘に囲まれた地形が船の形に似ていることから塩船と名付けられたそうだ。
ツツジの名所としても有名で、ちょっと前の4月中旬~5月中旬のつつじ祭りの時期には境内の奥の斜面一面が色とりどりのツツジに彩られるそうで、その頂上には塩船平和観音立像が立っている。
「あじさい園」は本堂に右側の斜面に広がっていて、隣の霞丘陵自然公園と繋がるハイキングコースにもなっているようだ。ここも満開までもう少しといったところだが、カラフルなアジサイがたくさん花開いている。
アジサイの咲く巡礼路で八十八カ所巡り
続いては南東へ約25km。青梅街道や多摩大橋通りを走り、日野市の「高幡不動尊」へ。
新選組副長・土方歳三の菩提寺としても有名なお寺だが、毎年6月いっぱいは「あじさいまつり」も開催されている。
境内は朱塗りの五重塔が目印だが、アジサイはその左側の丘に広がっている。山内八十八カ所と呼ばれる四国八十八カ所を模した巡拝路が作られていて、その道沿いに約200種類以上、7500株あまりのアジサイが咲いているという。
全部回ると時間がかかりそうだったので、少しだけ散策させてもらった。
境内の入り口のお店で「あじさい餅」や「あじさい饅頭」を売っていたので、2色の「あじさい餅」を買ってみた。お店のおばさんは「冷やしたり、凍らしたりしても、おいしいよ」と言っていたけれど、お腹が空いていたのでその場で食べてみる。
アジサイの味がしたかどうかはアジサイを食べたことがないのでわからなかったけど、フルーティーな酸味もあり、お餅もきめ細かく、常温でも結構おいしかった。
多摩川沿いを下り多摩川台公園へ
さて、今度は川崎街道や多摩川沿いの道を約30km東へ。多摩地区を離れ23区内に入り、大田区の「多摩川台公園」へ。
多摩川にかかる丸子橋のそばで、すぐ隣には多摩川浅間神社がある。台地のようになった公園全体に約7種類、4,000株のアジサイが植えられているようだが、この日は東急・多摩川駅から歩いてすぐの東側の斜面がよく咲いていたようだ。
というわけで今回は4カ所のアジサイの名所を巡ってみた。満開になるのはこれからなので、気になるところがあれば出かけてみてはいかがだろう。
(光石 達哉)