【行ったつもりシリーズ】「富岡製糸場」周辺で世界遺産めぐりサイクリング!~明治日本を支えた産業の歴史をたどる③

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妙義神社の一之鳥居。その向こうに日本三大奇勝、奇岩がそそり立つ妙義山がそびえる(撮影:光石 達哉)

読むだけで行ったつもりになれるかもしれない紀行連載「行ったつもりシリーズ」。

 

今回は群馬県にある世界遺産・富岡製糸場とその周辺をサイクリング。スマホアプリで集められるデジタルスタンプラリーにも挑戦しながら、秋の上州路を走ってきた。第3弾は2日目の前半、甘楽町から妙義山へと走っていく。

世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺跡群」に登録されている4つの構成資産をめぐり、それらを含む24カ所のデジタルスタンプラリー(世界遺産4カ所、日本遺産2カ所、ぐんま絹遺産16カ所)にも挑戦している今回の自転車旅。

1日目は富岡製糸場など半分の12カ所のスタンプを集めたが、後半時間が足りなくなってしまった。

各施設がオープンする午前9時に合わせてスタートしたのが原因でもあったので、今回はそれより早めに動き出すことにした。

 

 

採石場への道のりは長かった!

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朝イチで向かったのは甘楽町の「富岡製糸場土台石採掘場所跡」。ここから山道に入っていけば、すぐたどり着くと思ったのだが…(撮影:光石 達哉)

2日目のスタート地点は、藤岡市と富岡市の間にある甘楽(かんら)町。本来なら前回通りたかったエリアだ。未明に都内を車で出発して道の駅の駐車場に到着し、朝7時に準備完了。話しかけてきたおじさんが「きょうあたりは紅葉もきれいだよ」と言っていたので、その辺も期待しつつペダルに足をかけた。

朝早い時間は指出しグローブだと寒いなあと思いながら、最初に向かったのは道の駅の少し南にある「富岡製糸場土台石採掘場所跡」(ぐんま絹遺産)。地図アプリを見ると、ちょっと山の中に入ったところにあるようだ。

登り口らしきところに自転車をとめて、1~2分歩けばたどり着くかなと思ったが、なかなか見つからない。案内の標識らしきものも見当たらず、急斜面のトゲトゲの藪の中をかき分けたりする。

さっきまで寒いと思っていたのに、一気に汗だくになった。朝から迷子になるのかなと心配していると、ようやくそれらしきルートを見つけた。座り込んでひと休みし、ちょっと歩くと目指す採掘場所跡があった。

 

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遭難しかけながら見つけた「富岡製糸場土台石採掘場所跡」。鎖の上と合わせて上下2段に分かれている。左側のように階段状に石が切り出されたという(撮影:光石 達哉)

後で気づいたのだが、近くの駐車場にトレイルコースの案内板があり、そのコースの一番奥付近に目指す採掘場所跡があったもよう。それを先に見ていれば、迷わずに済んだということだ。

この採掘場所跡からは、富岡製糸場の建物の土台等に使う石材が約4000本切り出されたという。こんな山の中から石を切り出すのも大変だったろうけれど、当時はそれが最善の方法だったのだろう。

 

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採掘場所跡からの景色。谷間に朝日が降り注ぐ(撮影:光石 達哉)

帰りはちょっと遠回りする道を選んでしまい、結局1km弱のトレイルコースをほぼ一周。なんだかんだ1時間近くかかってしまい、早めにスタートした貯金をいくらか食いつぶしてしまった。

 

甘楽町の養蚕ゆかりの地をめぐる

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かつて繭や生糸を保管していた「旧小幡組製糸レンガ造り倉庫」。現在は甘楽町歴史民俗資料館として使われている。見学料は高校生以上200円(撮影:光石 達哉)

次は1kmほど北へ向かい「旧小幡組製糸レンガ造り倉庫」(日本遺産)へ。ここは1926年(大正15)に建てられた倉庫で、この地域の養蚕農家の組合的役割だった甘楽社小幡組が繭や生糸を保管していたそうだ。

現在は甘楽町歴史民俗資料館となっているが、開館時間は午前9時でまだ1時間近くあるので、外観だけ撮影。

さらに1.5km北へ走り、JA甘楽富岡・甘楽支所の駐車場の片隅にある「甘楽社小幡組由来碑」(日本遺産)に到着。先ほどの養蚕農家の組合、甘楽社小幡組の歴史と発展を伝える石碑で、1917年(大正6)に建てられ、1983年(昭和58)からこの地に置かれているという。

 

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JA甘楽富岡・甘楽支所の駐車場の端っこにある「甘楽社小幡組由来碑」。「邑(むら)ニ養蚕セザルノ家ナク製絲セザルノ婦ナシ」と書いてあるという(撮影:光石 達哉)

 

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甘楽町には最近メディアなどでよく取り上げられる「こんにゃくパーク」もある。こんにゃくの無料バイキングが人気(撮影:光石 達哉)

 

1400年以上の歴史をもつ一之宮貫前神社へ

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写真を撮るため、再び「富岡製糸場」に立ち寄る。正門横には赤い丸ポストもあった(撮影:光石 達哉)

ここから4km西に向かい、前回訪れた富岡製糸場前に再び立ち寄る。まだ開場前だが、前回は午後に訪れて東向きの正門が逆光だったので、写真だけ撮って再出発する。

さらに3km西へ進み、一之宮貫前神社(いちのみや ぬきさきじんじゃ)へ。

 

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富岡市内にある一之宮貫前神社へ行く途中、やばい激坂に迷い込み自転車を押す羽目に(撮影:光石 達哉)

1400年以上の歴史を持つ神社だが、総門の左右に立つ高さ3.95mの青銅製の燈籠が「貫前神社唐銅製燈籠」としてぐんま絹遺産に登録されている。

群馬県内外の養蚕農家や生糸・絹商人1544人が献金し、養蚕や生糸生産の繁栄興隆を願って慶応2年(1866年)に建てたという。

 

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一之宮貫前神社の総門前に立つ「唐銅製燈籠」。高さ3.95mで、養蚕農家や生糸商人の献金で建てられたという(撮影:光石 達哉)

 

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総門をくぐり、長い石段を下った先に本殿がある(撮影:光石 達哉)

 

165の石段を登ると そこには…!?

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県道47号を走っていると、季節外れのひまわりが一面に咲いていた。右奥に見えるのが妙義山(撮影:光石 達哉)

次は県道47号に出て、北西へ向かって約10km走る。岩が反り立ったような異様な形の山が、だんだん大きくなってくる。妙義山(みょうぎさん)だ。

ふもとに近づくと勾配が厳しくなり、10%以上にまで跳ね上がるところも。午前10時に道の駅みょうぎに自転車を停め、今回の目的地である妙義神社まで歩いていく。

 

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道の駅みょうぎに到着。ソフトクリームが人気なようで、食べている人が多かった。妙義神社までは歩いてすぐ(撮影:光石 達哉)

妙義山は、近くで見るとゴツゴツした岩肌がより一層際立つ。数百万年前までは活火山だったが、長年の風雨で溶岩などが削られて今のようなかたちになったという。日本三大奇勝のひとつにも数えられ、登山でも人気のようだ。

そのふもとにある妙義神社は、532年(宣化2)の創建とあるから1600年近い歴史がるようだ。一番下にある一之鳥居から100段ほど石段を登り、総門をくぐった先にスタンプスポットの「妙義神社青銅製燈籠」(ぐんま絹遺産)がある。

これは、1864年(元治元年)に「養蚕倍盛・商売繁盛」を祈願して諸国の糸繭商人、養蚕家など223人の寄進で建てられたという。先ほどの貫前神社とともに富岡製糸場との関連は薄いように思うが、それだけこのあたりで養蚕や製糸業が盛んだったということだろう。

 

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妙義神社総門の「青銅製燈籠」。糸繭商人、養蚕家などの寄進で建てられた。高さは4.35m(撮影:光石 達哉)

ここまでかなり石段を登ってきたので、せっかくなのでさらに上にある御本社(本殿・幣殿・拝殿)までお参りしてみる。この先は石段165段の男坂、緩やかな女坂の二通りの道があるが、頑張って男坂を上り切ると、豪華なつくりの御本社があった。

 

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御本社への男坂。総門から165段の石段を登る。緩やかな女坂もある(撮影:光石 達哉)

 

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妙義神社の御本社(本殿・幣殿・拝殿)。屋根の下の欄間などに細かな彫刻が施されている。日光東照宮の彫刻師が手がけたと伝えられている(撮影:光石 達哉)

境内は紅葉が真っ赤に色づいて見ごろを迎えていた。

 

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境内は紅葉が鮮やかだった(撮影:光石 達哉)

 

道の駅に戻ってちょっと一息ついたら、すでに午前10時40分ほど。この日はここまで5つのスタンプを集め、計17個。次回は世界遺産4個目の構成資産、下仁田町にある荒船風穴を目指す。

(光石 達哉)

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今回のルート:①富岡製糸場土台石採掘場所跡<ぐんま絹遺産>-②旧小幡組製糸レンガ造り倉庫<日本遺産>-③甘楽社小幡組由来碑<日本遺産>-④貫前神社唐銅製燈籠<ぐんま絹遺産>-⑤妙義神社青銅製燈籠<ぐんま絹遺産>(撮影:光石 達哉)

 

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