【パラスポーツ】車いすラグビー・ジャパンパラ 代表候補選手が激突

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次世代のエース候補として成長を続ける橋本勝也(撮影:岡田剛)

 

東京2020パラリンピックで銅メダルを獲得した車いすラグビーのジャパンパラ大会は11月20日、千葉県の千葉ポートアリーナで開幕した。日本代表候補をA、B、Cの3チームに分けて総当たり戦を実施したもので、21日はBチームーCチームの決勝などを行う。

今大会には池透暢、池崎大輔の両エースが参加せず、若手中心のチームも編成された。連覇を狙う2022年世界選手権、そして悲願のパラリンピック金メダルを目指す24年パリ大会に向けて、さらなる戦力の底上げを図る。

 

 

橋本勝也 世界一になるための進化

世界の頂点へ、進化の真っ最中だ。Bチームの一員として出場した橋本勝也(三春町役場)。東京パラリンピック後から練習メニューを一新して、再び世界と戦うための準備を着々と進めている。

若手主体のAチームと対戦した第1試合は30トライを挙げ、50-38で勝利。島川慎一らを擁するベテラン勢中心のCチームと対戦した第3試合は、トライに加え味方へのロングパスも効果的に繰り出し攻撃をけん引。ディフェンスでは島川との激しいマッチアップで、久々に会場で観戦する観客を沸かせた。試合は52-51で接戦を制した。

 

東京大会までの練習では、スタミナを意識して走ることに重点を置いていた。大会後は、競技用車いすの操作、そして車いすの漕ぎ出しを意識した短いラン、ロングランを組み合わせて行うなど、練習の中で細かい部分を確認するメニューに切り替えた。

練習方法を変えてから日が浅いため「結果はまだ…」と話すも、「着実に進んでいる実感はある」と手応えをつかんでいるようだ。

 

改めてパラリンピックを振り返り「負けた英国戦の最後に出た時、自分のプレーができなかった。というより何もさせてもらえなかった」と、世界の壁を痛感。当時の悔しさは、今ではつらい時に自分を奮い立たせるための原動力となっている。

東京大会は3.0クラスで出場していたが、3.5クラスに変わった。変更はパラリンピックの英国戦後に知ったという。とはいえ「(3.0の時と)やることは変わりない」と話し、選手の組み合わせが変わったとしても、自らがチームを助けるためのプレーをする役割は今までと同じだ。

3.5クラスといえば、豪州のエースで車いすラグビー界のスター選手ライリー・バットをはじめ、世界のトップ選手が名を連ねる。「世界の3.5の選手を上回れるトレーニングをしていきたい」。世界一のプレーヤーを目指す若きエース候補は、力強く言い切った。

 

若手チームのし烈な競争

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2.5クラス若手注目株の白川楓也(撮影:岡田剛)


ケビン・オアーヘッドコーチ(HC)が率いた日本代表候補Aチームは、主に若手選手で構成。次世代を担う選手たちが、経験豊富なトップ選手に挑んだ。

19年から代表入りし、東京大会のメンバーにも選ばれた0.5クラスの中町俊耶(コロプラ)。ディフェンスでは、ハイポインターの島川、そして東北ストーマーズのチームメートでもある橋本らへ果敢にアタック。納得の良くプレーがあった反面、「疲労やプレッシャーを感じるとプレーの精度が下がってしまう」と反省も口にした。

 

Aチームには、2.5クラスの選手が3人入った。中でもスピード感あふれるプレーが目立った白川楓也(しらかわ・ふうや、テスホールディングス)は、1999年2月26日生まれの22歳、北海道出身。以前は体操選手だったが、大会中に頸髄を損傷。16年リオ大会後、同じく北海道出身の池崎大輔に誘われ、車いすラグビーの世界に飛び込んだ。

東京大会の日本代表で見ると、2.5クラスの選手はゼロ。ミドルポインター枠の争いは、若手の台頭でますます熱を帯びてきそう。「(橋本)勝也が3.5になったことで、若い選手だけのラインも組めるようになる。2.5の3人は個性がある選手ばかりで、みんなで頑張りたい」

 

島川慎一「伸びてくる選手を見るのが楽しい」

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若手選手の成長を肌で感じている島川慎一(撮影:岡田剛)


ベテランの多いCチームで攻守にわたって活躍した島川は、「育成合宿から見ている選手たちが、どんどん伸びてくるのを見ているのが楽しい。合宿や大会を通して、もう一歩上のレベルに成長してくれれば」と、後輩たちの背中を押した。

池、池崎が不在の大会で、これまで出場機会の少なかった若手にとっては絶好のアピールチャンス。オアーHCは、「経験のある選手、ない選手の差を埋める」と話し、若手を中心に今大会の出場選手がよりレベルアップした状態で2人が加われば、「さらに強くなる」と自信をのぞかせた。

大会後の合宿には、池、池崎も加わる予定。12月からは世界選手権の準備に入り、技術面だけでなくメンタル面の強化も進める。今大会に出場した選手と日本のエースが加わった時に、一段とレベルアップした日本代表が見られるだろう。

(岡田剛)

 

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