読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。
夏の風物詩と言えば、黄色い大輪の花を咲かせるひまわりもそのひとつ。今回は神奈川県座間市のひまわりまつりに自転車で向かいつつ、周辺のひまわり畑も訪れてみた。
武蔵村山ガーデンのひまわり畑が…
ツール・ド・フランスでは選手たちの集団がひまわり畑を走るシーンが毎年お馴染みのきれいな映像なので、自転車とひまわりの親和性は高いんじゃないかと勝手に思っている。
ここ数年は東京都武蔵村山市の「武蔵村山ガーデン」というひまわり畑を毎年見に行っていて、先日、近くを通った時に寄ってみたのだが、なんと今年は閉鎖されていた。もともと団地の敷地の一部だったため、再開発されることになったのかもしれない。
というわけで、今年は別の場所に行ってみよう。神奈川県座間市には首都圏随一の55万本の数を誇るひまわり畑があるので、そこを目指しながらほかのひまわり畑にも立ち寄ってみた。
最初に訪れたのは、東京都町田市にある「なんまちひまわり畑」。ここは2018年に作られた地元の横田農園が運営するひまわり畑で、約1万本が咲いている。さほど広くはないが、撮影用のベンチもあり、子ども連れなど多くの人が訪れていて良い雰囲気だ。
首都圏随一55万本のひまわり
ここから数100m走ると、すぐに神奈川県だ。西に進んで座間市に入ると、地図アプリに「栗原ひまわり畑」という場所があるので向かってみた。しかし、実際行ってみると、ひまわりは1本も咲いていない。かつてここは座間のひまわりまつりの会場の一部だったようだが、数年前から行われなくなったようだ。
さらに西に進むと、相模川沿いに目指すひまわり畑が広がっている様子が見えてきた。ちょうどこの日は「座間市ひまわりまつり」が開催されていて、遠目からも多くの人で賑わっているのがわかる。駐車場待ちの車も多い。近くの駅から臨時バスも出ているようだが、あまり交通の便がいいところではないので、自転車だと便利だ。会場内にはバイク・自転車用の駐輪場もある。
座架依橋の相模川東岸あたりがひまわりまつりメインの座間エリアで、特に橋の南側が多く咲いていて、出店のエリアもあってなかなかの盛況だ。実は数年前にも来たことがあるけれど、時期が少しずれていたのでここまで盛り上がっていなかった。
ただ到着したのが、ちょうどお昼前の暑い時間帯。この日は日本列島に台風が近づいていたが、まだ空模様や風はほぼ影響なく、カンカン照りの日差しが照りつけている。スマホも熱くなってカメラもうまく起動しないので、写真を撮るだけでも一苦労だった。
さらに、南側にも同じ座間市ひまわりまつり四ツ谷エリアのひまわり畑がある。シャトルバスで行き来できるようになっているが、自転車だと1~2分で行ける近さだ。この四ツ谷エリアの方が面積は小さいが、人が少ないのでゆっくり見られる。いろんな種類のひまわりも咲いているようだ。
座間市ひまわりまつりは、今年は8月11~14日の開催(14日は台風のため中止)だったが、8月下旬ごろまでは咲いているひまわりが見られるようだ。
毎年種をまかないと、ひまわりは咲かないのだ
この後、事前にチェックしていた横浜市内の別のひまわり畑に行こうと思ったが、ネットの情報をよく調べるとそこも数年前に閉鎖されているようだ。桜や梅のように毎年花が咲く木ではなく、一年草のひまわりは種をまかないと毎年花が見られるわけじゃないということだろう。
走りながらいろいろ調べていると、横浜市旭区の「追分市民の森」にもひまわり畑があるらしい。アクセスがややわかりにくいが、矢指町入口というバス停から東に伸びる細い道に入っていって、突き当りを右折すると小川が作る谷に沿って花畑がいくつかある。
季節によっていろんな花が植えられていて、別の時期にも来たことがあるが、この日は奥の方に約2万本が咲くひまわり畑が広がっていた。分かりにくい場所なので人も少ないが、「東北八重」という珍しい品種のひまわりが咲いていた。
さらに調べていると、川崎にもひまわり畑があるようだ。この日は南側からアプローチしたので手前の丘越えがちょっとしんどかったが、サイクリストがよく通る尾根幹(南多摩尾根幹線道路)からもそれほど遠くない。
この「黒川ひまわり畑」は川崎市とJAが運営していて、もともと市内の別の場所にあったのが、今年からこの場所に移ったようだ。というところまではよかったのだが、ちょうど前日に摘み取り体験が行われていたそうで、ほとんど花は残っていなかった。
今回は予定通りに行かず、相変わらずの猛暑の中あちこち走り回ったけれど、ひまわり鑑賞は楽しめたので良かったことにしよう。
(光石 達哉)