【母校トリビア】卒業生だけが知るアノ伝統校の「おおらかな姿」とは?~学習院高等科(東京)

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学習院の敷地は目白駅から徒歩1分もかからないんです!(写真:photoAC)


卒業生が母校のユニークな側面を語るコラム、今回は厳かで雅なイメージのある学習院高等科について。

 

学習院の高校は女子部と男子部があり、「学習院高等科」は男子部、すなわち男子校だ。男子部は「天皇陛下の出身校」として有名な伝統校で、卒業生には皇室や作家・三島由紀夫、武者小路実篤、政治家の麻生太郎ら有名人がずらりと並ぶ。

 

そんな学習院高等科は「どうせお堅いんでしょ」「厳しそう」「お坊っちゃま校」と思っている方もいるだろう。そんなイメージを打破するために、20代OBが「知られざる自由な学習院」について紹介する。

 

 

中等科と高等科で別世界⁉

学習院は幼稚園をはじめ、大学まで続く一貫校だ。東京・四谷にある初等科以外は、目白のキャンパス内の違う建物にある。そして、中等科と高等科は唯一同じ建物にあるが、校風は全く異なる。

中等科まではかなり厳しい。スマホやゲーム機なぞを持って行った暁には没収される。髪を染めるなんて言語道断だ。詰襟の制服は一番上まで閉めなくてはいけない。

しかし、高等科に上がると、180度変わる。校則のようなものはほとんどなく、先生は生徒の持ち物を取り締まらないし、髪型だって自由だ。

だから髪を派手な色に染めたり、制服を着崩したりする生徒も出てくる。大学デビューならぬ高等科デビューを飾るわけだ。

 

ちなみに、新宿・戸山に存在する学習院「女子」高等科とも校風が全く異なる。なにせ女子高等科の挨拶は「ごきげんよう」。用事があって女子高等科に行く時に、警備員から「ごきげんよう」と言われると結構ビビる。

 

休み時間に食べられる〇〇

高等科生のお財布事情は意外とつつましい。

食堂の人気メニューはフライドポテト、100円!である。

昼休み以外でも買って教室で食べることができる。小腹が空く2時間目終了後は100円握り締めて食堂に行き、教室でポテトを食べている生徒はいつもいる。

今思うと塩気がありすぎたが、食べ盛りの高等科生の授業で疲れた頭にはこれがちょうど良かった。

 

「一芸」を持つ生徒たち

高等科生はよっぽどのことがなければ学習院大に進学できる。

つまり、受験はやりたい人しかやる必要がない。だから、高3の後半でも張り詰めた空気はまったくない。よって、受験シーズンでも穏やかな空気が漂っている。

受験の心配がない上に、自由な校風だから生徒は自分のやりたいことをひたすら極める。

筆者の同期にもさまざまな「一芸」を持つ友人がいた。そんな彼らが出し物をする謝恩会は恐らく日本で一番クオリティーが高い。なんとバレエから歌舞伎、斬新な演出の演劇まであったんだから!

 

クラシック音楽から歴史を学ぶ授業とは

生徒が自由ならば先生も自由だ。

大学受験が必須の高校ではないため、先生は受験を意識した授業をやる必要がない。普段の授業も雑談や脱線が多いし、興味のある部分はやたら細かく解説する。テスト範囲が終わらず、直前の授業に詰め込む光景はもはや名物である。

しかし、先生方が好きなことを好きなように話している内容はめちゃくちゃ面白い。今思えば大学の授業を少し早めに体験していたのかもしれない。

 

2年生になると選択授業が増える。筆者はクラシック音楽を通じて歴史を考察する授業をとっていた。音楽好きの社会・政経担当教諭がモニターでオペラやコンサートの映像を流しながら解説、というかマニアな話をする異様な授業である。課外授業で実際のコンサートに出掛けることも多い。

先生が提示する課題のテーマも独特だ。生徒が授業でするプレゼンテーションは「ワーグナーのオペラ」、レポートは「クラシック音楽と異国趣味」だった。趣味を知識や教養として生かす術を学べるのだ。

 

「皇室御用達」だけではない学習院

なぜ、高等科から校則が緩くなるのか。

基本的なマナーを学ぶ期間が中等科で、高等科は自分の興味関心を自由に広げ、将来につなげる準備期間なのだ。

「皇室御用達」というイメージでしか触れられないのはもったいない。

庶民的でおおらかな学習院高等科を知っていただけたなら、と思う。

 

(mimiyori編集部・曽根佑太郎)

 

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