【競馬ブログ】「気まぐれウマ放談」有馬記念回顧~最強牝馬の明と暗

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5馬身差の圧勝劇を演じたリスグラシュー。これ以上ないラストランとなった(19年有馬記念、撮影・おかだ)

こんにちは!
競馬ページ担当の おかだ です!

このページでは、競馬観戦歴10数年の、まだまだ勉強することばかりのファンが、競馬にまつわるあらゆる話題を気ままに書いていきます。

12月22日、グランプリ・有馬記念(G1、中山、芝2500m)が行われました。G1馬11頭が揃ったハイレベルな一戦を制したのは、単勝2番人気のリスグラシュー(牝5)でした。ラストランを優勝で飾り、宝塚記念(G1)と合わせて牝馬初の両グランプリ制覇で競走生活を締めくくりました。

ちなみに、筆者の軸はリスグラシュー(プレビュー③参照)。馬券は単勝で的中でした。圧倒的人気の馬がいたとはいえ、6.7倍は予想外。もっと数字が下がると思っていたので、良い結果になりました。

一方、単勝1.5倍、圧倒的1番人気に推されたアーモンドアイ(牝4)は9着に終わりました。これまでに見たことのないような直線での失速。最強牝馬の最初で最後の対決は、大きく明暗が分かれました。2頭の走りを中心に振り返ります。

 

 

 

 

5馬身差圧勝 有終の美~リスグラシュー

ラストランとは思えない走りでした。リスグラシューは、2着馬に5馬身差をつける圧勝。牝馬初の両グランプリ制覇という偉業を成し遂げました。

スタートから道中は中団後方のインコースに控え、じっくりと脚を溜めていました。最初の1000m通過は58秒5。ハイペースで進む中、勝負所までじっくり構えていた様子でした。

4コーナーから最後の直線入り口にかけて、アーモンドアイなど有力馬が先行した馬を捉えに行きます。各馬の動きに動じることなくギリギリまで内に控えて、直線に入ったところで一瞬、スペースが空きました。

ここで騎乗したダミアン・レーン騎手が外に誘導。追い出されると力強く脚を伸ばし、内で伸びを欠くアーモンドアイなどを置き去りにしてゴール板を駆け抜けました。

ここまで強かったのかと思わせるほどの圧勝。馬の力はもちろん、有馬記念当日の限定騎乗が認められて来日したレーン騎手のファインプレーも光りました。

引退が迫っていたとはいえ、有馬記念当日の馬体重は宝塚記念と比較してプラス8キロ。5歳になってG1を3連勝するくらいですから、さらに力をつけて、まだまだ成長を続けていたように思われます。

引退はもったいないと思う部分はありますが、競走生活の締めくくりとしては、これ以上ない最高の形です。海外のレースを含めて22戦7勝、うちG1は4勝。最後に強烈な印象を残して、堂々とターフを去ります。


まさかの9着~アーモンドアイ

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9着に敗れたアーモンドアイ。直線では力なく失速した(19年有馬記念、撮影・おかだ)

G1・7勝目を狙ったアーモンドアイは9着。初めて3着以内を外しました。

最後の直線に入ったところでは、いつものように伸びるかと思わせましたが、力なく馬群に沈みました。

敗因として「1周目のスタンド前でスイッチが入り、リラックスしてレースを進められず、最後まで余力を残せなかった」ことが挙げられています(日刊スポーツ、12月23日付)。集まった観客の大きな歓声が待っている1周目のスタンド前。反応の良さが裏目に出てしまった可能性も考えられます。

レース映像を見ると、1周目のスタンド前で前に行きたがるような素振りを見せていました。終始、外を回らざるを得ない状況になってしまい、リラックスして走れる場面がありませんでした。

加えてハイペースの競馬になったため、余力を残せずに最後の直線を迎えてしまいました。最後の失速は、これまでの走りを考えれば想像することはできなかったでしょう。

先週のプレビュー③では、アーモンドアイについて「今回が最大の試練」として、いくつか不安点を挙げていましたが、ここまでの惨敗は想定外でした。あくまで個人的見解ですが、中山芝2500mへの適性と距離延長への不安が出てしまった結果になったと思います。

現役トップクラスの力を持つ馬であることは、これまでの走りを見れば疑いようがありません。この敗戦から、どのように立ち直っていくのか。より一層注目を集めることになりそうです。


力示した3歳馬・意地見せた凱旋門賞組

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2着のサートゥルナーリア。力を示すことはできたが、相手が悪かった(19年有馬記念、撮影・おかだ)

3歳馬2頭も力を示しました。2着に入ったサートゥルナーリア(牡3)は、パドックからレース直前まで落ち着いていた姿が印象的でした。気性面の課題をクリアして、大一番で能力を発揮できたと思います。

最後の直線では一時、先頭に立つ場面もありましたが、勝ち馬にあっさりかわされてしまいました。それでも、前走の天皇賞・秋(G1)で見せた競馬とは違い、最後まで力を出し切って2着。2020年につながる競馬ができました。

3着ワールドプレミア(牡3)は、最後方に控えて最後の直線に懸ける競馬。ハイペースになったことも味方して、最後は外から末脚を伸ばしました。こちらは2020年の天皇賞・春(G1)が今から楽しみです。

凱旋門賞組はフィエールマン(牡4)が4着、キセキ(牡5)が5着。G1馬としての意地を見せました。

フィエールマンはリスグラシューの外、アーモンドアイをマークするような形でレースを進めました。自ら勝ちに行く競馬で仕掛けていきましたが、最後は4着。それでも凱旋門賞での惨敗から持ち直し、健在ぶりを示しました。

キセキはスタートが悔やまれました。出遅れて後方のポジションになりましたが、以前のような差しの競馬で、直線では力強く脚を伸ばしました。2020年は6歳。まだまだ見限れません。


ラストラン組は個性発揮

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ハイペースを作り出したアエロリット。主導権は最後まで譲らなかった(19年有馬記念、撮影・おかだ)

有終の美を飾ったリスグラシューの他に5頭の馬がラストランを無事に走り切りました。

レースを作ったアエロリット(牝5)。積極的な逃げでハイペースに持ち込むも、最後は力尽きて14着でした。同馬にとって長い長い2500mでしたが、いつもの「逃げ」を貫きました。

4年連続の有馬参戦となったシュヴァルグラン(牡7)。大外16番枠からスタートし、後方でレースを進めて直線では足を伸ばしましたが6着に終わりました。7歳馬、息の長い活躍で中長距離戦線を支えてくれました。

17年ダービー馬のレイデオロ(牡5)。スタートは出遅れましたが、後方待機から最後はシュヴァルグランとともに伸びて7着でした。5歳世代のトップホース。主役級の活躍でG1戦線を盛り上げました。

アルアイン(牡5)は松山弘平騎手とのコンビ復活でラストラン。3、4番手の好位でレースを進めましたが、11着に終わりました。中距離G1戦線の常連。常に上位争いを繰り広げてきました。

クロコスミア(牝6)は先行策を取りましたが、ハイペースも影響して16着。エリザベス女王杯(G1)3年連続2着など、大一番での先行力は侮れない1頭でした。





今回はここまで。
次回の更新は来年になります!



参考:馬名、成績など競走馬に関するデータはJRA公式サイト