川村怜 21年もブラサカの「主人公」
主役の座は譲れない。男子代表主将の川村怜が、パペレシアル品川を準決勝ラウンド進出に導いた。
第1試合のソイエ葛飾戦でハットトリックを決めるなど2試合で5得点。「もっと取るチャンスはあった」と、さらに高いレベルのプレーを自らに求めながらも正確で力強いシュートを放ち続けた。
初戦は3-1で快勝。首位通過を目指した順位決定戦は、試合開始直後から果敢に攻め込んだ。前半2分の先制点は自陣でボールを奪いゴールへ一直線。さらに同11分にはゴール前で獲得したFKを確実に決め、2-0でたまハッサーズを下した。多くの得点を挙げたが、観客のいないグラウンドに歓声はなかった。「ゴールが決まった瞬間の観客の声援が醍醐味ですし、それを求めているので、やはり寂しさはある」。
今大会は新型コロナウイルスの影響で中止となった日本選手権と全国クラブチーム選手権の代替大会として20年度限定で行われている。試合出場は2月に行われたKPMGカップ以来、約9カ月ぶり。「自分で何ができるかを探しながら常に戦う準備を続けてきた」と、選手同士が集まって練習することが厳しい状況の中でも気持ちを緩めることはなかった。
21年は準決勝ラウンド、さらに東京パラリンピックが待っている。「(パラリンピックは)開催されるかどうか分からない状況だが、大会の主人公になれるように準備をする。自分自身を極め続けて、目標を達成したい」。チームのエース、そして代表主将として先頭を走り続ける。
黒田智成 得点機逃すも「全員で力を出せた」
たまハッサーズはパペレシアル品川に敗れて2位。ワイルドカードで準決勝ラウンド進出を決めた。得点源である男子代表強化指定選手の黒田智成は「前半バタバタしていたところで失点し、苦しい展開になったが、後半はたまハッサーズらしい戦い方ができた。チーム全員で力を出すことはできた」と前を向いた。
前半はゴール前まで迫り、相手に囲まれそうになりながらシュートを放つも枠の外。後半の決定的な場面は相手GKのセーブに阻まれた。「守りから攻撃に移っての得点を狙っていた。点を決めきれなかったことは悔しい」。
ようやく試合が再開し、チームで協力してサッカーができる楽しさを改めて実感している。大会開催については「本当に多くの方々に支えられて、この大会が実施された」と感謝を口にした。
東京パラリンピックに向けては、「延期された期間をプラスに捉えてよりレベルアップできるよう取り組んでいる。成果をしっかり出せるように、より高いレベルを目指して頑張っていきたい」と意気込む。
じゅんいちダビッドソン「サッカーと違う面白さ」熱弁
ブラサカ応援メンバーで、お笑いタレントのじゅんいちダビッドソンが、試合前に配信された「本日の見どころ解説」に出演した。
男子日本代表の高田敏志監督と交流があり、数年前から練習や代表戦を見学。ブラインドサッカーの魅力について「普通だったらファールになってしまうような激しいプレーがある。サッカー、フットサルと違った面白さ、楽しみ方ができる」と熱弁。また、注目している日本代表の選手として、主将の川村、そして「球際の強さが印象に残っていた」という田中章仁(たまハッサーズ)の名前を挙げた。
配信には、まるで異国にいるようなビーチの風景をバックに白のスーツ姿で登場。「サポーターが静まり返ることで、ピッチにいる選手たちと一体になって戦っている。生で見られる機会があったら、ぜひ見てほしい」と、遠く離れた(?)場所から画面越しのブラサカファンに呼び掛けた。
準決勝・決勝ラウンドは21年開催
1stラウンドを勝ち上がった兵庫サムライスターズ、A-pfeile広島BFC、埼玉T.Wings、コルジャ仙台ブラインドサッカークラブ、パペレシアル品川、ワイルドカードのラッキーストライカーズ福岡、free bird mejirodai、たまハッサーズの計8チームが準決勝ラウンドに進出する。準決勝・決勝ラウンドは21年1〜2月に開催予定(会場未定)。
また、1stラウンドの表彰式は11月20日にオンラインで開催される。各会場1位のチームならびにMVP選手の表彰が行われる予定。
(岡田 剛)