【母校トリビア】現役慶應大生が教える季節別あるある~日吉キャンパス編

誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かにその通り。”慶應線”がやってまいりました(photoAC=写真はイメージ)

慶應大学への進学を控えた新入生と親御さんの皆様に、ナマの「慶應あるある」をお届け。

本州の端から上京した筆者が、多くの慶應生が経験する日吉キャンパスから三田キャンパスへの流れを、季節を追ってご紹介する。新入生やご家族はもちろん、これから慶應を目指す中高生やOB・OGのかたもご一読を。

2023年は、一世を風靡(び)した「マルモリ」の2人がそろって慶大へ進学するほか、3月18日に開業した東急・新横浜線は、三田キャンパス、日吉キャンパス、湘南藤沢キャンパスを結ぶために「慶應線なのでは」という声もあがる。トピックスに事欠かない大学だが、キャンパスの中も負けず劣らず話題であふれれている。

まず初めは日吉キャンパス編。文系だけでなく理工学部、薬学部、さらには医学部までが集まる慶應生活の出発点。学部の垣根を越えて友達をつくれる、素晴らしいキャンパスだ。

 

 

 春:並木道の洗礼

色の濃さと匂いの強さには相関があるとかないとか(photoAC=写真はイメージ)

日吉キャンパスのシンボルといえば、全員一致でイチョウの並木道だろう。
教養科目のほとんどが日吉で開講されており、入学当初の思い出は並木道がすぐそばにある人は多い。中国語の教科書のタイトルが「中国語の並木道」と名付けられるほどの存在感で、何度通ってもスマートフォンのカメラを向けてしまう。

また「イチョウが枯れるまでに恋人が出来ないと4年間独り身」という慶應最大のジンクスもつくっている。各サークルの新入生歓迎会では「イチョウが枯れる前に彼女をつくりたいのでお願いします!」といった姑息な”並木道ハラスメント”が横行するが、恐らく成功例はない。

個人的にはジンクスよりも、秋から冬にかけてのおぞましい香りの方が問題だった。美しさの代償だとしても、あまりに匂いがキツい。この時ばかりはマスク必須が功を奏したといえる。

 

 夏:ラーメン学生の遺伝子発現

もちろん女子にもラーメンファンは多い(photoAC=写真はイメージ)

7月にもなると仲良しグループが形成され、長い長い夏休み(慶應は国の規定より一週間授業が短い)のスケジュール作成が楽しくて仕方のない時期だ。

女子はスイーツやファミリーレストランが少ない日吉を見限り、渋谷や自由が丘で女子会を開くが、男子は日吉のラーメン屋を主戦場とする。ラーメン激戦区ということもあり、全制覇することが一部男子学生にはステータスだったりする。特に、家系ラーメン店「武蔵家」の人気は凄まじく、誇張なしで常に行列ができるほどだ。慶應に入学した男子諸君は必ず連れていかれるだろう。

ここまで慶應の学生がラーメンを愛する理由は、日本中に熱狂的なファンを持つラーメン店「ラーメン二郎」の歴史に由来する。三田本店は再開発の関係で閉店を考えていたが、慶應の学生が支援を続けた結果、現在につながっているという。ラーメンへ対する愛は、慶應の学生に遺伝子レベルで受け継がれているのかもしれない。

 

 秋:打倒早稲田 愛校心の芽生え

いよいよ今年から声出し「應援」再開か(photoAC=写真はイメージ)

秋口になると、慶應生はカラオケで必死に校歌「若き血」を練習する。理由は早慶戦、いや慶早戦で恥をかかないためで、多くの学生はこの時期に愛校心が醸成される。早慶を慶早と言い換え、慶応の「応」を「應」と書き換えた頃には、福沢諭吉を「先生」と慕い始めるようになるだろう。

ちなみに、慶應では教員を「先生」と呼ぶことを禁止されており、「君」で統一している。早稲田の友人に気持ち悪いと言われて初めて意識したが、今さら諭吉先生以外に「先生」を増やすこともできまい。ということにしておこう。

 

 冬:来日を阻止せよ

たまに目が合うと1万円札に見えてくる銅像(photoAC=写真はイメージ)

1月中旬には授業が終わり、テストも早ければ2月前にはすべて終了する。そして、3月上旬の成績発表を迎えると、文学部は2年生から、経済、商、法学部は3年生から晴れて三田キャンパスへと学び舎を移す。

ただ、かなり進級条件が厳しいせいか、しれっと留年する人が少なくない。中国語の例だと、無遅刻無欠席でもテスト一発で60点を切るともう一度1年生。なぜか、浪人生の留年率が高いという報告も上がっている。

留年はしなくても、一般教養を落とすと日吉で再度履修しなくてはならない。このように、三田キャンパスに通いながら日吉キャンパスに通う文化は「来日」と呼ばれ、勲章のように語られがちだが、全くもってかっこよくない。

また、成績発表ではなく合格発表でまた1年生になる学生も稀にいるそうだ。彼らは慶應義「塾」大学で勉学に励み、〇大駒場キャンパスへの切符つかみ取るのである。福沢先生もさぞ喜んでいるに違いない。

 

(mimiyori編集部 藤崎 次郎=つづく)

 

 

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