【雑学】人はものまねを見るとなぜ笑う?

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笑う門には福来る(写真:photoAC/バカボン君)
新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛で、ともすれば暗くなりがちな昨今。
だからこそ、できるだけ明るく過ごしていきたいところだ。

今回は自分も周りも明るくする「笑い」についてガチで調査。中でも、見ると鉄板で笑ってしまう「ものまね」について考察した。
「ものまね」を見ると、人は思わず笑ってしまうのか。冷静に考えてみると「似ているだけ」のはずなのに。 コロッケ、Mr.シャチホコ、原口あきまさ、ホリ……。
世代を超え、なぜ人はものまね芸に笑ってしまうのだろうか。


 

「笑い」は2種類ある

「笑い」には、大別して「ラフ(laugh)」と「スマイル(smile)」の2種類がある。ラフは「ワハハ」と声を出すもので、スマイルは声を立てずに前歯を見せたり、口角を上げることで微笑みの表情を見せること。どちらも人間がサルの仲間だった時代から存在するといわれる笑いの種類で、人がものまねを見て思い切りウケた時には、「ワハハ」と声を出すラフの笑いをする。

ワハハは脳内の強制終了

人間には予測にズレが起きると、「驚く」という現象が起こる。例えば、テレビのリモコンだと思い込んでボタンを押したら、エアコンがついたとする。「あれ?」とまずは驚き、よく見てみると、それがエアコンのリモコンだったと気づく。予測とズレができてしまったことで、驚いてワハハと笑ってしまう。

認知科学の専門家、Matthew Hurleyra 氏らによる書籍「Inside Jokes: Using Humor to Reverse-Engineer the Mind」によると、予測と現実にズレができた瞬間、人の脳内は混乱している。目の前で起きた現象を受け入れる作業を行うために一旦強制終了するのだが、そのために行う身体運動が「ワハハ」と笑うことなのだという。

大きな声で笑うと、肺にたまった空気をできるだけ早く吐き出すことができる。吐き出すことで、混乱した脳は一旦強制終了される。そして、新しい酸素を吸入するという身体運動をさせることで、脳内で生じた混乱、疑問を解消しながら、目の前で起こった現象を受け入れる作業を行っている。

人はズレと一致がそろうと笑う

さらに、笑いを学術的に追究した木村洋二氏の書籍「笑いを科学する―ユーモア・サイエンスへの招待」を読むと、下記のような説明が成り立つ。
ものまねでワハハと笑うには、「ズレ」だけでなく、「一致」することも大事な要素。例えば、学校で子どもが女性の先生に向かって「お母さーん!」と呼びかけた場合、周りの友だちは笑う。「そこにいるのは先生なのに、呼んだのはお母さん」というのが「ズレ」。「どちらも身近な女性で年上の人物」というのが「一致」。リモコンの例でも、「テレビとエアコン」がズレで、「リモコン」が一致している。つまり、2つのものに一致する要素がありつつ、ズレが生じたことに気づいたとき、人は笑いやすくなるというわけだ。

 

ものまね芸人はズレと一致の魔術師

笑えるものまねには、「ワハハ」を生み出すためのズレと一致がそろっている。人気のものまね芸人を考察してみると、上記の仮説が納得できる。

【コロッケの場合】
五木ひろしや森進一といった歌手のものまねはよく似ている。→「一致」
ところが、そっくりではなく、ロボットにしたりすることで特徴を誇張するから人は笑う。→「ズレ」

【和田アキ子のものまねで大ブレイクしたMr.シャチホコの場合】
女性ではなく男性であり、一見するとまったく似ていない。→「ズレ」
歌だけでなく、細かすぎるしゃべりのものまねで特徴をよくつかんでいる。→「一致」

【ホリの場合】
キムタクのものまねで、声やしゃべり方、表情の特徴はよくとらえている。→「一致」
ところが、実際の顔はまったく似ていない。→「ズレ」

似すぎていると笑えない?

一方で、美空ひばりや河村隆一、hydeなど本人そっくりのものまねで知られる青木隆治の場合、観客は「すごい」と驚いたり、感心こそするが、ワハハと笑うと現象は起こりにくい。これは、「一致」はしても、あまりに似すぎていて「ズレ」が少ないことで説明がつく。

人間がワハハと笑う行為にはセロトニン(幸せホルモン)の分泌を活性化させる作用などがあり、健康によい影響をおよぼすことは科学的にも証明されているという。
笑う門には福来るーー。
緊急事態宣言で外出自粛を余儀なくされている今こそ、楽しいズレと一致を見つけて声を大にして笑おう。
(mimiyori編集部)