新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていたサッカーのFIFAクラブワールドカップ2020(CWC)が、カタールでようやく開催される。
4日深夜に行われる準々決勝に登場する開催国代表・アルドゥハイルについて紹介。
サッカー界で存在感を増すカタール、2022年W杯開催に向けて国を挙げて強化に努めている。
どんな文化が背景なのか?
そして、どんな選手がいるのか。
メッシをも驚かせた選手の活躍から目が離せない。
国を挙げて世界のサッカーの中心へ
アルドゥハイルについて紹介する上で、その母国であるカタールのサッカーへの取り組みを外すことはできない。彼らは本気で世界のサッカーの中心を獲りにきている。
カタールといえば22年W杯の開催国。当初は猛暑が懸念されていたが、19年クラブW杯や20年AFCチャンピオンズリーグ(ACL)といった国際大会を成功させ、着々と実績を積み重ねている。
特に20年ACLでは新型コロナウイルス対策として、30のクラブと900の選手を「バイオ・バブル」という環境で隔離することに成功。4万8000回以上のウイルス検査も行い、選手の健康を守った。
欧州サッカーでの存在感も増している。11年5月にカタールの国家投資庁によって、フランスのパリ・サンジェルマン(PSG)が買収された。PSGは欧州全体では中堅クラブだったが、買収以降はブラジル代表・ネイマールやフランス代表・エムバペらのスーパースター獲得で指折りの強豪へと変貌した。
他にも、胸スポンサーを拒み続けてきたバルセロナに「カタール・ファウンデーション」や「カタール航空」が入るなど、欧州サッカーをカタールマネーが席巻している。
14年AFC U-19選手権優勝、19年アジアカップ優勝など、国内育成も結果を出し始めており、カタールサッカーは順調に成長を続けている。
オーナーは大富豪
アルドゥハイルは1938年に首都ドーハで設立されたチーム。前身のレフウィヤSC時代も含めてリーグ優勝7回の強豪で、17-18シーズンには史上初の無敗優勝も達成した。
オーナーはナセル・アル・ケライフィ氏。カタールスポーツインベストメントの会長で、PSGのオーナーも兼任している大富豪だ。
アルドゥハイルには19年に日本代表中島翔哉も在籍していた。ポルティモネンセ(ポルトガル)から移籍した際の移籍金はなんと3500万ユーロ(約44億円)。中田英寿がローマ(イタリア)からパルマ(同)へ移籍した際の32億円を上回り日本人史上最高額を記録した。
監督は中田英寿氏と元同僚
サブリ・ラムシ監督は元フランス代表MF。パルマ時代には中田英寿氏と同僚だった人物だ。
現役引退後はコートジボワール代表監督として14年W杯出場。グループリーグで日本と対戦し、0-1の劣勢から後半立て続けに得点して逆転勝利した。
その後フランスのクラブチームなどを経て、20年10月にアルドゥハイル監督に就任。チームに厳しい規律を求めるタイプで、コートジボワール代表監督時代にはスター選手のドログバの遅刻にも構わず、バスを力強く発進させたという。加えて、現役時代はカタールでのプレー経験もあり、カタールサッカーへの理解度も高い。
メッシをうならせたスターとは?
注目選手は北アフリカのスーダンから帰化したアル・モエズ=アリだ。抜群の身体能力を活かしたエースストライカーでチームのキャプテンも務めている。
スーダンにルーツを持つが、自信はドーハ生まれ。9歳から親元を離れ、カタールの国家育成プロジェクトのもとでサッカーに打ち込んだ。14年U19AFC選手権優勝メンバーで、16年からカタールA代表デビューも果たしている。
19年アジアカップでは大会史上最多得点となる9ゴールをマーク。決勝の日本戦ではオーバーヘッドシュートを決め、大会MVPと得点王を獲得してカタール代表の初優勝に貢献した。
この活躍はアジアを超えて世界中に広まり、スーパースターであるメッシすら感動させてしまったそうだ。実際にメッシ自ら、背中に「Al Moez Ali」の名前を入れたバルセロナのユニホームを作製し、サインを入れて贈ったことが報じられている。
(PN:権田卓也=mimiyori編集部)