【サッカー】クラブワールドカップ アジア王者「蔚山現代」日本でおなじみだったスター選手が監督に

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延期されていた年末の風物詩がようやく開催される(写真:acworks/photoAC)

※写真はイメージ

いよいよ21年2月4日、コロナの影響で延期されていた、サッカーのFIFAクラブワールドカップ2020(CWC)が、カタールで開幕する。

開幕戦はオセアニア王者・オークランドシティ(ニュージーランド)がコロナのため参加を辞退したため中止。

事実上の開幕戦となる準々決勝で北中米王者・ティグレス戦(ブラジル)に対戦するのが、韓国の名門・蔚山現代だ。

アジア王者・蔚山現代(韓国)は、20年のACLを無敗で制し、今最もノリに乗っているクラブの1つだ。

韓国の“笑わない男”こと新監督はCWCがデビュー戦、ゴールは3人兄弟が守る⁈

各チームのお国柄から注目選手のプチ情報まで幅広く紹介する。

 

 

ホームタウン・蔚山広域都市ってどんなところ?

”日本から最も近い外国”としても知られる釜山のやや北東に位置する蔚山。

日本海に面しつつ、背後は美しい景色を誇る嶺南アルプスという山岳地帯も擁する自然豊かな都市だ。

海岸部には自動車、造船海洋、石油化学産業が集まり、特に現代グループの企業が集中する城下町としても知られる。

捕鯨基地としても有名であり、「長生浦クジラ村」「クジラ博物館」などクジラ由来の観光名所がある。

 

ホームスタジアムは蔚山の象徴!

蔚山現代。その名からも分かる通り、親会社は現代グループの一つ、世界最大規模の造船業を誇る現代重工業だ。

我々日本人にも聞き覚えのある現代自動車グループは、蔚山現代の宿敵「全北現代」の親会社であるので、お間違えのないよう。

 

ホームスタジアム・蔚山文殊スタジアムは、日韓共催の2002年FIFAワールドカップでも使用された。

外観は、蔚山の市鳥である鶴と、宝石をちりばめた巨大な王冠をイメージさせることから「ビッグ・クラウン(Big Crown)」との愛称も持ち、飛躍する産業首都・蔚山を象徴しているといわれる。

 

全北現代と共に韓国サッカーを牽引

1983年12月に設立された蔚山現代は、当初は仁川を本拠地とし、名称は「現代ホランイ(ホランイは韓国語で虎の意)」だった。

その頃から虎がチームの象徴であり、コロナの影響でほとんどの試合が無観客となった20年のKリーグ期間中は、スタジアムの客席に虎の絵を出現させ、チームを鼓舞した。

現在も新人選手が加入すると、地元メディアでは”虎の子”と呼ばれることがある。

 

90年から現在の本拠地である蔚山に定着し、08年に現在の蔚山現代という名称になったというからサッカー界ではまだまだ新参者ではある。

だが、アジアの頂点に2回、韓国の頂点にも2回、Kリーグ2位は8回と戦績は申し分なし。

たもとを分かち、いつしかライバルとなった全北現代と共に韓国サッカーを牽引している。

 

新監督はCWCがデビュー戦

そんな蔚山現代を今大会導くのは、21年1月に就任したばかりのホン・ミョンボ監督だ。

13年〜14年には韓国代表監督も務めたが、Kリーグクラブの監督は蔚山現代が初。

なんとデビュー戦が国内リーグではなく、国際舞台のCWCとなるのだ。

 

Jリーグでプレーした同監督は、日本のファンにもおなじみ。引退後はどうしているのだろう……と思ったら、Kリーグクラブの監督以外はほとんどの要職を経験していた。

 

12年ロンドン五輪では、U20の監督を務め、3位決定戦で日本を下し銅メダルを獲得。

14年ブラジルW杯では、韓国A代表を指揮した。

16年には中国のクラブで監督を務め、17年からは大韓サッカー協会専務理事として4年間活動。

51歳にして、韓国代表と年齢別代表、海外リーグの監督、行政まで経験し、国内リーグに初参戦するとは、”逆流”の監督就任といえる。

 

Jリーグでもプレー!韓国の”笑わない男”は笑うのか?

現役時代はKリーグを経て、Jリーグのベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ、97~99年)と柏レイソル(99~01年)でもプレー。

韓国代表では史上最多のAマッチ136試合に出場し、日韓W杯では主将として、同国最高の4強進出を果たした。

「アジア最高のリベロ」と称される彼だが、性格は至って真面目、試合中は無表情、よって付けられた愛称は“オムグンジン(厳格・謹厳・真剣)”であった。

そんな厳格な表情が珍しく崩れたのが、先述の2002年日韓W杯で4強入りを決めるPKを決めた時と、2012年ロンドン五輪で銅メダル獲得を決めた時。

この“10年に一度しか笑わない男”の笑顔が、9年ぶりに見られるかどうかにも注目したい。

 

”3人兄弟”の底力でゴールを死守できるか⁈

さらに注目したいのはゴールキーパー争いだ。

韓国代表GKも務めるチョ・ヒョヌが正守護神として名を連ねるが、20年11月末、新型コロナの検査で陽性反応が出たため帰国。ACL優勝の瞬間には立ち会えなかった。

 

その代わりに大活躍を果たしたのが、20季Kリーグで出場がなかったジョ・スヒョクとまだ21歳の末っ子キーパー、ソ・ジュファンだ。

 

ACLグループステージのうち、9試合をジョ・スヒョク、1試合をソ・ジュファンが先発フル出場し、見事、守護神離脱の穴を埋めた。

特にジョ・スヒョクは、準々決勝の北京国安戦では何度もビッグセーブを見せ「アジア最高のGK」として国内外で高い評価を得た。

さらにソ・ジュファンは、グループステージがプロデビュー戦となったが、1失点に抑え、上々の滑り出しと言える。

つまり誰がGKを務めても世界に通用するのだ。

 

ゴールキーパー争いとは言うものの、ジョ・スヒョクが長兄、チョ・ヒョヌが次兄、ソ・ジュファンが末っ子と呼ばれ、サポーターからも愛されている。

また“末っ子”のデビューに際して、コロナで隔離中の“次兄”は「デビュー戦は緊張はするものだけど、恐れることはない」とアドバイスしたりと、絆は深い。

 

アジア最強のチームワークと兄弟の奮闘に期待だ。

 

(五島由紀子=mimiyori 編集部)

 

試合のもようは2月4日(木)午後10時50分~午前1時00分(最大延長75分)にBS日テレで放送される予定。

放送予定|FIFAクラブワールドカップ Qatar 2020|日本テレビ

 

 

 

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