延期されていた年末の風物詩がようやく開催される（写真：acworks/photoAC）
※写真はイメージ
いよいよ21年2月4日、コロナの影響で延期されていた、サッカーのFIFAクラブワールドカップ2020（CWC）が、カタールで開幕する。
準決勝で蔚山現代vsティグレスの勝者と対戦するのが、パルメイラスだ。
南米王者・パルメイラス（ブラジル）は1月30日にリベルタ杯を制し、最後にCWC出場を決めた。
その決勝点を挙げた選手はCWCに出場できない⁈新監督の決めゼリフがサポーターの心をつかむ！
各チームのお国柄から注目選手のプチ情報まで幅広く紹介する。
- 優勝後の街は”カーニバル並み”ドンチャン騒ぎ
- ホームタウン・サンパウロ市ってどんなところ？
- 「ユベントス撃破」はブラジル人の誇り！
- 家全体をパルメイラスカラーに！
- ポルトガル人新監督の”つかみはOK”名ゼリフとは？
- CWC初出場を決めた選手がCWCに出場できない…
- 試合中３回もグローブを交換！ブラジルの守護神
優勝後の街は”カーニバル並み”ドンチャン騒ぎ
21年1月30日のサンパウロは、数千人が通りで大騒ぎ。
花火を打ち上げ、踊りまくり、夜中だったが、大合唱を繰り広げた。
それもそのはず、待ちに待った南米最強クラブが決定したのだ。
それがサンパウロを本拠地とするパルメイラスだった。
リベルタ杯決勝、0-0で終わるかと思われた試合終了間際の98分、パルメイラスが劇的な決勝ゴールを決めたのだ。
99年リベルタ杯初優勝以来、3度決勝に出場するも優勝から遠ざかっていたが、21大会ぶりに優勝、CWC初出場も決めた。
ホームタウン・サンパウロ市ってどんなところ？
ブラジルは言うまでもなく、サッカーの王様といわれているペレを生み、またワールドカップ5回の優勝を誇るサッカー王国。
そのブラジルで「コーヒーの都」として世界中に知られる町が、サンパウロだ。
標高800mの高原地帯に位置し交通の便も悪かったため、19世紀初頭までは都市らしい都市とは言えなかったが、コーヒー栽培がサンパウロ各地で始まったことで一変。
コーヒー景気で財を築いた"コーヒー貴族"が渦巻くようになったのだ。
またブラジルには、日系人総数推定約190万人という海外最大の日系社会が現存するが、なかでもサンパウロには世界で唯一、日本の47都道府県すべての県人会が存在し、日本の文化も深く根付いている。
「ユベントス撃破」はブラジル人の誇り！
そんな「コーヒーの都」では、1888年に奴隷制度の廃止から人手不足となり、外国人移住者の導入が始まった。
そして1914年8月、イタリアからの移民によって設立されたのがSSパレストラ・イタリア（現パルメイラス）であった。
当時は第一次世界大戦の影響で選手がイタリアに徴兵されたりと、実際に試合をするまで数カ月を要したという。
1951年には、第二次世界大戦後初の開催となったコパ・リオ・インターナシオナル（現クラブワールドカップ）で、ユベントスを破り優勝を果たし、サッカー世界一を自認するブラジルのファンを歓喜させた。
50年W杯決勝でブラジルが敗れた「マラカナンの悲劇」、そして翌年のパルメイラスによる「ユベントス撃破」は、ブラジルのサッカー史で大きな節目と捉えられている。
パルメイラスは、サッカー王国・ブラジルを代表するチームなのだ。
家全体をパルメイラスカラーに！
パルメイラスの本拠地は、サンパウロ市の中心部・四方八方を高層ビルに囲まれた場所にある。リニューアルしたスタジアム「アリアンツ・パルケ」は2014年11月19日にオープンしたばかり。
スタジアムでは南米のご多分に漏れず、サポーターが熱烈に応援する。
クラブの通称「alva e verde（白と緑）」にちなみ、スタジアムは白と緑、そしてイタリア由来の赤色で埋め尽くされ、勝利すると先述のように町中が大騒ぎ。
熱狂的なファンの１人、Edvanerさんは家全体をパルメイラスカラーの緑色に染め、中の装飾もコレクションだらけに。クラブにも公認され、コレクションに追加してもらうためにシャツを送られる仲になったという。
A decoração que eu gosto! 💚
— SE Palmeiras (@Palmeiras) January 12, 2021
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19年FIFA最優秀ファン賞に選ばれたのも、パルメイラスファンの親子だった。
盲目で自閉症の息子ニコラスさんに、口頭で試合の実況中継を行う母シルヴィアさんの姿が、YouTubeで大きな感動と共感を生んだのだ。
ポルトガル人新監督の”つかみはOK”名ゼリフとは？
熱烈なサポーターと選手を率いるのは、20年10月30日に就任したばかりの42歳、アベル・フェレイラ監督だ。
ポルトガル時代には「世界のトップ監督50人」にも選ばれた逸材だが、ブラジルでは無名も同然。
だが監督は、最初のミーティングの“たった一言”で、選手・サポーターの心をつかんだのだ。
それはイタリア語の「Avanti, Palestra！（進め！パレストラ（パルメイラス））」だった。
つまりチームの起源であるイタリアの言葉で、前身のクラブ名を叫び、チームを鼓舞したのだ。
これには熱烈なサポーターたちも脱帽、就任早々からパルメイラスの歴史を理解していたことに大きく感銘を受けたそう。
さらに21年1月23日には、監督本人がビデオ通話で、最もクラブに貢献したファン11人に対して、1月30日のリベルタドーレス決勝への招待することを知らせるなど、サポーターの心を掴んで離さない。
CWC初出場を決めた選手がCWCに出場できない…
リベルタ杯決勝で決勝点をあげたのは、20年途中でパルメイラスに加入したFWブレーノ・ロペス だった。
パルメイラスは本来の主力ウェズリーがひざの負傷で長期欠場を余儀なくされたために、セリエBで活躍していたブレーノを獲得。
そして移籍から17試合目、移籍後2得点目がまさに値千金の決勝ゴール。
これはCWCでも期待できる！と誰もが思ったが、実は移籍に際し、国内登録はOKだが、CWCでは登録は認められていない時期だったのだ。
あとはチームメイトに任せるしかない！
試合中３回もグローブを交換！ブラジルの守護神
期待のチームメイトはなんと言ってもベテランGKウェヴァルトン。
16年リオ五輪では決勝でPKを止め、ブラジルを初優勝に導いた“ブラジルの守護神”。
リベルタ杯も全試合にフル出場し、チームを優勝に導いた。
33歳ながら、鉄壁の守備の精度は高まる一方で、今季はキャリアハイの成績を叩き出したという。
鉄壁の守備に欠かせないのが、その瞬間の理想的なグローブだとか。
コロナ禍でボールボーイが試合中ずっとボールを消毒しているため、今季はいつも以上にグローブを頻繁に交換しているそう。
守備はもちろん、試合中完璧な守備を追い求めるプロフェッショナルな姿にも注目だ。
（五島由紀子＝mimiyori 編集部）
初戦の試合のもようは2月4日（木）午後10時50分～午前1時00分（最大延長75分）にBS日テレで放送される予定。
放送予定｜FIFAクラブワールドカップ Qatar 2020｜日本テレビ
