スポーツ界のアカデミー賞をファン目線で!
「ローレウス・スポーティング・モーメント部門」にノミネートされた6つのモーメント
(写真=ローレウス提供)
世界 40 カ国以上でスポーツを通じた社会貢献活動に取り組んでいるローレウスが、年に一度スポーツシーンにおいて最も優れた功績を残した個人や団体を称える「ローレウス世界スポーツ賞 2021」。
年間最優秀女子選手部門には大坂なおみ(テニス)、年間最優秀復活選手部門に桃田賢斗(バドミントン)がノミネートされている。
スポーツ界のアカデミー賞とも評される「ローレウス世界スポーツ賞」のほとんどの部門は、世界中のスポーツジャーナリストやローレウス・アカデミーメンバーらによって選出されるのに対し、唯一「ローレウス・スポーティング・モーメント部門」だけは、世界中のスポーツファンの一般投票によって選出される。
つまりスポーツファン目線で “アカデミー賞”受賞者を選出する唯一のチャンスなのだ。
その「ローレウス・スポーティング・モーメント部門」に、日本から「#スポーツを止めるな」の活動がノミネートされた。
「#スポーツを止めるな」
「一般社団法人スポーツを止めるな」の代表者。左から最上紘太氏、廣瀬俊朗氏、野澤武史氏
(写真=ローレウス提供)
コロナ禍の日本スポーツ界において、スポーツの試合や大会の中止が相次ぎ、才能あふれる高校生たちが、進路先候補となる大学やチームにその実力を示す機会が奪われてしまうという問題が発生した。
今後スポーツマンとしてどのようなキャリアを歩んでいけばいいのか。
先の見えない暗闇をさまよっていた若者たちに、支援の手を差し伸べたのは、ラグビー元日本代表の野澤武史氏と廣瀬俊朗氏だった。
実社会で自分のプレーをアピールする環境が失われたのならば、SNSで発信すればいい。
「一般社団法人スポーツを止めるな」は、学生アスリートが自分たちのプレー動画をSNSにアップするプロジェクト「#ラグビーを止めるな 2020」を始め、コロナ禍の学生スポーツ支援を行う活動を多くの競技に広げていった。
この活動はメディアでも大きく取り上げられ、瞬く間に世間に広まり、実際に複数の選手たちが大学やトップリーグに採用されることとなった。
ラグビーとバスケットボールの2つの競技から、現在は20競技近くにまで拡大した活動は、日本のスポーツ界の様々なスター・レジェンド、そして現役アスリートらに支援されている。
まさに、スポーツシーンにおけるフェアプレーやスポーツマンシップ、献身さ、逆境の克服などの側面を称える「ローレウス・スポーティング・モーメント賞」にふさわしい活動と言える。
世界中でヒーローが誕生
ノミネートされている他の5つのモーメントも心を動かされずにはいられない。
アメリカでは、ダウン症のクリス・ニキッチ選手が、世界で初めてアイアンマントライアスロンを完走するという快挙が生まれた。16時間49分6秒という時間が、道のりの険しさと共に、前人未到の偉業のすごさを物語っている。
中国からは、自国に感動を届けるために不屈の精神でトレーニングを続ける世界チャンピオンの姿がノミネートされた。2017 年に WBA 世界ユースバンタム級王者に輝いたジャン・ファンヨンは、フードデリバリーの配達員として働きながら、ボクサーとしての更なる成功を追いかけている。料理の配達中にスクーターの盗難に遭いながらも、配達中の料理だけは守り通したというヒーローの勇姿にも注目が集まっている。
コロナによってロックダウンを強いられたイタリアでは、2 人の女の子が、互いの家の屋上でロブを打ち合うという誰も思い付かなかった新しい練習方法を考え出した。危機的状況にあっても、友情とスポーツに対する愛は決して変わらないと証明した2人を、憧れのロジャー・フェデラー選手がサプライズ訪問し、一緒に屋上でプレーした。
17kmの雪道を歩き病院へ~アスリートの力を総結集
(写真=ローレウス提供)
スペインからは医師が選出された。大寒波に襲われ交通が麻痺してしまったスペインで、アルヴァロ・サンチェス医師はコロナ重症患者を救いたい一心で、気力と体力を武器に、勤務先の病院まで17km もの雪道を歩き通したというのだ。真のスポーツマンでも簡単にできることではない。
ドイツでは、サッカー選手らが500 万ユーロもの募金を集め、ドイツ全土で480ものプロジェクトを支援してきた。孤立した地域への食料の提供、病院の支援、コミュニティへの医療物資の提供、献血施設など、パンデミックにより影響を受けた人が必要とするあらゆる支援を行い、「We Kick Corona」の活動名の通り、コロナ禍の苦しみを撃破した。
どの瞬間もスポーツの真の価値を象徴しており、スポーツには世界を変える力、そして人々を団結させる力があることを教えてくれる。コロナ禍という困難な時期だからこそ生まれた活動は、暗雲立ち込めた2020年を照らす光となった。1つのモーメントにしか投票できないというのは酷な話だが仕方あるまい、世界中のスポーツファンの心を動かした選出者全員を称えながら、一票を投じたい。