【連載「生きる理由」133】柔道金メダリスト・内柴正人氏 「QUINTETに出場する話」②~チャンピオンだって練習してなきゃ負ける

柔道時代の先輩・小見川道大氏の道場や、広島の柔術仲間のもとへ出稽古へ行った内柴氏(提供:EDGE&AXIS)

2004年アテネ、08年北京五輪柔道男子66キロ級を連覇した内柴正人氏は現在、熊本県内の温浴施設でマネジャーを務めている。18年からキルギス共和国の柔道総監督に就任し、19年秋に帰国した後は柔術と柔道の練習をしながら働く、いち社会人となった。

これまで、彼はどんな日々を過ごしてきたのか。内柴氏本人がつづる心象風景のコラム連載、今回は「QUINTETに出場する話」②。

9・10QUINTET横浜アリーナ大会を前に、「何かを拾う」ために東京や広島へ出稽古に赴いた。

 

 

負けから多くのことを学んだ

QUINTETの団体戦出場時にチームメートだった森戸新士氏=右=のもとでも練習(提供:EDGE&AXIS)

拾いに行く。
たぶん、柔道時代に
長く東京で勝負させてもらっていたけれど、
習うというより、一生懸命やる中でたくさん負けて、
やられてきた中で学び、克服して
今持っている技術を育てたのだと思う。

それだけに
手順が多く、自分でも面倒くさいのだけど。

負けてきた分だけ手順があるのだと思う。

 

ステップ一つに理由がある

柔道の練習中も、柔術の茶帯を締め続けた内柴氏に、夫人の寿子監督から「EDGE&AXIS認定」として黒帯をもらった(提供:EDGE&AXIS)

ただ、つかんで投げるというだけの勝負。
いち、に!で終わる話。

僕は一つの乱取りで物語をつくるように戦える。
技の一つ一つをその場ではパッと出しているけれど

この「パッ」には1から10ずつの手順があり、ステップ一つに理由がある。

今ではさびついた技術、傷ついた関節、年老いた体力で体現してあげられることが
難しいのだけれども。

 

満足な練習ができずに心が痛い

これだけのことを柔道でできてきただけに今、勝負させてもらっている競技。
柔術、グラップリングという世界での自分の練習に満足いかない毎日がある。

「大満足な練習が出来なくて心が痛い」

そんな経験を僕がするなんて思いもしなかったです。

絶対にチャンピオンだって練習してなきゃ負けるんだ。

 

負けない努力をしながら しばかれてくる

しかし
今の僕が最先端の技術、最強な練習相手がいる生活にどっぷり浸かれたとして
耐えられる精神があるのか自信はないんだよね。

そう、
すべてに感謝して
僕は全力で負けない努力をする中でしばかれて来ます。

押忍。

 

(内柴 正人=この項つづく)

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◆内柴道場「EDGE&AXIS」公式HP

uchishiba-dojo.com

 

◆EDGE&AXIS 公式ショップ

umhy171911.base.shop

 

◆内柴正人氏による柔道指導の動画配信      

内柴氏が現在、熊本・八代市で小学生から大学生を対象に開催している練習会を中心に、指導内容を盛り込んだ動画配信を22年4月から開始している。
より詳しい内容について、メンバーシップ配信も開始した。
メンバーシップ配信では、今回の道場づくりについても動画をアップ中。
詳細は下記YouTubeのコミュニティ欄へ。

www.youtube.com

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うちしば・まさと

1978年6月17日、熊本県合志市出身。小3から柔道を始め、熊本・一宮中3年時に全国中学大会優勝。高3でインターハイ優勝。大学2年時の99年、嘉納治五郎杯東京国際大会では準決勝で野村忠宏を破って優勝。減量にも苦しんだことから03年に階級を66キロ級へ上げて2004年アテネ五輪は5試合すべて一本勝ちで金メダル獲得。08年北京は連覇した。10年秋引退表明。11年に教え子に乱暴したとして罪に問われ、上告するも棄却。17年9月出所。得意技は巴投げ。160センチ。18年に現在の夫人と再婚し、1男がいる。20年1月から現在の職場に勤務。

 

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