パラアルペンスキーのジャパンカップが4日、長野・野沢温泉スキー場で開幕。22年3月の北京パラリンピックで3種目金メダルを獲得した村岡桃佳(トヨタ自動車)が凱旋試合となる大回転第1戦で優勝を飾った。
男子座位では、パラリンピック5大会メダルを獲得した森井大輝(トヨタ自動車)が2本目に最速タイムを叩き出して優勝。男女ともに、北京大会メダリストがパラリンピック後初の公式戦を制した。
今大会では大回転2レース、回転2レースが7日まで行われる。
北京3種目女王・村岡桃佳が凱旋初戦制す
北京の3種目女王が〝春スキー〟を制した。
気温4度、小雪がちらつくも風は穏やか。4月上旬でも290センチの積雪が残る野沢温泉スキー場山頂のゲレンデで大回転第1戦は行われた。
ザクザクとした重い雪質への対応に各選手が苦しむ中、1本目でトップの1分00秒38をマークし、2本目は女子でただ1人1分を切って59秒51を出して圧勝した。
「こういう雪質のレースはなかなかないので苦戦しましたが、楽しいなと思いました。とにかくスキーの楽しさを味わう大会に、と思っています」
3月の北京パラリンピックでは滑降、スーパー大回転、大回転で金メダル、スーパー複合で銀メダルを獲得した。
18年平昌大会では金1、銀2、銅2の合計5個のメダルを獲得した。大回転の金メダルは冬季パラリンピックでは日本人史上最年少で、1大会メダル5個は日本人選手最多。大回転は連覇を飾っており、女王の座を揺るぎないものにした。
東京2020大会では陸上競技に出場して夏冬二刀流を続けるなど、ここ数年間はスケジュールとの闘いでもあった。
それだけに、競技を「楽しく」と思える時間は貴重だ。
陸上競技を続行するかどうかはまだ結論を出していないが、4年後の冬季パラリンピック、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会(イタリア)については「目指していきたい」。
3大会連続金メダルに向かって、女王が今季最後の大会で優勝を総なめにするはずだ。
森井大輝~7大会連続出場へ新たな試み
男子座位では、3月の北京パラリンピックで銅メダル2個を獲得した森井大輝が逆転優勝を飾った。
1本目はコースの様子、そしてチェアスキーの新しいセッティングを実戦で体感しながら1分02秒05。10年バンクーバー大会滑降金メダリストの狩野亮は59秒13をマークしていた。
2本目は出場選手最速の56秒台で滑り切り、逆転してみせた。
「パラリンピックが終わってから時間が空きましたが、雪の上は楽しいです。パラリンピック後にセッティングを変えたので、1本目はその乗り方を感じながら。いろんなことにチャレンジしたレースでした」
北京パラリンピックで5大会連続メダル。02年ソルトレークシティー大会で初出場して以来、6大会連続出場を果たしている。
「6回目の出場自体もそうですし、メダルを取りたいと言いながら出られるということは幸せなことです」
次回パラリンピックで7大会連続出場の偉業、そして6大会連続メダル獲得に向けて、新たな挑戦を始める。
男女立位も北京大会代表が優勝
男子立位はベテラン・東海将彦、女子立位では神山則子が優勝し、こちらも北京パラリンピック代表が制した。
また、ID(知的)部門も男女大回転が行われ、各選手が奮闘。男子の表彰式では、優勝した木村嘉秀がスキーを掲げて喜びを表現し、周囲の笑顔を誘っていた。
(丸井 乙生)
◆大会成績(大回転第1戦 ※タイムは2本合計)
<男子立位>
①東海将彦 1分59秒93
②小池岳太 2分01秒55
③髙橋幸平 2分03秒75
④宮田一也 2分38秒89
※失格=青木大和
<男子座位>
①森井大輝 1分58秒61
②鈴木猛史 2分00秒00
※途中棄権=狩野亮、失格=藤原哲
<男子ID>
①木村嘉秀 2分04秒06
②金澤碧詩 2分06秒88
③津田幸祐 2分19秒79
④平野井渉 2分20秒07
⑤三浦良太 2分20秒55
⑥五味逸太郎 2分23秒22
※途中棄権=宮本涼平、失格=木附雄祐
<女子立位>
①神山則子 2分13秒41
※失格=本堂杏実
<女子座位>
①村岡桃佳 1分59秒89
②田中佳子 2分14秒59
③岸本愛加 2分26秒19
※途中棄権=原田紀香
<女子ID>
①馬場圭美 1分36秒22