【北京パラリンピック】座位の最強スキーヤー/アイグナーきょうだいとは? 今大会で覚えておくべき海外トップ選手~アルペンスキー編

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スーパー複合で金メダルを獲得したジェスパー・ペデルセン(ノルウェー)。影にご注目、跳んでます
(写真:AP/アフロ)

3月4日に開幕した北京パラリンピック。日本勢は大会前半に主将の村岡桃佳(アルペンスキー女子座位)が2つの金メダル、さらに開会式で旗手を務めた川除大輝(ノルディックスキー男子立位)が冬季パラ日本男子最年少となる金メダルを獲得するなど、連日活躍が続いている。

日本人選手のライバルとして立ちはだかる海外勢にも、もちろん注目選手は続々。

5季連続W杯総合優勝の猛者がいる!

日本の村岡のライバルはどんな選手?

きょうだい4人が出場する「アイグナーきょうだい」とは?

 

今大会で覚えておきたい冬季パラリンピックのトップ選手を大会の滑りと共にご紹介。前編はアルペンスキーについて。

 

 

亡き父に捧げる金メダル ジェスパー・ペデルセン(ノルウェー)

 

男子座位の帝王といえば、ジェスパー・ペデルセン(ノルウェー、LW11)。

3月6日のスーパー大回転、同7日のスーパー複合で2冠。滑降では銀メダルを獲得した。

IPC公式によると、20年11月、父ビョルンさんが心臓発作のため他界。51歳。神父だった父はいつも「車いすに乗っていることが、何かを制限することになってはいけない」と息子に伝えていたという。

22年世界選手権の滑降で優勝した時には「父がいなければ、今の僕はいなかった。彼の写真もいつも持っています」と感謝。シットスキーの上部に父親の写真を貼りつけ、レースに出場している。

 

18年平昌大会は大回転で金。22年1月の世界選手権は3種目金。W杯では17-18季から21-22季まで5季連続で総合優勝を続けている。

先天性の二分脊椎。01年、2歳の時に父と一緒に初めてスキーに挑戦。07年には1人で滑ることができるようになった。

 

スーパー複合連覇 アンナ=レナ・フォルスター(ドイツ)

 

アルペンスキー女子座位には、日本の村岡のライバルがいる。

アンナ=レナ・フォルスター(ドイツ、LW12-1)は、3月7日のスーパー大回転で金メダルを獲得。18年平昌大会に続く連覇を果たした。

前半のスーパー大回転で村岡桃佳に6秒以上の差をつけられたが、回転で村岡に7秒近く上回り逆転。連覇を達成した。

村岡が金メダルを獲得した3月5日の滑降、同6日のスーパー大回転はいずれも銀。残りは平昌で村岡が金だった大回転と、自身が金だった回転の2種目。

 

先天性の右脚欠損、左脚の骨が未形成。6歳でスキー開始。18年平昌はスーパー複合と回転の2冠。22年1月の世界選手権は4種目金。

 

世界選手権出場のない19歳が女王撃破 張夢秋(中国)

 

アルペンスキー女子立位では、開催国・中国のエースが快挙を飾った。

張夢秋(中国、LW9-1)は、3月6日のスーパー大回転でパラ金メダル通算8個のマリー・ボシェ(フランス、LW6/8-2)を破り、頂点に立った。

同種目3連覇を目指したボシェに1秒43差で勝利。滑降、スーパー複合は銀メダルを獲得している。

 

02年5月9日生まれの19歳。16年に競技開始。パラリンピック初出場で世界選手権の出場もなく、W杯や下部大会などを転戦してきた。

19-20季W杯開幕戦のスイス大会大回転第2戦で、ボシェを破って優勝。パラアルペンスキーのW杯で中国初の金メダルを獲得した。

21-22季W杯開幕戦のオーストリア大会では、大回転第2戦で再びボシェを破り優勝。W杯年間総合王者経験者のアンドレア・ロスフス(ドイツ)らも出場した中での頂点だった。

 

〝アイグナー4きょうだい〟長男が金メダル ヨハネス・アイグナー(オーストリア)

 

オーストリアのアイグナーきょうだいは、5人きょうだいのうち4人が今大会の代表。

16歳の長男ヨハネス(オーストリア、B2)は3月5日に行われた滑降の男子視覚障がいで金メダル。同6日のスーパー大回転は銅、同7日のスーパー複合は銀だった。

5人きょうだいのうち3人に視覚障がいがあり、女子で出場するバルバラ(16)とは双子で、3番目の姉ヴェロニカ(19)も今大会に選手として初出場を果たした。

長姉イルムガルドさん、次姉エリザベスさんは、音声で選手をアシストしながら滑走を先導するガイド。長姉は今大会に出場しないが、次姉のエリザベスさんはヴェロニカのガイドとして今大会代表となった。

 

パラリンピックは今大会が初出場。22年1月の世界選手権は回転で金メダルを獲得していた。先天性の白内障。母ペトラさんにも視覚障がいがある。座右の銘は「ブレーキをかけたら負け」。

 

兄弟で英国男子冬季パラ初の金 ニール・シンプソン(英国)

 

「きょうだい」出場では、英国にも兄弟で金メダルを獲得した選手がいる。

男子視覚障がい19歳のニール・シンプソン(英国、B3)は、3月6日のスーパー大回転で金メダル。英国の男子選手では冬季パラリンピック初の金メダリストとなった。

音声で選手をアシストしながら滑走を先導するガイドは21歳の兄アンドリューが務めている。同種目では18年平昌の大回転・回転金メダリストのジャコモ・ベルタニョッリ(イタリア)を破った。7日のスーパー複合では銅メダルを獲得している。

 

パラリンピックは初出場。22年1月の世界選手権ではスーパー複合で銀。4歳からスキー開始。兄のアンドリューと共に家族でスキーをしていた。障がいは先天性で、眼球が不随意運動する眼振がある。

(つづく)

 

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参照:IPC公式サイト

International Paralympic Committee | IPC