「ブラインドサッカー(5人制サッカー)」の国際大会「Santen IBSA ブラインドサッカーワールドグランプリ 2021 in 品川」は6月5日、東京・品川区立天王洲公園で決勝戦が行われ、日本(世界ランキング12位=5月29日付)は、同1位のアルゼンチンと対戦し、0ー2で敗れた。アルゼンチンは3連覇。日本は19年の4位を上回る過去最高の2位。決勝戦に先立ち行われた3位決定戦は、スペインが1ー0でタイに勝利した。
世界ランク1位の厚い壁
世界ランキング1位の力を見せつけられた。日本は前半、得意の組織的守備から流れを作ろうと、序盤はアルゼンチンの攻撃に対し、人数を割いて懸命に守った。
しかし9分、前回大会に続き得点王とMVPに輝いたマキシミリアーノ・アントニオ・エスピニージョが、ドリブルで日本の選手を次々かわし、中央に切り込んでシュートを決め、アルゼンチンが先制。マキシミリアーノは15分にも得点を挙げた。
後半に入り、川村怜(パペレシアル品川)が立て続けにシュートを放つもゴールを割れない。佐々木ロベルト泉(パペレシアル品川)、田中章仁(たまハッサーズ)も積極的に攻撃に加わるが、最後までアルゼンチンの堅い守備を突破できず、0ー2のまま終了した。
高田監督「悔しいより、もったいない」
日本は今大会、アルゼンチンと2度目の対戦。6月3日のリーグ戦は、0ー0のスコアレスドローだったが、今回は2点を献上した。高田敏志監督は「悔しいというより、もったいない。前回のアルゼンチン戦が100%だとしたら今回は98%。隙を与えたらやられる」と、強みである守備の綻びを要因に挙げた。
攻撃でも前戦のアルゼンチン戦同様、GK佐藤大介(たまハッサーズ)のロングボールをアルゼンチンに見抜かれ、相手陣内で再三、得点機をうかがっていた黒田智成(たまハッサーズ)らにボールがつながらなかった。
後半は3トップにして得点を狙うなど、相手の動きに対して戦術を変化させたが、決定的な場面は作らせてもらえなかった。
MIPに選ばれた佐々木は「相手が強くても体を当てて、スペースを与えなければ止めることはできる。自分が上がった時には、ゴール前でのシュートを正確に決められるようにするなど、オフェンスにも力を入れていきたい」と、今後への課題を口にした。
守備は強豪国にも通用 課題は得点力
約1年半ぶりの国際大会に臨んだ日本。今大会は東京パラリンピック出場国と対戦できる貴重な前哨戦だった。
日本はパラリンピック本番と同じスケジュールで試合を行い、5カ国総当たりのリーグ戦を2勝2分けの無敗で通過。リーグ戦4試合に限れば失点1。相手との距離を詰めて自由に動けるスペースを消す、ボールを持つ選手のスピードを上げさせないなど、練習で取り組んできた守備が機能した。
一方、得点は5試合で3点。アルゼンチン相手には2試合無得点に終わった。それでも高田監督は「ただ耐えていただけだった」という18年の南米遠征と比較し、「今回は意図的にボール、人を動かして、いろいろな仕掛けができた。ポジティブな要素はある」と前向きに捉えた。
主将の川村は「体を張って、どの国相手でもタフな試合ができた。個人としては、どのポジションでも戦術の変化に対応しながらプレーできていた。さらに精度を上げないとトップには勝てないと実感。残り3カ月で高めていきたい」と気を引き締めた。(岡田剛)