【母校トリビア】戦場から甲子園で活躍する「赤鬼魂」~彦根城の敷地内に立つ彦根東高校(滋賀)

 

彦根城

国宝・彦根城。内堀と外堀の間に彦根東高校がある(写真:さてらいと/photoAC)

国宝に指定されている彦根城(滋賀県彦根市)。その外堀の内側、いわば城の敷地内に高校が存在する。県下トップクラスの進学校・彦根東高校だ。

江戸時代の藩校「稽古館」を由来とし、名称を「弘道館」と変更しながら歴史は明治、大正へ引き継がれ、昭和23年の1948年に学制改革で現在の名称「彦根東高校」が誕生した。 

勉学だけでなく、硬式野球部は2000年代以降に合計4度春夏の甲子園出場を果たしており、文武両道を地で行く進学校として知られている。

 

卒業生が母校のトリビアを語る本コラム。

硬式野球部OBが彦根東について教えてくれます。

名物「東高体操」は本当に大変だったとか……

 

  

 

 

 

 

とにかく赤い!甲子園を染める「赤鬼魂」とは

 彦根東では、建学の精神として「赤鬼魂」が長年受け継がれてきた。彦根藩を治めた井伊家の先駆者精神を継承したもので、例えば甲子園出場時はうちわ、タオル、メガホンなどあらゆるグッズに「赤鬼魂」の文字が刻まれる。

 

彦根藩の藩祖・井伊直政は、さまざまな戦で勇猛果敢に戦った。豊臣秀吉による1590年小田原攻めでは、難攻不落と呼ばれた堅固な小田原城の内部まで攻め入ったとされる。この戦いで名を上げ、よろい、かぶと、旗などを赤色で統一した軍勢であることから「井伊の赤備え」「井伊の赤鬼」として恐れられた。

関ヶ原の戦いでは、東軍の先鋒として決まっていた福島正則の軍勢をすり抜け、徳川家康の四男で初陣の松平忠吉をいただいて宇喜多秀家憩に発砲。合戦の口火を切ったとして知られている。

 

その「先駆者」精神のあかしが「赤鬼魂」。甲子園出場時は、現役の生徒や卒業生が「赤鬼魂」のTシャツを着こみ、アルプススタンドを真っ赤に染める。

  

ある意味 真の”入学試験”「東高体操」とは

 

 

 

東高体操とは、1年生の1学期に体育の授業で習う体操を指す。

ラジオ体操のような一般的な体操と違い、「これはホンマに体操なんか?」と思わざるを得ない動きが盛り込まれている。

ピアノの音色に合わせ、最初は軽くジャンプから始まるが、これで油断してはいけない。

屈伸運動1つとっても、下半身で屈伸しながら上半身をひねるなどのアレンジが加えられている。列ごとに動きを変える工夫もなされ、遠目から見ると、規則正しい演舞のようにも見える。

 

「真の入学試験」と言われる理由は、体操を覚えて先生のOKが出ないと、単位がもらえないからだ。

しかも、先生は簡単にOKを出してくれず、大抵の生徒は何度もやるハメになる。

ちなみに筆者は、最後の1人まで残ってしまい、みんなの前で体操をさせられた。 

 

学校のゆるキャラがいる

 

 

 

 東高の公式キャラクター「ぎんにゃん」は、学校行事のたびに登場する。

白い着ぐるみの猫であり、赤いスカーフに校章バッジが輝く。さらに、頭にはいちょうの葉が刺さっている。

 

名前の由来は、東高のシンボルである銀杏の木に住む猫とされているが、どう考えても、お隣の彦根城にいる某ゆるキャラをパクったとしか思えないネーミングである。

 

私の在学中は着ぐるみの腕に縫った痕跡があるなどボロボロだったが、2018年にぬいぐるみがリニューアルされたもようで、よりかわいらしさが増した。 

 www.hikonehg-h.shiga-ec.ed.jp

 

 

グラウンドが狭い理由は 重要文化財?

東高のグラウンドは主に野球部が使用しているがかなり狭く、内野ノックやバント練習ぐらいしかできない。つまり、いわゆる打撃練習ができないのである。

 

グラウンドが狭い理由は、東高の敷地は重要文化財である旧彦根藩家老屋敷跡にあるため、工事ができないからだと言われている。 

グラウンドでの練習だけではさすがに不十分なため、実戦練習やバッティング練習をする時はは、近くにある彦根球場やバッティングセンターの室内練習場(2017年末に閉鎖)をお借りしていた。

 

◆彦根東の硬式野球部

甲子園には2009、18年春のセンバツ、13、17年に夏出場を果たしている。

 

変化を恐れず新しさを取り入れる

東高で学んだことは、野球部の練習がきつすぎて何も覚えていない。

 

という冗談はさておき、赤鬼魂の先駆者精神に沿った「新しいものはとりあえずやってみる」ということを学んだ。

特に、野球部の監督・コーチには新しい練習メニュー、新しいバッティングフォームなどをどんどん試してみるように教わり、変化を恐れず新しいことを取り入れる癖が身についた。

東高で学んだことは「先駆者精神」。社会で役立つ力だ。

 

 

(mimiyori編集部・かわせしゅんすけ)

 

 

 

 

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