車いすラグビーの国際大会「ワールドチャレンジ」大会4日目は19日、東京・渋谷区の東京体育館で行われ、決勝トーナメント準決勝で世界ランキング2位・日本は56-57で同1位・豪州に惜敗。決勝進出はならなかった。
第1ピリオドは15-15のタイ、第2ピリオドで26-28とリードを許した。豪州の守備に苦戦しながらも、第3ピリオドはエース池崎、池主将、さらにベテラン島川、ローポインター乗松が得点し、40-40で再びタイに。最終第4ピリオド、豪州のエース、ライリー・バットの勢いは衰えず、卓越したスピードを発揮されて得点を奪われた。日本も池崎、池主将の「イケイケコンビ」を中心に最後まで食らいついたが、勝ち越せずに56-57で惜敗した。
日本は最終日の20日、3位決定戦で、予選プールは57-51で下した英国と再戦する。
ケビン・オアー日本代表HC 「一貫性がなかった」
先発出場は長谷川、島川、池主将、乗松聖という2試合連続のラインナップ。前日18日の英国戦に続き、池崎をベンチスタートさせる策を取った。
序盤から1点を争う展開。豪州のエース、ライリー・バットのスピードと卓越した技術に翻弄される場面が最後まで続いた。同点に追いついても勝ち越すことができない時間が続き、最後は1点差で惜敗した。
「非常に惜しかった。がっかり。チーム全体が勝てると信じていたかがカギだった」
チャンスを得点につなげることができなかったことも含め、選手たちにどこまで勝利の意識づけを浸透させられるかが20年東京への課題となる。 日本のプレーについては「一貫性がなかった」と振り返り、チャンスを次々とものにした豪州に比べ、プレー、意識、さまざまな部分で高いレベルを保つことができなかった。
10年9月のアジアオセアニア選手権後はオフェンスの効率を良くするための練習を行ってきたが、今回の敗戦を受けてさらに改善を図る。
池透暢主将 「かもしれない」ではなく「勝ち切れる」とチームに
2020年東京の前哨戦ともいえる大会で、金メダルを争う最大のライバルとなるであろう豪州に1点差の敗戦を喫した。「大きな悔しさがある」としながらも、20年東京に向けてのチームの在り方を見据えた。
「金メダルをとれるかもしれないチームからとれるチームに、豪州に勝てたかもしれないではなく勝ち切れるチームにならなければならない」
豪州はイメージ通りの戦い方を展開してきたが、強力ハイポインターを中心とした攻守を最後まで崩し切ることはできなかった。それでも「自分たちを、仲間のハードワークを信じる。そして会場の大きな声援も後押ししてくれた」と、観客までもが一体となった日本チームで戦ったことを強調した。
ビハインド、同点の状況が長く続いた試合。これまでは点差が開くと控え選手の中に声が出せない選手もいたという。現在の代表チームは「みんながどんな状況でも声が出せる」と高い意識が芽生えている。
豪州相手に相性の悪いラインナップもあり、はじめから出場しないことが分かっていた選手もいた。それでも競り合いが続いた後半以降は、オアーHCも含めて控え選手全員がコート内の選手たちに大きな声で選手たちを鼓舞していた。
試合終了後は、観客の声援に応えてコートを一周した。
「多くの人に来てもらって、車いすラグビーの魅力は伝わっていると思う」
エース池崎大輔「悔しいの一言」
「悔しいの一言」と振り返り、あと1点届かなかったチームの今の実力が分かったことを収穫とした。
「力不足。敗戦を忘れずにここから成長したい」
20年東京へ必要なことは「チーム力向上」だという。
「個人の力を上げることが重要で、フィジカル、メンタルともに、まずは個人で磨き上げて、チームとして1つになった時に大きな力を発揮できるようにあと1年やっていく」
乗松聖矢 相手4人が連動するディフェンスに苦戦
相手は4人が連動したディフェンスを仕掛けてきたため、日本はボールの出しどころが定まらず、パスミス、ターンオーバーなどボールを奪われる場面もあった。
「相手が連動してディフェンスしていたが、対応できなかった」
一方、豪州のような連動が日本はできなかった。
「豪州のように、コミュニケーションをとってやっていきたい」
日本も最後まで全力を尽くしたが、さらに高いレベルで豪州がプレーした。それでも「ベンチワーク含めて自分たちが上回ってできた。自分たちも力がある。世界一のチームであることを証明できなかったが、3位決定戦に集中したい」と前を向いた。
(mimiyori編集部)