【母校トリビア】新入生に贈る 「開成生」になる準備とは?~開成中学校・高等学校(東京)

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現在は工事中。21年9月より新校舎での授業が開始予定。(撮影:権田卓)

卒業生が母校の横顔をつづる連載「母校トリビア」。

今回は開成学園の20代OBが「入学前の準備、何をしたらいい?」をテーマに、このたび合格された新入生の皆さんに祝福のコラムを贈ります。

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開成合格者の皆さん、おめでとうございます。

中学に入学する方にとっても、高校に入学される方にとっても、この1年は非常に厳しい時間だったかと思います。ただでさえ過酷な受験勉強を、前代未聞の状況下で乗り越えた皆さんを心から尊敬します。 

合格を勝ち取って安心したのもつかの間、そろそろ新しい生活への不安も芽生えてくるころではないだろうか。かくいう筆者も合格発表の場では大喜びしたものの、帰りの電車に乗るころにはもう心配になっていた。開成のハイレベルな授業に自分はついていけるのだろうか、と。 

しかし、結論から言うと、そんなことは大した問題ではなかった。入試を突破した皆さんなら絶対に大丈夫。時間があるうちに今やりたいことをやっておこう。授業は開成の一部に過ぎない。もっと新鮮な体験が皆さんを待ち受けている。 

今回は勉強面以外で、知っておくと開成での生活がちょっぴり楽しめる準備をご紹介しよう。

 

 

歌の練習をすべし

開成といえば運動会、という人が多いだろう。勝てば抱き合って喜び、負ければ人目もはばからず号泣するのが開成流。毎年5月に開催される運動会が新入生にとっての最初の大イベントだ。

……というのは実は違う。実は、新入生にはその前に経験すべき通過儀礼がある。ボートレースだ。

 

毎年4月に開成高校と筑波大付属高校のボート部による対校戦が行われている。2020年は中止となってしまったが、もし開催されていれば92回目となっていた、伝統あるレースだ。新入生は高3生に率いられ、この応援に向かう。 

なんだ応援するだけか、と思うかもしれないが、その応援が問題なのだ。応援といっても適当に声を出すのではない。統制のとれたかけ声と歌が必要になる。だから、レースの日までたくさん練習をするのだが、これが本当に怖い。恥ずかしい話、筆者は泣いた。 

あまり詳しい話をすると「ネタバレ」になってしまうので避けるが、新入生のみなさんにはとにかく2つの歌を覚えておくことをおすすめする。「校歌」と「ボートレース応援歌」だ。

校歌は曲調も明るくて覚えやすいが、ボートレース応援歌はいかにも一昔前の武骨な応援歌で、少しとっつきにくいかもしれない。開成会のホームページでどちらも聞くことができるから、繰り返し聞いてみよう。 

誰かが歌うだろうと思って口パクを決め込んでいたら、クラスの誰も歌えなかったあの時の空気の冷たさは今も忘れない。歴史が繰り返されないことを願うばかりだ。

 

体重を増やすべし

そうはいっても、やはり運動会の話は外せない。年に一度のビッグイベントだ。 

2020年度の運動会が中止になってしまったことはOBにとっても衝撃的で、特に高3生の気持ちを思うと胸が痛んだ。新入生の皆さんにはまだ3回、あるいは6回もチャンスがあるから、ぜひ全力で楽しんでほしい。 

運動会を語る上で欠かせないのが体重だ。4月になると、高3生の間で自分の組の平均体重を競い合うという光景が散見される。そう、開成において体重とは、重ければ重いほど良いものだとされている。

 

開成の運動会で行われる競技は基本的に体のぶつかり合いだから、パワーが正義だ。中1の馬上鉢巻取り(相手騎手の鉢巻を取れば勝ち)も高1の騎馬戦(相手騎手を地面に落とせば勝ち)も、騎馬を組んでの勝負だが、重要なのは騎手だけではない。騎馬同士でも相撲のような押し出し勝ちがあるから、いわゆる「デブ」がめちゃくちゃ重宝される。足が遅かろうが運動神経が悪かろうが、体重という数字で全てを押しつぶせる、というわけだ。 

もし中学、高校デビューでダイエットしようという人がいたとしたらとんでもない。今すぐやめるべきだ。デカい者こそ尊敬されるのが開成という学校だ。

 

グルメを知るべし

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自慢の天ぷらがたっぷりと乗った「八段屋天丼」(撮影:権田卓)

先日のコラムでは西日暮里には何もないと紹介したが、開成生なりにグルメを楽しんでいたりする。特に谷根千界隈はラーメン激戦区であることもあり、多種多様な名店がいくつも並んでいる。他にもカレー屋さんやサンドイッチ、おにぎりの専門店など中高生の腹を満たす店がいっぱいだ。 

そんな中で、開成生に最も愛された店といってもよいのが「ぶっかけや」だ。その名の通りぶっかけうどんがメインの店なのだが、実は先日閉店してしまった。大人気の店だったので、閉店が決まってからは最後に一杯食べておこうというOBが集結して、プチ同窓会状態だったとか。 

新入生の皆さんがぶっかけやのうどんを味わう事ができないのはとても残念だ。しかし、なんとぶっかけやは「八段屋」として天丼屋に生まれ変わっている。どうやら閉店の理由はうどんが提供できなくなってしまったことにあるようだが、それならばと、ぶっかけや時代から定評のある天ぷらに着目してリニューアルしたということだ。 

筆者も先日訪れたが、店の内装からスタッフの方までほとんど変わっておらず、とても懐かしい気持ちになった。店の名前を冠した「八段屋天丼」をいただいたが、味、量ともに大満足。ぶっかけや時代を知らない新入生の皆さんにもおすすめの逸品だ。 

(権田卓=mimiyori編集部)

 

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