【母校トリビア】今春卒業の「青高生」に贈る 東京デビューのコツ~青森県立青森高校(青森)

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我らが母校・青森県立青森高校(撮影:丸井 乙生)

卒業生が母校の横顔をつづる連載「母校トリビア」。

今回は青森県立青森高校のOGが、「青高(せいこう)を卒業したら起こりうること」をテーマに、今春に卒業した18歳の皆さんに祝福のコラムを贈ります。 

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青森高校を卒業された皆さん、ご卒業おめでとうございます。

大半は進学し、県外を出て新しい環境に身を置く人も多いことでしょう。

 

都会に出る準備は楽しくもあり、不安でもあり。しかし、これから何が起こりうるかを知っていれば、 対策も立てられる。上京デビューイヤーに、不要な苦労をせずに大学生活を送る方法をお伝え。へば、しがへるはんで。 

 

 

自分が思っているよりも訛っている

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青森高校がある青森市桜川の夜桜(撮影:丸井 乙生)

特に上京する人に伝えたい。「君は自分が思っているよりも、訛(なま)っている」ということを。「んなわけねえべな」と思ったアナタが一番危ない。

我々青森県民は、津軽弁という独自言語を操っている。Good-byeやThenは「へば」であり、Noの意思表示は「まいね」。Let’s~の呼びかけは「~べし」で締めくくる。これらが標準語ではないことは、いくら何でも知っているだろう。本州最北端でも、NHKは放送されている。

 

ザ・津軽弁を共通語に置き換えれば、標準語になると勘違いしてはいけない。津軽衆たるゆえんは、日常動作に表れる。我々にとって、カギは「かう」ものであり、食事後の茶碗は「うるかす」ものだ。しかし、東京では誰もゴミは投げない。

さらに危険を伴う言葉は感嘆詞だ。相づちの「んだ」あたりは都会でも認知度が高いが、「Oh」を意味する「わい」「わいは」は誰にも伝わらない。筆者は「わいは」の代わりに「なんと」という言葉を当てはめてしのいでいる。 

 

最大の関門はイントネーション

上記のように、明らかに標準語とは異なるフレーズを発しなければイケる、とは限らない。最大の関門はイントネーションなのだ。大学時代、英語の授業で笑われたことがある。英文を音読し、その和訳を発表していたら、クラスのあちこちからくすくす笑いが聞こえた。できたばかりの友だちに「そんなに訛ってた?」と聞くと、

「和訳は大丈夫だったんだけど、英語の方が訛ってたよ」

津軽訛りの英語では、青森県内でしか通じない。世界に通じる言語を習得しているはずが、極めて局所的な学びになっていたことに初めて気がついた。

 

一方、都会に出ながらも、大学4年間を津軽弁で通した後輩がいた。「したって先輩、ワはコレしかしゃべらいねんだもん」。鋼の心と周囲の理解を得ることができれば、何とかなるかもしれない。

とはいえ、脳内に言語を”2チャンネル持つ”ことをお勧めする。津軽弁と標準語を異なる言語として認識し、使い分けることで「2言語しゃべれる」というひそかなお得感はなきにしもあらず。 

 

特急料金は取られない

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旧青森駅。2021年春から新駅舎に生まれ変わった(写真:photoAC)

言語の次に、上京した青森県民が苦戦するものは電車だ。汽車ではない。

東京駅に降り立った時、おそらく多くの人が最初はJRの中央線で移動しようとするだろう。その時、戸惑うことになる。「快速」「特快」「中特」。これは一体、何なのか。

運良く、新宿まで移動できたとしても、京王線の路線図を見上げてぼう然するかもしれない。「特急」「準特急」「急行」「区間急行」「快速」ーー

 

青森県民にとって、「特急」などのスペシャル版に乗車する場合は新幹線と同様、「特急料金を支払わなければいけない」という意識が働く。

筆者は京王線新宿駅でしばし固まった後、各駅停車に乗り込んで京王八王子駅まで行った。所要時間は1時間半弱。新幹線に乗っていた時よりも、青森から遠く離れた土地にいるという不安にかられ、「とんでもないところに来てしまった」と当時は思った。

とんでもないのは無知だった自分だが、一都三県内を移動する場合はほとんど特急料金を払う必要はないと事前にお伝えしておきたい。初手で無駄な絶望は防げるはずだ。

 

「無限の象徴(しるし)」を胸に

地元では「せいこう」の愛称で親しまれる青森高校。筆者の在籍時は上履きがなく土足、パーマをかけても何も指摘されず、「勉強しろ」と言われた記憶もあまりない。自由であるがゆえ、責任はすべて自分にある。社会に出る前に、自発的に学ぶことの重要性の意識づけをしてもらった場所でもあった。

県内では一番の高校でも、都会に出ればもっと頭のキレる人たちと出会う。しかし、我々には「自分で学ぶ」強さがある。さらに青高で出会った、一を言ったらヘタをすれば十くらいまで理解してくれる友人もいる。

 

訛っていても、電車を乗り間違えても、都会で臆することはない。何百回も口にした校歌のフレーズ「無限の象徴(しるし)」。君たちが望みさえすれば、無限の可能性を現実にできるのだ。

(丸井 乙生) 

 

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