【行ったつもりシリーズ】古都・鎌倉でアジサイめぐりサイクリング<後編>

鎌倉でアジサイをめぐるサイクリング。「御霊神社」のそば、江ノ電の踏切にもアジサイが咲いていた(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は古都・鎌倉に出かけ、梅雨の風物詩アジサイの名所をめぐるサイクリング。アジサイで有名な寺院は拝観料が高かったりして、個人的に敬遠していたがついに実行。走っているうちに鎌倉が自転車観光に向くのかも、ついでに探ることに。

後半は、JR鎌倉駅周辺から長谷方面へ向かっていく。

 

 

 鎌倉中心部でアジサイを探す

鶴岡八幡宮の三の鳥居。専用の駐輪場はないので、近くの商業施設や郵便局の駐輪場を利用する(撮影:光石 達哉)

「亀ヶ谷坂」の切通しの坂を越え、鎌倉の中心部へ。飲食店やお土産物街が並び、観光客でごった返している小町通りの混雑を避けて、鶴岡八幡宮の前へ。今回は立ち寄る予定はないが、ここも多くの人で賑わっている。その参道の若宮大路を南に下る。

 

「本覚寺」は、1436年開創の日蓮宗の寺院。山梨の身延山から日蓮の骨も分骨されている。拝観料は無料(撮影:光石 達哉)

JR鎌倉駅のそば、鎌倉郵便局の交差点で左折すると次に目指す「本覚寺」がある。ここも駐輪場は見当たらなかったので、ちょっと離れた郵便局かその隣の銀行の駐輪場にとめる。

 

本覚寺の本堂の周りには、ガクアジサイなどが咲いていた(撮影:光石 達哉)

機械式で利用客以外でも駐輪でき、無料時間も設定されている。この本覚寺は、本堂の周りにアジサイが咲いていた。

 

「妙本寺」も駐輪場は見当たらなかったが、ネットで調べたところ参道の脇が駐輪場になっているようで、人力車もとまっていた。(撮影:光石 達哉)

続いては、「妙本寺」へ。本覚寺から東へ少し走ったところで、距離的にはお隣ぐらいの近さ。少しだけ鎌倉の賑わいから離れていて静かなお寺だが、境内ではウェディングフォトを撮っているカップルも多かった。

 

妙本寺の石段を上った先にある二天門。この周りにアジサイがたくさん咲いていた
(撮影:光石 達哉)

1260年創建で日蓮宗最古の寺院と言われており、境内に立つ日蓮像の足元にもアジサイが咲いている。

 

 源氏山公園への激坂に撃沈

銭洗弁財天の入り口。15~20%前後の激坂の途中にあり、目指す源氏山公園はさらに100mほど上った先にある(撮影:光石 達哉)

今度は鎌倉駅の西側にある「源氏山公園」へ。この公園は以前も行ったことがあるのだが、丘の上にあり、北側から向かおうとすると住宅街の狭間にある急な階段を上っていかなきゃいけない。

それを避けるために、今度は南側の銭洗弁財天の方から上ってみることに。ちょっと手前の駐車場から銭洗弁財天の入り口まで距離は100mほどだが、とんでもない激坂でいったん休憩。ここから源氏山公園までもさらに100m、20%前後の坂が続く。先ほど上った亀ヶ谷坂とは比べ物にならないほどの急勾配で、こんなところ自転車で上るの? と観光客に珍しそうに見られながら、さらに片足着きながらも、なんとか上っていく。最近は体重が増えすぎて、激坂でへこたれることが多い。

 

「源氏山公園」のシンボルである源頼朝の銅像。その周りにガクアジサイが咲く。
(撮影:光石 達哉)

苦労した割には標高80mほどの小さな丘だが、なんとか公園の入り口らしきところにたどり着き、自転車をとめて歩いて園内へ。この源氏山は源頼朝の4代前の源義家が戦勝祈願したことから、そのように呼ばれるようになったそうだ。

シンボルとして頼朝の銅像があり、その周りにアジサイが咲いている。公園のはずれにある葛原岡神社もアジサイの名所だそうだが、歩くとちょっと遠そうなのでスルー。

 

 アジサイの名所・長谷寺

長谷の「光則寺」は1274創建の日蓮宗の寺院。拝観料は100円(大人料金、以下同)
(撮影:光石 達哉)

観光客に気をつけながらブレーキを握りつつ坂を下り、次は南西の長谷方面へ。鎌倉の大仏がある高徳院の脇を通り過ぎ、まずは「光則寺」へ。お寺の入り口付近には、駐車・駐輪禁止の貼り紙があるので、山門付近のアジサイをチラ見しただけで引き返す。

 

736年開創と鎌倉の中でも古い歴史を持つ「長谷寺」。この日は午後3時ですでにあじさい当日鑑賞券の受付は終わっていた(撮影:光石 達哉)

その光則寺の1本南の道が、人気のアジサイの名所「長谷寺」へと続いている。日本人、外国人問わず多くの観光客でひしめいている。山門の前はちょっとした広場になって、左には拝観料の券売所みたいな建物もあり、ちょっとしたテーマパークの入口のような雰囲気だ。

 

長谷寺の駐輪場。狭いけれど、あるだけでありがたい(撮影:光石 達哉)

広場の公衆トイレの横に駐輪場があったのはありがたかったが、まだ午後3時なのに「あじさい鑑賞当日券受付は終了しました」の看板が出ているので、中に入るのは諦める。

 

せっかく長谷寺に来たので、山門の右の寺務所付近に咲くアジサイを眺める
(撮影:光石 達哉)

なお、長谷寺のアジサイを鑑賞するには拝観料400円(中学生以上)とあじさい鑑賞券500円(小学生以上、今年は6月1~26日の見ごろ期間のみ)の両方が必要。ネットでのセット予約もできるそうだ。

 

平安時代の武士・鎌倉景正を祀る「御霊神社」。石段を上って踏切を渡った先が境内だが、神域のため撮影禁止。拝観料100円。周囲に駐輪場はなさそうだった
(撮影:光石 達哉)

続いては、長谷寺の南にある「御霊神社」へ。

すぐそばに江ノ電の踏切があり、線路沿いにアジサイが咲いている。多くの人がカメラやスマホを構えているなと思ったら、ちょうど緑色の車両の江ノ電がやってきて、スペクタクルだった。

 

御霊神社のそばを通る江ノ電。線路沿いにアジサイが咲く(撮影:光石 達哉)

「成就院」は1219年に創建された真言宗のお寺。境内に続く石段に沿ってアジサイが咲く。拝観料は無料(撮影:光石 達哉)

さらに南へ進み、極楽寺切通の坂へ。ここは車が通れるぐらいの広い道で、坂の左手に「成就院」というお寺がある。境内に向かう石段にアジサイが咲いていてここも人気のスポットだが、駐輪場はなさそうだ。

 

 果たして鎌倉は自転車観光に向いているのか?

「極楽寺」の門前のアジサイ。拝観料は無料。このときは気づかなかったけど、江ノ電の駅前には無料の駐輪場があったようだ(撮影:光石 達哉)

坂を越えて西側に下ると、「極楽寺」があり、門前にアジサイが咲いている。目の前には、江ノ電の極楽寺駅もある。

そのまま極楽寺駅前の道を進み、国道134号に出て、「鎌倉海浜公園稲村ヶ崎地区」に到着。せっかく鎌倉まで来たので海も見たいと思っていたが、この日は風が強くてそこそこ荒れている。公園の入り口に自転車をとめ、少し歩く。小さな岬が丘のようになっていて、ところどころにアジサイが咲いている。

「稲村ケ崎」のアジサイ。奥に江の島、実は雲の向こうにうっすらと富士山も見えている
(撮影:光石 達哉)

というわけで、今回は計16カ所のあじさいスポットを回った。予算1,000円の設定だったが、結局、ほとんどの寺社で入り口付近のアジサイで満足してしまって中に入らなかったので、最初の北鎌倉の駐輪場150円と多少のお賽銭(さいせん)ぐらいしか使わなかった。

自転車を使って鎌倉で寺社めぐりをしようと思っても、駐輪場がほとんどないのでなかなか厳しかった。建物が密集しているので、スペース的に難しい部分もあるのだろう。レンタサイクルの業者もいくつかあるようだが、市や観光協会のHPを見ても自転車での観光を強く推奨している感じではなさそうだ。

とはいえ、車が動かないほど渋滞するところもあるし、観光名所がコンパクトにまとまっているので、もっと自転車で観光しやすい街になったらいいなと思いつつ、今回のサイクリングはおしまい。

 

(光石 達哉)

 

今回のルート:①本覚寺-②妙本寺-③源氏山公園-④光則寺-⑤長谷寺-⑥御霊神社-⑦成就院-⑧極楽寺-⑨鎌倉海浜公園 稲村ヶ崎地区

 

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【行ったつもりシリーズ】古都・鎌倉でアジサイめぐりサイクリング<前編>

今回は鎌倉でアジサイの名所めぐり。「円覚寺」の前の白鷺池の周りに咲くアジサイ。JR北鎌倉駅のすぐそばで、ちょうど電車が走っていた(撮影:光石 達哉)


読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は古都・鎌倉に出かけ、梅雨の風物詩アジサイの名所をめぐるサイクリング。アジサイで有名な寺院は拝観料が高かったりして、個人的に敬遠していたがついに実行。走っているうちに鎌倉が自転車観光に向くのかも、ついでに探ることに。前半は、北鎌倉周辺をブラブラしてみる。

 

 

 北鎌倉駅前の駐輪場から散策開始

円覚寺は、鎌倉幕府八代執権の北条時宗が元寇の戦没者追悼のため創建した臨済宗円覚寺派の大本山。拝観料500円(撮影:光石 達哉)

前回は東京都内のアジサイの咲くスポットをいくつか巡ったが、今回はアジサイの名所として知られる寺院が多い鎌倉へ。拝観料が必要な寺院が多いことが個人的にネックだったが、トータル1000円ぐらいまでなら払おうかなとぼんやり予算を決めて出発。

数年前、神奈川県を南北に貫く環状4号線(横浜市)が自転車で走りやすいことを見つけて、ちょくちょく鎌倉方面にはサイクリングに来ている。今回も鎌倉女子大前で右折して感情4号線を離れて、県道21号に入る。

県道沿いにあるJR北鎌倉駅に近づくと、車が動かないほどの渋滞になっている。路肩もそれほど広くないので、歩行者やレンタサイクルが行きかう中、ゆっくりと進む。梅雨の晴れ間のこの日、日差しはほとんどないものの、ムシムシした暑さがまとわりつく。

 

駅前にある北鎌倉サイクルパークは、一時利用の駐輪スペースもある。ここにロードバイクをとめて、4つの寺院を回った(撮影:光石 達哉)

午前11時ごろ、JR北鎌倉駅に到着。日本人、外国人問わず多くの観光客でにぎわっている。この北鎌倉駅の裏にある「円覚寺」がアジサイ名所のひとつだが、お寺の前には自転車をとめられないようなので、駅前にある駐輪場「北鎌倉サイクルパーク」を利用。自転車の駐輪料金は1日150円だが最近よく見る機械式の駐輪場ではなく、管理人さんがいない土日などは料金箱にお金を入れるシステムになっている。

円覚寺の前、JRの線路沿いに「白鷺池(びゃくろち)」という池があり、その周りにきれいなアジサイが咲いている。境内にもアジサイの見どころがいくつかあるようだが、拝観料500円(大人料金、以下同)とちょっと高いのでいったんスルー。

 

 明月院「あじさい寺」は大行列

石段の両側にアジサイが咲く「東慶寺」。江戸時代ごろまでは「駆け込み寺」「縁切り寺」として知られていたそうだ。拝観料無料だが、上に見える山門の先の境内は撮影禁止(撮影:光石 達哉)

自転車をとめたまま歩いて、近くの「東慶寺」へ。ここは拝観料無料だが、境内は撮影禁止。ただ山門前の石段の左右にはアジサイが花を開いている。

さらに少し南東に歩いて「浄智寺」へ。このお寺には駐輪スペースがあり、自転車でも来られそうだった。山門の周りやその先の石段沿いにアジサイが植えられているのが見られた。

 

「浄智寺」の山門前、池の周りに咲くアジサイ。石橋は老朽化しているのか、通行禁止になっていた(撮影:光石 達哉)

鐘楼門から先は拝観料200円が必要だが、ここまで歩いて上ってきてちょっと満足したので、引き返すことに。

 

浄智寺は、臨済宗円覚寺派の寺院。石段もアジサイに囲まれていた。奥に見える鐘楼門から先は拝観料200円(撮影:光石 達哉)

徒歩で近くの踏切を渡り、「明月院」を目指す。「あじさい寺」とも呼ばれる北鎌倉周辺でも人気のお寺で、なんと数100m手前から長い行列ができている。中に入るのには、1時間そこらはかかりそうなのであきらめた。

 

「あじさい寺」として知られる「明月院」。多くの観光客で長い行列ができていた。拝観料500円と庭園入園料500円が必要。(撮影:光石 達哉)

明月院の入り口の手前には、自転車置き場があった(撮影:光石 達哉)

 

 谷戸をつなぐ切通しを越える

浄智寺の山門をくぐった右手に駐車場や公衆トイレがあり、駐輪スペースもあった(撮影:光石 達哉)

北鎌倉サイクルパークに戻って再び自転車に乗り、相変わらず渋滞している県道を少し南東へ進んでいく。「建長寺」という大きなお寺が左に見えてきた。道路沿いに立つ巨大な天下門の左側が駐輪場になっているので、そこの壁にロードバイクを立てかける。

 

日本初の本格的な禅寺とされる「建長寺」。県道沿いの大きな天下門の左側が駐輪場になっていた(撮影:光石 達哉)

門をくぐって駐車場を横切ると今度は総門があって、その手前にはサイクルラックも設置されていた。ここも拝観料は500円。予算1000円と考えていたけれど、結局ここでも使う気になれず引き返す。

 

天下門のひとつ奥にある総門の手前には、ロードバイクなどを引っかけるサイクルラックも置かれていた。ここにとめてもよかったな。この先の境内には、アジサイが点在しているそうだ(撮影:光石 達哉)

県道をちょっと戻って「長寿寺」へ。石段の右側の県道沿いにはアジサイがたくさん咲いていて、道行く人も写真を撮っている。

しかし、このお寺の周りは駐輪スペースがなさそうなので、中に入るのは断念。もっと人の少ない観光地なら道端に停めたりすることもあるけれど、人通りの多い鎌倉ではマナー的にも防犯的にもやめておいた方がよさそうだ。何気に今回のサイクリングは、駐輪場を探すのが裏テーマになりつつある。

 

長寿寺は室町幕府初代将軍・足利尊氏の邸宅跡で尊氏の墓もあるそうだ。拝観料300円。石段の左右にアジサイ(撮影:光石 達哉)

続いて長寿寺の左側にある「亀ヶ谷坂」に入る。三方を山に囲まれている鎌倉だが、その山には細かい谷がいっぱい刻まれていて、谷戸(やと、やつ)と呼ばれている。その谷戸と谷戸をつなぐのに、切通しと呼ばれる山を削った道がいくつも作られていて、この亀ヶ谷坂の切通しもそのひとつだ。

狭い道なのでクルマは通れず、歩行者、自転車、バイクは通行可。坂が急すぎて亀が引き返したという伝説から亀ヶ谷坂と名付けられたそうだが、北側からだと勾配10%ぐらいの坂でロードバイクなら越えられないことはない。頂上付近は木々が生い茂って、昼間なのに街灯がついているほど薄暗い。古都・鎌倉の風情を感じられる坂道で、ここもアジサイの名所のひとつだ。

 

「長寿寺」のそば、県道21号沿いにはたくさんのアジサイ。車道はしっかり渋滞している(撮影:光石 達哉)

今回はここまで。次回は鎌倉の中心部と長谷方面を巡っていく。

(光石 達哉)

「亀ヶ谷坂」のアジサイ。ちょうど原付に乗ったお坊さんが通りかかった(撮影:光石 達哉)

今回のルート:①円覚寺-②東慶寺-③浄智寺-④明月院-⑤建長寺-⑥長寿寺-⑦亀ヶ谷坂

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【行ったつもりシリーズ】梅雨の風物詩 東京のあじさい園をサイクリングで回ってみた

 

東京のアジサイ名所をサイクリング! 最初は小平市の「あじさい公園」へ
(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

梅雨の風物詩と言えば、色とりどりの花を咲かせるアジサイ。今回は東京多摩地区を中心に4カ所のアジサイの名所をサイクリングで回ってみた。

 

 

 あじさいの名所を目指して造られたあじさい公園

ほぼ同じ大きさの花が密集しているのは、ヨーロッパで園芸用に品種改良された西洋アジサイ(撮影:光石 達哉)

アジサイの名所といえば、長谷寺や明月院など鎌倉のお寺が有名だが、拝観料がそれなりにするので何カ所も回るのはお財布的にちょっと厳しい。

というわけで、今回は東京都西部の多摩地区を中心にアジサイが楽しめるスポットをサイクリングで回ってみた。

梅雨入り直前のちょっと晴れ間も見えるこの日は、ムシムシした暑さもまだなく、風も爽やかでサイクリングに最適なコンディションだ。

最初に向かったのは、小平市にあるその名も「あじさい公園」。昭和48年にあじさいの名所を目指して造られ、約1,500株のあじさいが美しく咲き誇る。多摩湖自転車歩行者道(保谷狭山自然公園自転車道線)沿いにあるので自転車でも立ち寄りやすく、西武線・小平駅からも徒歩5分と交通の便もいい。

 

小さな花の周りを額縁のように大きな花が囲むのはガクアジサイ。こちらの方がアジサイの原種だそうだ(撮影:光石 達哉)

あじさい公園の中には池があり、時期によってはオタマジャクシが泳いでいる姿も見られるそう(撮影:光石 達哉)

園内は自転車の乗り入れはできないが、歩いても2、3分で一周できるほどの広さ。他の花と同じく2023年はアジサイの開花も早いようだが、この日は満開まであと一息といったところ。それでも青、紫、ピンク、白のアジサイがきれいに花を咲かせていた。2023年は6月14日(水)~25日(日)に毎年恒例の「こだいらあじさいまつり」が開催され、ライトアップも行われるという。

 

 ツツジの後にアジサイが花開くお寺

青梅市の「塩舟観音寺」へ。時期は終わってしまったが境内の奥にはツツジ園が広がり、その上には高さ約11mの塩船平和観音立像が立つ(撮影:光石 達哉)

多摩湖自転車歩行者道はロードバイクで走るにはちょっと狭いので、東京街道や青梅街道をつないで西へ。20kmちょっと走って次の目的地、青梅市の「塩船観音寺」に到着。ここは、大化年間(645~650年)に開山した真言宗のお寺で、周囲を丘に囲まれた地形が船の形に似ていることから塩船と名付けられたそうだ。

ツツジの名所としても有名で、ちょっと前の4月中旬~5月中旬のつつじ祭りの時期には境内の奥の斜面一面が色とりどりのツツジに彩られるそうで、その頂上には塩船平和観音立像が立っている。

 

本堂右側の斜面、ハイキングロードの周りにあじさい園が広がる(撮影:光石 達哉)

「あじさい園」は本堂に右側の斜面に広がっていて、隣の霞丘陵自然公園と繋がるハイキングコースにもなっているようだ。ここも満開までもう少しといったところだが、カラフルなアジサイがたくさん花開いている。

 

下の駐車場付近からアジサイを見上げるのもいいね(撮影:光石 達哉)

 

 アジサイの咲く巡礼路で八十八カ所巡り

続いては日野市の「高幡不動尊」へ。京王線・多摩都市モノレールの高幡不動駅から徒歩5分とアクセスもいい。五重塔はちょっと遠くからでもよく見える(撮影:光石 達哉)

続いては南東へ約25km。青梅街道や多摩大橋通りを走り、日野市の「高幡不動尊」へ。

 

高幡不動尊に来たら、土方歳三像にも挨拶(撮影:光石 達哉)

新選組副長・土方歳三の菩提寺としても有名なお寺だが、毎年6月いっぱいは「あじさいまつり」も開催されている。

 

四国八十八所と同等のご利益があるとされる山内八十八カ所の巡礼路沿いにアジサイが咲く(撮影:光石 達哉)

山内八十八カ所の各札所には、弘法大師像があるようだ(撮影:光石 達哉)

境内は朱塗りの五重塔が目印だが、アジサイはその左側の丘に広がっている。山内八十八カ所と呼ばれる四国八十八カ所を模した巡拝路が作られていて、その道沿いに約200種類以上、7500株あまりのアジサイが咲いているという。

 

アジサイの向こうに薄っすらと五重塔(撮影:光石 達哉)

全部回ると時間がかかりそうだったので、少しだけ散策させてもらった。

 

境内の売店で買った2色のあじさい餅。本当は箱売りだったのをバラ売りしてもらった(撮影:光石 達哉)

境内の入り口のお店で「あじさい餅」や「あじさい饅頭」を売っていたので、2色の「あじさい餅」を買ってみた。お店のおばさんは「冷やしたり、凍らしたりしても、おいしいよ」と言っていたけれど、お腹が空いていたのでその場で食べてみる。

アジサイの味がしたかどうかはアジサイを食べたことがないのでわからなかったけど、フルーティーな酸味もあり、お餅もきめ細かく、常温でも結構おいしかった。

 

 多摩川沿いを下り多摩川台公園へ

最後は大田区の「多摩川台公園」へ。この日は東急・多摩川駅から歩いてすぐの入口付近に多くのアジサイが咲いていた(撮影:光石 達哉)

さて、今度は川崎街道や多摩川沿いの道を約30km東へ。多摩地区を離れ23区内に入り、大田区の「多摩川台公園」へ。

 

一面に咲くアジサイ。奥に見えるのは大田区公式PRキャラクターの「はねぴょん」。区内に羽田空港があるので、飛行機などがモチーフのようだ(撮影:光石 達哉)

多摩川にかかる丸子橋のそばで、すぐ隣には多摩川浅間神社がある。台地のようになった公園全体に約7種類、4,000株のアジサイが植えられているようだが、この日は東急・多摩川駅から歩いてすぐの東側の斜面がよく咲いていたようだ。

というわけで今回は4カ所のアジサイの名所を巡ってみた。満開になるのはこれからなので、気になるところがあれば出かけてみてはいかがだろう。

 

(光石 達哉)

 

今回のルート:①あじさい公園-②塩舟観音寺-③高幡不動尊-④多摩川台公園

 

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【行ったつもりシリーズ】新緑の相模原周辺でダムカード集めまくりサイクリング<後編>

ゴールデンウィークの真っただ中、相模原周辺でダムカードを求めてサイクリング(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は新緑がまぶしいゴールデンウィーク中に神奈川県相模原周辺でダムをめぐり、ダムカードを集めまくるサイクリング。6つのダムのうち、後半は石小屋ダム、城山ダム、本沢ダムの3つのダムを訪れる。

 

 

 水遊び可能なあいかわ公園そばの石小屋ダム

「あいかわ公園」では、ロードトレインと呼ばれるSL型のバスが宮ケ瀬ダムの下まで走っている(撮影:光石 達哉)

前半は相模ダム、道志ダム、宮ケ瀬ダムの3つのダムを訪問。宮ケ瀬ダムでは数100m下流にある「石小屋ダム」のダムカードも合わせてもらえたので、その石小屋ダムも実際に見に行くことに。対岸の下流側にある「県立あいかわ公園」から見えるようだが、インクラインと呼ばれるケーブルカーに乗ってダムの下まで行き、そこから歩いていくか、ダムの上を渡って対岸の車道に出て公園を目指すのが近いようだ。

しかし、ダムの上は自転車を押し歩きしなきゃいけなかったりするのが面倒に思えて、自転車で大回りしてあいかわ公園を目指すことに。トンネルやアップダウンの続く道をしばらく進み、最後は急な坂を下ってあいかわ公園に到着。ここも駐車場待ちの車が長い列を作っているが、その脇をすり抜けて駐輪場へ。この公園も自転車乗り入れ禁止なので、ここからは歩いて向かう。

園内は家族連れが多く、この日は暑かったので噴水やジャブジャブ池で水遊びしている子どもたちも多い。それを横目に正面の坂を下っていくと、石小屋ダムが見えてきた。

 

宮ケ瀬ダムの副ダム「石小屋ダム」。宮ケ瀬ダムから観光放流で流された水などを一時的に貯める役割を担っているそうだ。住所的には愛甲郡愛川町。(撮影:光石 達哉)

ここも宮ケ瀬ダムと同じ2001年の完成で、堤高(高さ)34.5m、提頂長(幅)87mとやや小ぶり。ダムの表面が石垣のような岩模様になっていたり、両端が岩山のようになっていたりと自然の景観と馴染むようにとデザインも凝っている。

結局、石小屋ダムまで歩けば数100mのところを、遠回りして自転車で8kmぐらい走ったことになる。すでにスタートから90km以上、獲得標高も1000mを越えてきてちょっと疲れを感じてきた。あいかわ公園は渓谷の底のような地形にあるので、帰りは10%以上の上り坂でさらに脚に来る。

 

 ダムの上を国道が走る津久井湖の城山ダム

津久井湖の南側にある津久井湖観光センターで休憩。地元の野菜や特産品などを売っている。この日は鯉のぼりも空を泳いでいた(撮影:光石 達哉)

相変わらず上り下りをこなしながら北へ約10km走り、津久井湖観光センターに立ち寄り、オギノパンの丹沢あんぱん・こしあんとチョココロネを買ってちょっとひと休み。オギノパンとは宮ケ瀬湖のそばに工場直営店がある人気のパン屋さんで、サイクリストもよく訪れる。周辺の観光センターなどでも、パンを買えるところがある。

 

このあたりで人気のオギノパン、定番の丹沢あんぱん・こしあんとチョココロネで空腹を満たす。チョコは砂糖のザクザクした食感が、食べ応えがあった(撮影:光石 達哉)

津久井湖は、城山ダムのダム湖。1965年完成の城山ダムは、堤高75m、提頂長260m。ダムの上を国道が通っており、これは全国的にも珍しいそうだ、普段、自転車で走っていてもあまり気にせずそのまま通り過ぎてしまうことも多い。

今いる観光センターは津久井湖の南側で、ダムカードは北側にある別の施設でもらえるのだが、すでに午後3時でその前に最後の6つ目のダムを目指さないといけない時間的な事情がある。

 

「城山ダム」はゲートと呼ばれる水門の部品が戦艦大和などを建造した広島・呉の造船所で作られ、海路運ばれてきたという(撮影:光石 達哉)

 名前がまぎらわしい本沢ダムの城山湖

ダムを渡ったところからもう一枚パチリ。わかりにくいけど、上の国道を車がひっきりなしに通行している(撮影:光石 達哉)

城山ダムの上を走る国道413号を進み、都井沢という交差点を左折して6つ目の「本沢(ほんざわ)ダム」に向かう上り坂に入る。本沢ダムに至る坂は4本あるのだが、今上っているこの南側のルートが一番長くて勾配も緩やかなのだが、だいぶ脚も痛くなってきてペダルを踏み込むのがつらい。約3km、標高差約170mの上り坂を30分ほどかけて到着した。

本沢ダムのダム湖は城山湖、先ほどの城山ダムは津久井湖とやや名前がまぎらわしい。この2つのダムの間で水を上下させる揚水発電が行われており、近くには発電所もある。

 

「城山湖」で証拠の自撮り写真をパチリ。ロックフィルダムという形式で、積み上げた石と粘土で作られたダム。周辺の緑が美しく、バードウォッチングの名所でもある(撮影:光石 達哉)

本沢ダムは堤高73m、幅234m。小さな山の頂上にあるので、道は行き止まりで訪れる人も少ない。景色が開けていて気持ちいいので、個人的に何度も訪れているお気に入りのサイクリングスポットだ。今年3月に近くの本沢梅園を訪れたときにも少し紹介した。

 

坂を下り、津久井湖北側の「水の苑地」へ。ここも景色のいい公園だ(撮影:光石 達哉)

このダムのそばには休日にダムカードを配布している施設がないので、スマホで自撮り写真を撮っておく。実は津久井湖の北側にある津久井湖記念館で道志ダム、本沢ダム、城山ダムの3種のダムカードがもらえるのだが、そこは午後4時に閉まってしまう。

 

この津久井湖記念館で道志ダム、本沢ダム、城山ダムの3種のダムカードがもらえる(撮影:光石 達哉)

普段は城山湖で10~20分ボーっと景色を眺めるのだが、時間がないので写真を撮ったらすぐ下山。10分ちょっとで来た道を下って津久井湖記念館に到着。受付でスマホの写真を見せて、3枚のダムカードをゲットした。閉館まで残り10分ほどとギリギリだったが、無事に目標にしていた6枚のダムカードをそろえた。

 

この日ゲットした6枚のダムカード。裏には各ダムのデータや情報が書かれている(撮影:光石 達哉)

今回のルート:①相模ダム-②道志ダム-③宮ケ瀬ダム-④石小屋ダム-⑤城山ダム-⑥本沢ダム

ここから自宅まで戻り、結局この日は150km超、獲得標高1700m超と久々のがっつりサイクリングとなった。帰り道はまったく脚に力が入らなかったけど、限界を感じるということは成長の余地があるのなかと前向きにとらえることに。また機会があれば、どっかの地方でダムカード集めしようかと思う。

(光石 達哉)

 

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【行ったつもりシリーズ】新緑の相模原周辺でダムカード集めまくりサイクリング<前編>

ダム湖百選にも選ばれている「宮ケ瀬湖」。ここも自転車は乗り入れできないので、押し歩き。季節によっては雪解け水で湖水が明るいエメラルドグリーンに見えることもある(撮影:光石 達哉)

 

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

今回は新緑がまぶしいゴールデンウィーク中に神奈川県相模原周辺でダムをめぐり、ダムカードを集めまくるサイクリング。前半は相模ダム、道志ダム、宮ケ瀬ダムの3つのダムを訪れた。

 

 

 相模ダムと1964年東京五輪会場

神奈川県相模原周辺で6つのダムを自転車で回り、ダムカードをもらいまくる(撮影:光石 達哉)

2023年のゴールデンウィークは数年ぶりに全国各地で多くの人出で賑わい、道路や公共交通機関も混雑していた。そんな中、サイクリングなら ある程度混雑を避けていろんなところに行けるだろうという思惑で出かけることに。昨年春には埼玉県秩父周辺でダムカード集めのサイクリングを行ったが、今回は神奈川県相模原周辺でダムカードを集めることにした。

そもそもダムカードとは、国土交通省と独立行政法人水資源機構の管理するダムで、ダムのことをより知ってもらおうとダムの訪問者に配布しているもの。平成19年(2007年)からと歴史は意外と浅いが、2023年5月1日時点で全国803のダムカードがあるそうだ。

自転車で走っているとダムに出くわすことはよくあるので、集めているサイクリストも少なくないようだ。今回訪れる予定の6つのダムは、それぞれ過去に何度か行ったことがあるものの、ダムカードをもらってないところも多く、1日にまとめて回ることもなかったので、今回は6カ所一気にめぐっていく。

 

「相模ダム」のダムカードを配布している「相模湖交流センター」。2階のレストランではダムカレーも食べられるそうだ(撮影:光石 達哉)

青空に恵まれたこの日、最初に目指したのは「相模ダム」。まずは、国道20号・甲州街道を西へ。高尾山あたりから、交通量も増えてきた。大垂水峠を越えて神奈川県に入り、JR中央本線の相模湖駅に近くづくと、車がつまってきて自転車で路肩を進むのも一苦労だ。

すると左に入る脇道があり、「相模湖交流センターはこちら」という看板があった。事前に調べたところによると、このセンターでダムカードを配布しているとのことなので、左折。

ダムカードは、ダムの管理事務所や観光センターなどで配られているが、たまにダムから離れていたり、土・日・祝日は配る場所が限られていたりするので、国交省のサイトやマニアの方がまとめたサイトなどで調べていかないといけない。

 

相模湖公園は自転車乗り入れ禁止なので、押して歩く。手前に浮かんでいる桟橋は、ボートやカヌーの練習用のようだ。秋は紅葉が湖に映える(撮影:光石 達哉)

この相模湖交流センターはダムのすぐそばだが、メインの国道412号からちょっと奥に入っているので、調べていないとなかなか立ち寄らないところだ。今回は無事にたどり着いて、館内の受付で1枚目のダムカードをゲットした。

センターを出て坂を下りたところの信号を渡ると相模湖公園があり、その前にダム湖の「相模湖」が広がっている。ここは1964年東京五輪のカヌー競技の会場であり、現在でもボートやカヌーの大会会場や練習場として多くのアスリートが利用している。大型の観光船やスワンボートなども浮かんでいて、観光地としても人気だ。

公園を出て、国道412号を右に向かうと相模ダムの本体がある。車は入れないが、自転車ではダムの上を通れる。戦後間もない1947年完成ということで、コンクリートの色味も重厚感がある。

 

相模ダムの上から下流の相模川を眺める。深い緑の隙間から右側に発電所も見える(撮影:光石 達哉)

 "秘境"のダムと絶品はちみつたいやき

「道志ダム」のそばにはダムカード配布場所がないので、行った証拠の自撮り。この季節、ちょっと離れるとダムが木々の陰に隠れてしまう(撮影:光石 達哉)

ダムを渡って国道412号を南へ。左側に相模湖プレジャーフォレストの正面ゲートが見えてきて、多くの車が行列しているのを横目に右折。アップダウンの続く細い道に入ると、次第に民家もなくなって山深くなっていく。途中で地元のおばちゃんに「がんばってー」と声を掛けられた。

この道を進んでいくと、過去にも紹介したことがある「山のはちみつ」というお店があり、名物のはちみつたいやきでエネルギーを充てんする。この日は、サイクリストだけでなく、車やバイクも多く訪れていた。

 

自家製のはちみつを販売している「山のはちみつ」。ジェラートも人気(撮影:光石 達哉)

名物の「はちみつたいやき」は、皮にはちみつが混ざっているようでほんのり甘く香りもいい。中身はあんことカスタード、季節限定のさくらあんもある。普通のたいやきよりは小さめ(撮影:光石 達哉)

さらに南西に向かって上り下りを繰り返し、相模ダムから約15km走って「道志ダム」に到着。今回めぐるダムの中でも最も奥深くというか上流にあり、山梨県との県境も近い。山奥にひっそりたたずむ小さなダムといった趣だ。

道志ダムは、近くにダムカードを配布する施設が何もない。サイトによると、ダムと一緒に写った自撮り写真を撮って、別の場所で受け取ることになっているようだ。

 

道志ダムに接近。1955年完成と歴史を感じるダムで、提頂長と呼ばれるダムの幅は74mと小さい。ダムの真下は、発電施設になっているそうだ(撮影:光石 達哉)

 観光客で賑わう宮ヶ瀬湖でカード ゲット

ちょっと遠くから眺めた宮ケ瀬ダム。堤高(高さ)156m、提頂長(幅)375mとこの周辺では最も大きなダム。観光放流も行われるようだ(撮影:光石 達哉)

ここから少し南に進むと道志みちへ出る。相模原から山梨県の山中湖まで続く道で、2020年東京五輪の自転車ロードレースのコースともなった。沿道にはキャンプ場なども多いので、この日もたくさんの車が走っている。今回は五輪のときとは逆に東へ進むので、緩やかな下り坂。快調なスピードで進んでいく。

 

宮ケ瀬ダムの上は広い歩道になっている。右のインクラインはダムの下まで降りるケーブルカー。ダムの中央付近にはエレベーターもある(撮影:光石 達哉)

道志みちを途中で右折して何度かアップダウンをこなし、「宮ケ瀬湖」へ。ここもダムによってできた湖で、湖畔には公園や飲食店、お土産物屋なども充実し、令和元年度のダム周辺の年間利用者数は155万人という人気観光地だ。

湖を横断して東へ向かい、駐車場待ちをしている車列の脇をすり抜けて「宮ケ瀬ダム」に到着。道志ダムからは20km弱の道のりだった。

 

ダムのすぐそばにある「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」ではダムカード2枚もらえる。中のカフェではダムカレーも食べられる(撮影:光石 達哉)

ダムのすぐそばにある「宮ヶ瀬ダム水とエネルギー館」で受付の女性に声をかけて、「宮ケ瀬ダム」と「石小屋ダム」の2枚のダムカードをもらう。

宮ケ瀬ダムは相模原市と愛川町、清川村の3市町村にまたがっている。2001年完成とこの周辺では最も新しいダムの一つで、一番大きい。近代的な巨大建造物といった雰囲気だ。インクラインというケーブルカーやエレベーターもあり、ダムの下まで行けるようだ。

 

インクラインが下っていく。ダムの下にある「あいかわ公園」への近道でもある(撮影:光石 達哉)

ここまで手に入れた3枚のダムカード。石小屋ダムはまだ行ってないし、道志ダムは行ったけどまだカードを手に入れていない(撮影:光石 達哉)

先ほどダムカードをもらった「石小屋ダム」は、下流数100mのところにある宮ケ瀬ダムの副ダムだそうだが、ここからはよく見えないので、後半は石小屋ダムを見に行くところから始めよう。

(光石 達哉)

今回のルート:①相模ダム-②道志ダム-③宮ケ瀬ダム

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【行ったつもりシリーズ】空へと続く青い花畑 東京近郊でネモフィラをめぐる日帰りサイクリング

最近人気の青い花、ネモフィラ。青空との対比も美しい。今回は都内の自宅から日帰りサイクリングで探しに行った(撮影:光石 達哉)

読んでいるうちに行ったつもりになれるかもしれない、プチ旅行の紀行文コラム「行ったつもりシリーズ」。

最近人気の春に咲く青い花、ネモフィラ。茨城県の国営ひたち海浜公園が有名だが、東京周辺でも日帰りサイクリングで行けるネモフィラ畑があるようだ。

ということで、ゴールデンウィーク初日に、出かけてみた。

 

 

 ネモフィラの前に樹齢700年の藤へ寄り道

近づいてみると、ネモフィラはこんな花(撮影:光石 達哉)

ここ数年、テレビやSNSでもよく話題になっているネモフィラ。特に国営ひたち海浜公園のネモフィラ畑は広くて、壮大な景色が広がっているようだ。しかし、ちょっと遠いし、ゴールデンウィークはかなり混雑しそうなので、東京近郊でネモフィラを楽しめるところを探して自転車で行ってみた。

まずは埼玉県大宮方面へ。この日は青空が広がる晴天で、ほぼ夏用のウェアで走れるぐらいの陽気だ。花粉も収まってきたし、体にあたる風が心地いい。

荒川沿いをしばらく北上して、国道17号に移動したのだが、車が多くて走りにくいので脇道に入る。ちょっと走ると、大きな藤棚が見えてきた。最初っからネモフィラと違う花だが、気になったので寄り道してみる。

 

道中、樹齢700年と言われる「青葉園の藤」を見つけて、寄り道。残念ながら、もう散りかけていた(撮影:光石 達哉)

これは埼玉県指定の天然記念物「青葉園の藤」で、なんと樹齢700年と推定されるという。藤がそんなに長生きするとは、ビックリ。4月下旬が見ごろだと書いてあるけど、今年の春は暖かいからか、もう散りかけていた。

園内には、三重塔もあるらしい。歩いていくにはちょっと離れているので、外周の道を走って近づくことに。青葉園とは何の園なのかなと思っていたが、塀越しに中を見ているとどうやら霊園のようだ。三重塔に近い駐車場にたどりついたけど、墓地の中を突っ切っていくのは忍びないのでここから眺めるだけにした。

 

青葉園は霊園で、中には三重塔も建っている。この日は、鯉のぼりも泳いでいた(撮影:光石 達哉)

さらに5kmほど北へ進み、最初の目的地「大宮花の丘農林公苑」に到着。その名の通り、花壇や花畑が楽しめる公園だ。道路を挟んで南北に分かれているが、北側の駐車場から園内に入ってすぐ、円形の花壇にネモフィラが咲いていた。青い小さな花の群れが、青空の下で映えている。

 

「大宮花の丘農林公苑」。園内入ってすぐの花壇にネモフィラが咲いていた(撮影:光石 達哉)

園内は徐行厳守で自転車でも走れるので、少し奥に入っていくと右手に別のネモフィラ畑が広がっている。ネモフィラは、北アメリカ原産のムラサキ科の一年草。近くで見るとスミレにも似ている小さな花だ。

 

公園の奥にもネモフィラ畑が広がっている(撮影:光石 達哉)

四季折々の花が楽しめるこの公園。今の時期は赤いヒナゲシなどポピーの仲間も見られた(撮影:光石 達哉)

園内のパン屋さんで買ったよもぎアンパン。風味が好き(撮影:光石 達哉)

 花畑から風車へと公園をハシゴ

埼玉県松伏町の「まつぶし緑の丘公園」のネモフィラ畑(撮影:光石 達哉)

続いては埼玉県内を東へ。今度は国道16号を避けて脇道を繋ぎ、約25km走って松伏町の「まつぶし緑の丘公園」へ。

南側の駐車場にあったサイクルラックに自転車をかけて、園内に入ると、頭上にたくさんの鯉のぼりが浮かんでいた。この日は南風が強く、鯉のぼりもパンパンに風をはらんでいる。朝、北に向かっているときは自転車がよく進むなと思ったら追い風を受けていたからで、進行方向が変わってからは風にあおられっぱなしだ。

 

鯉のぼりの下で咲くオレンジ色の花はポピーの一種、ハナビシソウ。(撮影:光石 達哉)

その鯉のぼりの下にいろんな花が咲く花畑が広がっていて、その一番奥がネモフィラ畑だ。畑自体は小さいけれど、花びらが密集していて青い絨毯のようだ。この公園はバーべキューなども楽しめるスペースもあり、家族づれで賑わっていた。

園内の貼り紙等を見ていると、松伏町のゆるキャラは風車の形をしている。この公園には風車はないものの、調べてみたら4kmほど南の「松伏総合公園」にあるそうなので行ってみる。

「松伏総合公園」の風車は展望台になっている。左の小さなトンガリ屋根は公衆トイレ(撮影:光石 達哉)

松伏総合公園は真ん中に釣りスポットの大きな池があり、その周りを木々に囲まれている。さっきの公園と比べると人影は断然少ない。風車も鬱蒼とした木の中に囲まれていて、遠くからはほとんど見えず、観光客の姿もない。

風車自体は大きくて立派だが、羽根は骨組みだけで回っていない。中は展望台になっているようだが、昇るのはしんどいのでやめておく。ここ数年、千葉や茨城でいくつか風車を見てきたので、これもそのコレクションに加えておこう。

 

 都内屈指のネモフィラの名所「舎人公園」

「舎人公園」のネモフィラ畑。人気スポットだけに、歩道にはたくさんの人が(撮影:光石 達哉)

ここから20kmほど南西に向かい、東京都北区の「舎人公園」へ。大きな池もある自然豊かな公園で、陸上競技場や野球場のようなスポーツ施設も充実している。広い園内は、自転車でも中に入っていける。

 

あまり人が映りこまない角度でも撮ってみる。4月23日までは、ネモフィラ畑のライトアップも行われていたという(撮影:光石 達哉)

園内の北側の芝生広場に、都内でも屈指の広さを持つネモフィラ畑がある。なだらかな斜面に青い花が敷き詰められているようだ。多くの人で賑わっていて、外国人観光客もチラホラいる。もうちょっと早い季節だと八重桜と一緒に咲いていて、夜間にライトアップされた写真がSNSでバズったりしていた。

 

撮影スポットとして人気のベンチ。一瞬だけ自転車を置いてみる(撮影:光石 達哉)

おまけで、こちらは別の日に行った江東区「大島小松川公園」のネモフィラ畑。小さいけれど、桜の咲く時期はコラボも楽しめるそうだ(撮影:光石 達哉)

というわけで、今回は約120km走って3つのネモフィラ畑と気になる景色をめぐってみた。ネモフィラは場所にもよるけど、4月から5月にかけて結構長い時期咲いているようなので、近くでも探してみてはいかがだろう。

 

(光石 達哉)

今回のルート:①青葉園-②大宮花の丘農林公苑-③まつぶし緑の丘公園-④松伏総合公園-⑤舎人公園

 

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【自転車】電動アシスト自転車「e-bike」 AIでアシスト力を制御する新時代へ

BESVが発表したAI搭載のe-bike「SMALO」。左がクロスバイクタイプの「LX2」(予定価格44万8,000円)、右がミニベロタイプの「PX2」(予定価格42万8,000円)。今年6月発売予定(撮影:光石 達哉)

スポーツタイプの電動アシスト自転車、いわゆる「e-bike(イーバイク)」がAI(人工知能)搭載でさらなる進化を見せている。4月16、17日に東京ビッグサイト(江東区)で開催された「CYCLE MODE TOKYO 2023(サイクルモード東京2023)」では、e-bike新時代を告げるニューモデルがいくつか展示された。

 

 

 AIがアシスト力とギアチェンジをオート制御

BESV JAPANは、「SMALO」ブランドをサイクルモード東京のステージイベントで発表するほどの力の入れようだった(撮影:光石 達哉)

マウンテンバイクやロードバイクやのようなルックスながら、電動アシストのパワーで坂道や長距離もスイスイ進め、体力に自信がない人でも本格的なサイクリングが楽しめる「e-bike」。数十万する値段から日本ではまだそれほど見かけないが、ヨーロッパではコロナ禍での移動手段として広まり、特にドイツでは市場の3~4割を占めるとも言われている。

 

「LX2」の内部構造。VCU(Vehicle Control Unit)と呼ばれるコンピューター、バッテリーなどをフレーム内に内蔵することでシャープな外観となっている(撮影:光石 達哉)

近年のサイクルモード東京は新しい乗り物でもあるe-bikeがほぼ主役の座を奪っているとも言えるが、そんな中で最近話題のAIを搭載した注目モデルが披露された。

台湾発、e-bikeのパイオニア的ブランドのひとつであるBESV(ベスヴィー)はAI機能を搭載した「SMALO(スマーロ)」ブランドの2車種「LX2」「PX2」を発表。「SMALO」とは、「smart」(英語で賢い)と「velo」(フランス語で自転車)を合わせた造語だそうだ。

 

デザインも近未来的で、ヘッドライトはフレームに内蔵。周囲が暗くなると感光センサーで自動点灯する(撮影:光石 達哉)

クロスバイクタイプの「LX2」はオートマチック7段変速機を装備し、常に最適なアシスト出力と、最適なギア比をAIが自動で判断し選択する「AI Driving System」が搭載されている。

この機能がいいなと思うのは、e-bikeにはアシスト力を強・中・弱などと切り替えるボタンと変速機の両方がついているものが多く、上り坂に差し掛かるとギアを軽くすべきか、アシスト力を強にすべきか、迷うこともある。まあ、バッテリーの減りを考えるとギアを先に変えた方がいいのかもしれないが、このシステムではAIが勝手にアシスト力やギア比を調整してくれるので、余計なことは考えなくていいというわけだ。

 

スピードなどを表示するモニターはステムに内蔵。ハンドル周りもスッキリする
(撮影:光石 達哉)

その他にも、Bluetoothで専用アプリと接続して各種設定やカスタムが可能で、バッテリー残量などもアプリで確認できる。中でも防犯機能が充実し、(1)「GPS」で自転車の正確な所在地を確認、(2)「盗難防止アラーム」が自転車の振動・移動など動きを感知して鳴る、(3)アプリやPINコードで開錠できる電子ロック「E-Lock」、などがある。

 

 ホンダがAI搭載の電動アシストユニットを開発

ホンダの「スマチャリ」を搭載した「RAIL ACTIVE-e」。ボトルのように見えるのがバッテリー。ワイズロードから今年9月発売予定。予定価格:¥220,000(税込)
(撮影:光石 達哉)

自動車メーカーのホンダは、20年ほど前まで電動アシスト自転車を販売していたが、このたび既製のスポーツ自転車に取り付ける電動アシストユニットとそれに連動するスマートフォンアプリ「SmaChari(スマチャリ)」を新たに開発した。

 

「スマチャリ」の電動アシストユニット。フロントのギア、クランクもユニットとセット(撮影:光石 達哉)

スマチャリのAI機能は、個人に合わせたアシスト力の調整。センサーで集めたデータから乗り手の意思、走行状況を判断し、モーター出力を制御する機能や、きめ細やかなアシスト出力の調整機能を搭載しているという。アシストが効きすぎて、おっとっととなるような状況が避けられるということだろう。

 

「スマチャリ」のアプリ画面。パワーとレスポンスを自分好みに設定できるほか、おまかせのAIモードもある(撮影:光石 達哉)

このスマチャリは、スマホアプリとセットでひとつのシステムとなっており、アプリ上でマップ、速度、走行距離、アシスト出力、バッテリー残量、消費カロリーなどを表示するとともに、走行データとして記録・管理する走行ログ機能を搭載。スマチャリユーザー間での位置共有機能もあり、仲間の走行位置の確認や外出した家族の見守りなどもできるという。こちらもスマホをカギとして使えるし、異常を検知する機能もあるという。

 

スマホを自転車に装着すれば、アプリをサイクルコンピューターのように様々なデータを表示できる(撮影:光石 達哉)

「スマチャリ」を搭載したロードバイクも参考出品されていた(撮影:光石 達哉)

なお、後付けできるユニットとはいえ、自分の自転車に自分で取り付けることはできず、販売店などであらかじめ取り付けた完成車として販売されることになる。現時点では、コーダーブルームのクロスバイクにスマチャリユニットを取り付けた「RAIL ACTIVE-e」が、全国展開するスポーツ自転車店「ワイズロード」から今年9月に発売される。

ユニットとバッテリーの重量が約5㎏と軽いのも魅力で、上記の完成車も車体重量は約15kgに抑えられ、価格も22万円(税込)と比較的リーズナブルだ。もともとの自転車の乗り味や性能、スタイルをほぼそのまま活かせるのも魅力だという。

 

 中国ブランド発のe-bikeも登場

上海金輪のe-bike。「NOVA-X」(左)と「SPIRIT」(右)。AI技術で心拍数に応じてアシスト力を調整する。国内販売未定(撮影:光石 達哉)

中国のブランド、上海金輪はスマートウォッチの心拍計とe-bikeを連携させることで、乗り手の心拍数に応じてアシスト力を調整するAI機能を搭載している。例えば、心拍数が低い時は乗り手が体力的に余裕があるとAIが判断してアシスト力を弱め、逆に心拍数が高い時はアシスト力を強くするという仕組みのようだ。

この機能を搭載したe-bikeは、ロードタイプの「SPIRIT」、グラベルロードタイプの「KADER」、クロスバイクタイプの「NOVA-X」の3車種ある。e-bikeのほとんどがアルミフレームなのに対し、軽量で剛性の高いカーボンフレームを採用しているのも興味深い。残念ながら国内発売未定だ。

さすがにどんな質問でも答えてくれるようなAIではまだないが、最新テクノロジーが好きな人にとっては魅力的な乗り物として受け入れられてくるかもしれない。

 

(光石 達哉)

 

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